iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)にある金融商品は、離婚、破産、死亡の場合にどうなる?
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年10月14日 10時0分
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)にある金融商品は、離婚、破産、死亡の場合にどうなる?
離婚や破産などが起こった場合、イデコで積み立てた資産はどうなってしまうのか、また、死亡した際にイデコで積み立てた資産はどのように相続されるのかについても解説します。
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは
iDeCoとは、個人型確定拠出年金と呼ばれる私的年金制度の1つです。国民年金などの公的年金と異なり、加入は任意となります。 また、掛金の拠出、掛金の運用についても、基本的に全てを自分で行い、掛金とその運用益との合計額を年金として、老後に受け取ることができます。
iDeCoに加入した後は、運営管理機関が提示している運用商品(預貯金、投資信託、保険商品等)の中から、自由に商品を組み合わせて掛け金を運用することができます。
掛け金と運用益については、原則として60歳に到達した時点で、受け取ることができます。iDeCoに拠出した掛け金は全額所得控除となり、受け取る際の運用益にも課税はされません。この「所得控除」と「非課税」という税制上の優遇が、iDeCoの大きなメリットになります。
老後にかかる費用について何かとニュースで取り上げられている昨今、税制上優遇されるiDeCoに加入して老後の安心を得ようとする方は多いと思います。
離婚した場合、iDeCoで積み立てた資産はどうなる?
厚生年金の場合は、離婚した際、年金分割という制度があります。年金分割とは、厚生年金に加入している夫や妻などと比べて、厚生年金に加入していない他方の夫や妻は一般的に年金受取額が少ないので、これを是正するために設けられている制度です。具体的には、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができます。
他方、iDeCoで積み立てた年金資産は、あくまで個人が任意で加入した年金であることから、離婚時の年金分割の対象外とされています。
iDeCoは、年金分割の対象外ではありますが、離婚の際に行われる財産分与の対象となるのでしょうか。この点について、定年まで15年以上の期間があった事案における裁判例では、iDeCoによる年金受給までの期間が長く、受給の可能性及び受給額について、必ずしも確実なものではないとして、iDeCoによる年金自体を財産分与の対象になるとは判断をしませんでした。しかしながら、婚姻期間中に拠出した掛け金については、財産分与の対象になり得ると判断をしました。
iDeCoを利用している夫婦が離婚する場合の注意点として、特にiDeCoの名義人ではない方は、iDeCoによる年金受け取りまでの期間をまず確認することと、年金を受け取れるまでの期間が長期間である場合は、婚姻期間中に拠出したiDeCoの掛け金について確認をして、しっかりと財産分与の対象に含めることが挙げられます。
破産した場合、iDeCoで積み立てた資産はどうなる?
以前、NISA(ニーサ)内の金融商品は、破産手続によって換価されてしまうことについて説明しましたが、iDeCoはNISAとは大きく違う点があります。iDeCoは、確定拠出年金法によって、差押禁止財産と規定されており、破産をした場合でもiDeCoで積み立てた資産は守られるのです。
(受給権の譲渡等の禁止等)
第三十二条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。
iDeCoは、老後の生活を守るための年金を積み立てる制度であるため、退職金などと違い、破産しても資産が守られます。この点も、iDeCoの大きなメリットであるといえます。
死亡した場合、iDeCoで積み立てた資産はどうなる?
iDeCoで積み立てた資産は、加入者個人のものです。しかし加入者が60歳より前に死亡した場合や、60歳後でも、掛け金等を一部受け取っていなかった場合は、遺族がその全てを「死亡一時金」として受け取れます。死亡一時金については、死亡した際の時価ではなく、手続きにのっとり、金融商品が換価された日の価額を受け取れることになります。 また、iDeCoの資産を死亡一時金として受け取るには申請が必要であり、これは死亡後5年以内に行う必要がありますので注意をしてください。万が一手続きを怠った場合は、国庫に帰属され、以後受け取りができなくなってしまいます。
なお、その他の公的年金については、掛け金などが戻ってくる仕組みがありませんので、この制度的違いもiDeCoのメリットとして挙げられるでしょう。
まとめ
iDeCoのメリットとしては、掛け金全額が所得控除されること、運用益が非課税になるなどの税制面の優遇です。加えて、破産した場合でも、iDeCoで積み立てた資産が残ることや、死亡時に掛け金や運用益などが戻ってくるなどの優遇もあります。
ただし、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出せないこと(途中で掛け金の支払いの減額や停止をすることはできます)や運用に失敗した場合は必ずしも元金が保証されるわけでないなどのデメリットがあります。
年金破綻など、今後の老後の生活に大きな不満を抱える方は少なくないと思います。以上のようなメリットやデメリットを十分に認識されたうえでiDeCoを始められることをおすすめします。
これからiDeCoを始めたいと考えるのであれば、運営管理手数料が無料の楽天証券がおすすめです。他社からの移管もできますので、すでにiDeCoをされているけれど手数料に悩んでいるという方もぜひ検討してみてください。
このテーマに関する気になるポイント!
- iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは?
iDeCoとは、個人型確定拠出年金と呼ばれる私的年金制度の1つです。国民年金などの公的年金と異なり、加入は任意となります。 また、掛金の拠出、掛金の運用についても、基本的に全てを自分で行い、掛金とその運用益との合計額を年金として、老後に受け取ることができます。 - 離婚した場合、iDeCoで積み立てた金融資産はどうなる?
iDeCoによる年金の受給まで期間がある場合には、受け取れる年金全額を財産分与の対象とはできず、婚姻期間中に積み立てた掛け金相当額について、財産分与の対象となるに留まります。 - 破産した場合、iDeCoで積み立てた金融資産はどうなる?
破産した場合でもiDeCoで積み立てた資産は全額守られます。 - 死亡した場合、iDeCoで積み立てた金融資産はどうなる?
加入者が死亡した場合は、加入者が受け取っていない部分について、死亡一時金として遺族が受け取ることができます。
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