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自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説②

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2022年2月21日 10時0分

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説②

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説②

自筆証書遺言書とは、法律で定められた方法に基づいて自筆で作成する遺言書です。今回はシングルマザーやシングルファザーが遺言書を作成したい場合、遺言によって子を認知したい場合に気を付けるべき注意点を個別事例を参考に解説していきます。

自筆証書遺言書の作成事例!特別な事情がある場合に気を付ける事を解説

事例1 シングルマザーやシングルファザーが遺言書を作成したい場合

シングルマザーやシングルファザーが遺言書を作成したい場合

自分の死後に未成年の子のために監護や財産管理をしてもらう場合。

 

遺言書記載例

遺言書

 

第1条
遺言者は、遺言者の有する別紙1財産目録記載の財産を遺言者の長男田中太郎(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。

 

第2条
遺言者は、未成年である子の未成年後見人として、次の者を指定する。
氏名   山本花子
住所   東京都港区〇〇一丁目〇番〇号
生年月日 昭和〇年〇月〇日
職業   自営業
遺言者との関係 遺言者の母

 

第3条
前条で指定した未成年後見人が、遺言者より前に死亡または未成年後見人としての業務を行うことが不可能となった場合に備え、次の者を予備的に未成年後見人に指定する。
  

氏名   佐藤良子
住所   埼玉県○○市〇〇区〇〇一丁目〇番〇号
生年月日 昭和〇年〇月〇日
職業   無職
  遺言者との関係 遺言者の叔母

 

第4条
1. 遺言者は、第2条記載の山本花子を本遺言の執行者として指定する。 
2. 遺言執行者は、この遺言の執行に必要な一切の権限を有する。

 

別紙1 財産目録(省略)
記載に関してのポイント解説

 

(1)未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人(みせいねんこうけんにん)を指定することができる。(民法839条)
離婚により自己が未成年の子の唯一の親権者となっている場合は、この方法により未成年後見人を指定することができます。なお、離婚した元配偶者については、親権者の死亡によって親権は当然に回復しないとされています。

 

(2)予備的な遺言を記載する。
未成年者が成人するまでの間に、未成年後見人候補者が死亡または業務を行うことができない事情が生じてしまった場合に備えて、2次的な未成年後見人の指定もしておくことが望ましいでしょう。

 

※用語解説
【未成年後見人】
未成年者の身上監護、財産管理等を親権者と同等の立場で事務を行う事ができる者をいいます。遺言による指定がない場合は、裁判所が選任することとなります。

事例2 遺言によって子を認知したい場合

遺言によって子を認知したい場合

事実婚の場合等、婚姻関係に無い父母の間に生まれた子を遺言によって認知する

 

遺言書記載例

遺言書

(出生している子を認知する場合)


第1条
遺言者は、次の者を認知する。
氏名   田中太郎
本籍   東京都港区〇〇一丁目1番地
住所   東京都港区〇〇一丁目1番1号
生年月日 平成〇年〇月〇日

 

第2条
遺言者は、次の者を本遺言の遺言執行者に指定する。
氏名   田中花子(田中太郎の母)
本籍   東京都港区〇〇一丁目1番地
住所   東京都港区〇〇一丁目1番1号
生年月日 昭和〇年〇月〇日

 

(胎児を認知する場合)


第1条
遺言者は、次の者が現在懐胎している子を認知する。
氏名   田中花子
本籍   東京都港区〇〇一丁目1番地
住所   東京都港区〇〇一丁目1番1号
生年月日 昭和〇年〇月〇日

 

第2条 (同上)

記載に関してのポイント解説

 

(1)認知の意志と子の情報を明確にする。
遺言者の死亡によって認知の効力は生じますが、戸籍上の届出の際に遺言書の写しを提出する必要があるため、上記の記載をすることで手続が滞りなく進められることが期待できます。(子の認知の届出の際には母の氏名及び本籍の記載が必要です。)

 

(2)遺言執行者を選定する。
遺言執行者は、就任してから10日以内に認知による戸籍上の届出をする必要があるため、遺言執行者に子の母親を指定しておくべきです。遺言執行者の指定がない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てる必要があります。

 

(3)胎児も認知できる。
出生前の胎児を認知することも可能です。氏名がありませんので、懐胎中の母親を特定します。ただし、認知に承諾が必要な場合があります。

 

・胎児を認知する場合…母親の承諾
・成人した子を認知する場合…子の承諾
・未成年の子を認知する場合…承諾不要

 

※用語解説
【認知】
婚姻関係に無い母から生まれた子は、当然には父との親子関係が生じません。父が子を認知することによって戸籍上の親子になり、父の相続に関して法定相続権を取得します認知の効果は子の出生時まで遡って生じる事になりますまた、一度認知をした場合これを取り消すことはできません

 

一方、母親が認知をする場合は、母親は分娩の事実によって当然に母子関係が生じますので、通常は母親から子への認知は不要です。ただし、遺棄された子の場合等で母親の分娩の事実が証明できない場合に行われることが稀にあります。

注意事項

(1)遺言書記載例は一部抜粋で記載しているため、このまま作成しても自筆証書遺言書としての効力が生じない可能性があります。

 

(2)掲載日時点での法制度に基づき作成しております。

 

(3)個別具体的な検討を要する場合もありますので、あらかじめ専門家に相談をするなど、作成者自身の責任において遺言書を作成して頂けますようお願いいたします。

まとめ

夫婦関係においても多様化が進み、今回のようなケースも珍しくはないでしょう。
ただし、夫婦間の都合を優先するあまり子供が予期せぬ不利益を受けないよう、親として責任を持ってしっかりと準備をしておくことが必要です。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. 未成年後見人とは?
    未成年者に対して親権を行う者がいなくなった時に、遺言による指定または裁判所の決定によって選任され、子の親権者に代わる職務を行う者

  2. 未成年後見人を指定することができる条件は?
    未成年の子の最後の親権者が、遺言によって行う。

  3. 遺言書の作成における注意点は?
    未成年後見人候補者について、2次的な指定も記載する。

  4. 認知とは?
    通常、婚姻関係に無い母から生まれた子の父が行うことで、戸籍上の父子関係が生じることになる。父の法定相続人の地位を取得する。

  5. 遺言による認知の注意点は?
    (1)認知する子の情報、その母の情報を正確に記載する、(2)遺言執行者を指定する、(3)胎児を認知するには母親の承諾が必要、などです。

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