1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

上場企業が開示する決算短信の添付資料の内容について解説

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2022年3月4日 10時0分

上場企業が開示する決算短信の添付資料の内容について解説

上場企業が開示する決算短信の添付資料の内容について解説

上場企業は決算の内容が定まった場合には、直ちにその内容を開示することが義務付けられています。この決算の開示方法が、決算短信・四半期決算短信と言われます。決算短信の添付資料の内容を確認していきます。有価証券報告書に比べて頁数が少なく、読みやすい量と内容になっています。株式投資は、どの企業の株式を購入するか選択しなければなりません。決算短信を読めるようになって、株式投資に活用しましょう。

上場企業が開示する決算短信の添付資料の内容について解説

はじめに

決算短信・四半期決算短信は、サマリー情報と添付資料にわかれています。決算短信は、速報性が求められる事項に限定して記載されます。
サマリー情報には、決算期の業績、配当の状況、次期の業績予測、注記事項等が記載されています。サマリー情報は、投資者の投資判断に重要な影響を与える上場会社の決算の内容について、その要点の一覧性及び比較可能性を確保する観点から、簡潔にまとめられています。

 

添付資料には、経営成績等の概況、会計基準の選択に関する基本的な考え方、連結財務諸表及び主な注記が記載されています。添付資料は、サマリー情報の主要な決算数値を投資者が適切に理解できるように開示されています。

 

今回は、楽天株式会社(※2021年4月1日より「楽天グループ株式会社」へ商号変更)の2020年12月期、決算短信の添付資料を参考に確認します。

添付資料の目次から

添付資料の目次から

最初の経営成績等の概況には、(1)当期の経営成績の概況、(2)当期の財政状態の概況、(3)当期のキャッシュ・フローの概況、(4)今後の見通し、(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当、が記載されています。 

 

次に、会計基準の選択に関する基本的な考え方が以下のように記載されています。

 

当社グループは、海外同業他社との財務情報の比較可能性の向上、資金調達の選択肢の拡大、及びグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2013年12月期より、国際会計基準(IFRS)を適用しています。

最後の、連結財務諸表及び主な注記には、(1)連結財政状態計算書、(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書、(3)連結持分変動計算書、(4)連結キュッシュ・フロー計算書、(5)継続企業の前提に関する注記、(6)連結財務諸表に関する注記事項、が記載されています。

経営成績等の概況(1)当期の経営成績の概況

経営成績等の概況(1)当期の経営成績の概況

(1)当期の経営成績の概況には、①当期の経営成績(Non-GAAPベース)、②Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整、③当期の経営成績(IFRSベース)、④セグメントの概況が、記載されています。

 

Non-GAAPとは、GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)に沿っていないという意味です。GAAPは「一般的に認められた会計原則」、つまり「米国会計基準」のことです。米国の株式市場に上場する企業は、米国会計基準に沿った財務諸表を作成する必要がありますが、株式市場では、企業が独自に算出したNon-GAAPの営業利益を重視する傾向にあります。Non-GAAPでは、どのような調整を行うかというルールは決められていません。そのため、調整内容について、説明が必要となります。

 

また、IFRS(国際財務報告基準)では、財務諸表において「営業利益」などの開示を求めていません。また、企業が営業利益を開示することを選択する場合においても、これを定義していません。そのため、Non-GAAP営業利益をどのように求めているか説明が必要となります。

 

添付資料にはNon-GAAP指標を開示することの意図は、以下と記載されています。

 

経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。

決算短信の構成は、①サマリー情報、②添付資料に分かれています。今回は、サマリー情報の当期のキャッシュ・フローの概況を確認します。株式投資にとって、同業他社比較や過年度比較が重要であるということがわかります。それでは実際に、楽天株式会社を参考に経営成績を見てみましょう。

 

1 当期の経営成績(Non-GAAPベース)

当期の経営成績(Non-GAAPベース)

 

2 Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

 

3 当期の経営成績(IFRSベース)

当期の経営成績(IFRSベース)

サマリー情報では、前年に比べて売上収益が191,606百万円増加しているのに、Non-GAAP営業利益が197,796百万円減少している理由がわかりませんでした。しかし、添付資料を確認することにより、理由は以下であるとわかります。

 

インターネットサービスにおいては、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』における送料無料ラインの統一施策の奏功や新型コロナウイルス感染症の流行に伴ういわゆる「巣ごもり消費」等の影響を受け、『楽天市場』の年間流通総額が初めて3兆円を超える等、国内EC取扱高が大幅に伸長しました。フィンテックにおいては、『楽天カード』のカードショッピング取扱高が2020年度通期で11兆円を超えたほか、各サービスにおける顧客基盤の拡大が続いています。また、モバイルにおいては、自社回線エリアの拡大や各種マーケティング施策が奏功し、2020年12月には、累計契約申し込み数が200万回線を突破しました。この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益1,455,538百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、Non-GAAP営業損失は102,667百万円(前連結会計年度は95,129百万円のNon-GAAP営業利益)となりました。

決算短信のサマリー情報【当期のキャッシュ・フローの概況】

連結経営成績を確認すると、2020年12月期当期利益△115,838百万円、2019年12月期当期利益△33,068百万円となっています。当期利益がマイナスでも、現金及び現金同等物が増えています。この関係性がどこにあるかは、詳しく確認していく必要があります。

まとめ

2020年1月に日本で新型コロナウイルス感染症の感染者が発生してから、2022年2月現在もまだ収束は見えず、依然として厳しい状況にあります。厚生労働省は通販や電子決済の活用を含む、感染症拡大防止のための「新しい生活様式」の実践を求めています。

 

今回はインターネット・ショッピングモール「楽天市場」で知られている、楽天株式会社(※2021年4月1日より「楽天グループ株式会社」へ商号変更)の決算短信を参考に確認していきました。サマリー情報では確認しきれない、売上収益増減の理由は、決算短信の添付資料を見ることで知ることができました。

 

決算短信は、企業の決算内容の速報値で、様々な重要な情報が詰まっています。決算短信を読めるようになり、株式投資に活かしていきましょう。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. 決算短信・四半期決算短信の構成は?
    決算短信・四半期決算短信は、サマリー情報と添付資料で構成されます。

  2. サマリー情報には、どのような内容が記載されている?
    サマリー情報は、投資者の投資判断に重要な影響を与える上場会社の決算の内容について記載されており、その要点の一覧性及び比較可能性を確保する観点から、簡潔にまとめられています。

  3. 添付資料には、何が記載されている?
    添付資料には、経営成績等の概況、会計基準の選択に関する基本的な考え方、連結財務諸表及び主な注記が記載されています。添付資料は、サマリー情報の主要な決算数値を投資者が適切に理解できるように開示されています。

  4. 添付資料、経営成績等の概況の記載項目は?
    経営成績等の概況には、(1)当期の経営成績の概況、(2)当期の財政状態の概況、(3)当期のキャッシュ・フローの概況、(4)今後の見通し、(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当、が記載されています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください