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自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説④

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2022年3月23日 10時0分

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説④

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説④

自筆証書遺言書とは、法律で定められた方法に基づいて自筆で作成する遺言書です。今回は推定相続人を廃除したい場合、推定相続人の廃除を取り消したい場合に気を付けるべき注意点を個別事例を参考に解説していきます。

自筆証書遺言書の作成事例!特別な事情がある場合に気を付ける事を解説

事例1 推定相続人を廃除したい場合

定相続人を廃除したい場合

相続をさせたくない相続人がいる場合。今回の例では、自分の叶えたい希望を「第○条」という形式で記載していきます。

 

遺言書記載例

 

遺言書

 

第1条 

遺言者は、遺言者の長男である田中一郎(昭和〇年〇月〇日生)を推定相続人から廃除する。
その理由は次のとおりである。

(1)田中一郎は、遺言者に対し、「○○」といった侮辱的な発言を繰り返した。
(2)田中一郎は、遺言者に対し、日常的に暴行を加えるなどの虐待行為を行った。

 

第2条
 遺言者は、全ての財産を遺言者の長女である山本花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

 

第3条
 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
  氏名   山本花子
  住所   東京都港区〇〇一丁目〇番〇号
  生年月日 昭和〇年〇月〇日
  遺言者との関係 遺言者の長女

 

記載に関してのポイント解説

(1)推定相続人が遺言者に対して虐待をしたり、重大な侮辱をしたり、またはその他の著しい非行があったときは、遺言者は遺言で推定相続人の廃除をすることができます。

 

(2)廃除することのできる相手は、遺留分を有する推定相続人と規定されています。遺留分を有する推定相続人とは、兄弟姉妹、およびその子(甥姪)以外の相続人です。

 

(3)廃除された推定相続人は、相続人としての権利を失い、かつ遺留分侵害額請求権を行使することもできなくなります。

 

(4) 遺言書に記載しただけでは廃除とはならず、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の審判を申し立てなければなりません。家庭裁判所は事実を確認し、廃除する根拠となるその行為が家族関係を破壊するほどの行為かどうかを含めた総合的な判断をすることとなります。
そのため、廃除を求める理由が具体的でなければ裁判所が推定相続人の廃除を認める可能性も低くなると考えられます。また遺言執行者として、事情を知る他の相続人を指定しておくことで、証拠の収集等もしやすくなるでしょう。録音、撮影、診断書の写し等を遺しておく方法も有効です。

 

(5)推定相続人の廃除は、事例1で記載した遺言に基づいて遺言執行者が家庭裁判所に申し立てる方法のほかに、生前に家庭裁判所へ廃除を申し立てる方法によることもできます。

 

(6) 廃除された相続人は相続権を失いますが、その相続人に子がいる場合、廃除された相続人の代わりに、その子が相続財産を受け継ぐことになります。つまり、廃除をしてもその家系に対する相続権までは奪えないということです。
そのため、他の相続人へ全ての財産を相続させたい場合は、上記記載例の第2条のような記載をする必要があります。ただしこれを記載した場合でも、法定相続人が侵害された遺留分を取り戻すために、遺留分侵害額請求権を行使される余地は残ります。

事例2 推定相続人の廃除を取り消したい場合

推定相続人の廃除を取り消したい場合

相続させたくない相続人がいたため推定相続人の廃除をしたが、それを取り消したい場合。
事例1同様、こちらの例でも、自分の叶えたい希望を「第〇条」という形式で記載していきます。

 

遺言書記載例

 

遺言書

 

第1条
遺言者は、遺言者の長男である田中一郎(昭和〇年〇月〇日生)について、推定相続人の廃除(東京家庭裁判所令和〇年(家)第100号推定相続人廃除申立事件)を取り消す。
その理由は、田中一郎は、廃除の審判確定後に心を入れ替え、遺言者に対する暴力や暴言もなくなったため。

 

第2条
遺言者は、相続人田中一郎に下記(1)の財産を相続させる。

 

第3条
遺言者は、相続人の長女山本花子に対し、下記(2)の財産を相続させる。

 

第4条
遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前条の長女山本花子を指定する。

 

【財産の表示】
(1)○○
(2)○○

 

記載に関してのポイント解説

 

(1)遺言者は、生前であれば、いつでも推定相続人の廃除の取り消しを家庭裁判所に請求することができます。また遺言により、推定相続人の廃除の取り消しをすることもできます。

 

(2)遺言書により廃除の取り消しがされた場合は、遺言執行者は速やかに家庭裁判所へ廃除取消の請求をしなければなりません。

 

(3)廃除の取り消しについても、事例1と同様に、その理由等を記載することで、廃除の取り消しが遺言者の真意に基づくものであると裁判所が判断しやすくなると考えられます。

 

(4)一定の条件を付けて、廃除の取り消しをすることも可能です。この場合は、その条件の達成が客観的に判断できるよう具体的な条件を設定することが好ましいでしょう。

注意事項

(1)遺言書記載例は一部抜粋で記載しているため、このまま作成しても自筆証書遺言書としての効力が生じない可能性があります。

 

(2)掲載日時点での法制度に基づき作成しております。

 

(3)個別具体的な検討を要する場合もありますので、あらかじめ専門家等にご相談ください。遺言書の作成は作成者自身の責任において作成されたものとなります。

まとめ

家族と言えども様々な関係性があるでしょう。生涯を通して築いた大切な財産を、大切な人にだけ受け渡したいという場合もあるでしょう。築いてきた財産をどのように相続するかは、生前にきちんと検討しておく方が良いと言えるかもしれませんね。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. 推定相続人の廃除とは?
    相続人の権利や遺留分侵害額請求権を剥奪することです。

  2. 廃除の方法は?
    次のいずれかの方法によりすることができます。
    (1)生前に家庭裁判所へ請求する。
    (2)相続人を廃除する旨を遺言書に記載し、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の審判を申立てる。

  3. 遺言書に記載した場合の決まりは?
    遺言執行者が速やかに家庭裁判所へ相続人廃除の請求を行います。遺言執行者が指定されていない場合は、利害関係人が遺言執行者の選任申し立てをします。

  4. 廃除における注意点は?
    廃除された相続人に子がいる場合は、その子へ代わりに受け継がれること、廃除の理由を裏付ける証拠を用意しておくことです。


  5. 廃除を取り消す方法は?
    次のいずれかの方法によりすることができます。
    (1)生前に家庭裁判所へ取り消しを請求する。
    (2)相続人の廃除を取り消す旨を遺言書に記載し、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の取り消しの審判を申し立てる。

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