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自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説⑥

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2022年4月15日 10時0分

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説⑥

自筆証書遺言書の作成事例|特別な事情がある場合に気を付けることを解説⑥

自筆証書遺言書とは、法律で定められた方法に基づいて自筆で作成する遺言書です。今回は身寄りがなく、死後手続きを友人に行ってもらいたい場合に気を付けるべき注意点を個別事例を参考に解説していきます。

身寄りのない方の中には、死後のさまざまな手続きを、生前あまり会う機会のなかった遠い親戚ではなく、近くでともに過ごす時間が長かった友人に任せたい、という意向をお持ちの方もいらっしゃると思います。基本的に遺言書は、財産の相続を定めるものであるため、死後の手続きについては執行対象外となりますが、遺言書にて財産を相続させる代わりに一定の義務や債務を負わせる負担付遺贈を行うことで、それが実現可能となる場合があります。

 

今回は遺言書を作成するにあたり、身寄りがない方が死後の手続きを友人に行ってもらいたい、と考えた時に気を付けるべき注意点について、個別事例をもとに解説していきます。

事例1 身寄りがない場合に死後手続きを友人に行ってもらいたい場合

身寄りがない場合に死後手続きを友人に行ってもらいたい場合

死後の手続きを遠い親戚ではなく、普段から付き合いのある友人に行ってもらいたい場合の遺言書の記載例と作成するうえでのポイントを説明します。

 

遺言書記載例

 

第1条 遺言者は、遺言者の有する全ての財産から次の費用を控除した残金を次のとおり遺贈する。

控除する費用
 (1)葬儀費用
 (2)未払債務
 (3)遺言執行費用

受遺者
 氏名 田中太郎
 住所 東京都港区〇〇1-1-1
 生年月日 昭和30年1月1日生

第2条 遺言者は、受遺者が前条の遺贈を受ける負担として次のとおり定める。
 (1)遺言者の葬儀の手続
 (2)遺言者の納骨の手続
 (3)遺言者の未払債務の支払
 (4)遺言者の家財の処分その他事務手続
(5)その他遺言者の死亡による行政官庁等への諸届出事務手続

第3条 遺言者は、遺言執行者として、第1条で定めた田中太郎を指定する。


【付言】
私の死後に行う手続きは長い付き合いである友人の田中さんにお願いします。
手続きは次のとおり準備してあり、費用も支払済みです。
お手数をお掛け致しますが、関係各所へご連絡頂き、手続きを進めて頂けますようお願い致します。

(1)葬儀
 〇〇葬祭 連絡先03-…

(2)墓地
 〇〇寺 連絡先03-…

(3)家財の処分
 〇〇社 連絡先03-…

また、その他身の回りの各種契約の解約手続きについては次のとおりですので、こちらもお願い致します。

(1)携帯電話 1台(〇〇社 番号090-…)
(2)電気・ガス・水道
(3)クレジットカード3枚(〇〇カード、〇〇カード、〇〇カード)
(4)インターネット(〇〇社)
(5)自宅の賃貸借契約(管理会社 〇〇ホーム 連絡先03-…)
(6)有料会員契約(〇〇プライム会員、〇〇スポーツジム)
(7)医療保険、損害保険(〇〇保険)
(8)各種SNSアカウントの削除

財産目録
(1)預貯金
  ①〇〇銀行東京支店 普通0000001
  ②〇〇信用金庫東京支店 普通000002
  ③〇〇信託銀行東京支店 普通000003
 

(2)有価証券等
  ①〇〇証券東京支店
  ②〇〇証券神奈川支店

(3)不動産
  ①東京都〇〇区一丁目1番1の土地
  ②東京都〇〇区一丁目1番地1 家屋番号1番1の建物


(4)動産
  ①自動車(型式・車種・登録番号)
  ②腕時計(〇〇社製)

以上
 

記載に関してのポイント解説

(1)遺言で死後の事務手続きをお願いすることについて
上述した通り、遺言は相続財産の承継について定めるためのものであるため、死後の事務手続きは、厳密には遺言の執行対象ではありません
そのため、相続財産の承継以外にも死後の事務手続きを依頼したい場合には、負担付遺贈による方法が考えられ、受遺者は、諸手続きを行う代わりに、遺産を受け取ることができることとなります。

 

(2)事前の相談
可能であれば遺言書で定める前に、本人同士であらかじめ打合せをしておくことが望ましいでしょう。

 

(3)葬儀の手配、お墓の準備について
受遺者にすべてを手配してもらうことは負担が大きすぎるため、遺贈を放棄されてしまうことも考えられます。
そのため、心理的負担の大きい葬儀の手配やお墓の準備については事前に遺言者自身で整えておくことが望ましいと言えます。

 

(4)身の回りの契約について
クレジットカードの枚数など、同居している家族であっても把握していないものが多いのではないでしょうか。
自分の死後に友人(受遺者)が困らないように身の回りの契約を一覧にしましょう。
これは、家族に向けた遺言書であっても同様です。

 

(5)財産目録について
遺言者自身の財産は、本人以外がすべて把握することは難しいため、あらかじめ一覧にしておくのがよいでしょう。
金融機関等も金融機関名や口座番号だけでなく、支店名まで記載することで、問い合わせる手間が省けます。

 

(6)死後事務委任契約という選択肢
遺言書で負担付遺贈をする方法以外では、生前に死後事務委任契約を締結しておく方法も考えられます。
この場合は、遺贈ではなく委任契約に基づく報酬を設定することになります。
また、遺言書で受任者を遺言執行者として定めておくことで、スムーズに死後事務手続きを行うことができます。
死後事務委任契約は当事者間の契約となるため、契約内容を双方がしっかりと理解したうえで作成することが可能です。
これは、負担付遺贈のように放棄されてしまう恐れが無いため、本人の意思を実現しやすくなるでしょう。死後事務委任契約では、以下のような内容を記載します。

 

死後事務委任契約(例)

 

委任者Aおよび受任者Bは以下のとおり本契約を締結する。

 

第1条 契約の趣旨
第2条 委任者の死亡による委任契約の効力の継続
第3条 委任事務の範囲
第4条 費用の負担
第5条 報酬
第6条 契約の終了

以下省略

注意事項

(1)遺言書記載例は一部抜粋で記載しているため、このまま作成しても自筆証書遺言書としての効力が生じない可能性があります。

(2)この記事は掲載日時点での法制度に基づき作成しております。

(3)場合によっては個別具体的な検討を要することもありますので、あらかじめ専門家等にご相談ください。遺言書の作成は作成者自身の責任において作成されたものとなります。

まとめ

今回は身寄りのない方が遺言書を作成するケースを説明しました。
現代社会で生きている以上、身の回りにはさまざまな契約が存在しています。
死後の手続きを友人にお願いしたい場合だけでなく、家族に対して遺言書を遺す時も同様ですが、元気なうちに自身の身の回りの各種契約状況や財産を把握し、まとめておくことで、遺された方の負担を大幅に減らすことが可能になると言えます。

このテーマに関する気になるポイント!

  1. 自分の死後の事務手続きを家族以外の誰かに任せたい場合はどうすればいい?
    次の方法が考えられます。
    (1)遺言書による負担付遺贈
    (2)生前の死後事務委任契約

  2. 負担付遺贈による場合に気を付けることは?
    (1)受遺者の負担が大きくなりすぎないよう、事前にできることは自分で準備をしておく。
    (2)身の回りの契約一覧や、財産目録を作成して受遺者の負担を減らす。
    (3)遺言執行者を指定する。
    (4)事前に受遺者と打合せをしておく。

  3. 死後事務委任契約による場合に気を付けることは?
    (1)受任者を遺言執行者とする遺言書をあわせて作成しておく
    (2)相続人がいる場合は、相続人との間で確執が生じないように配慮する。
    (3)一般的には報酬を定めるが、報酬の定めは任意。

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