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何歳になっても成長を実感できる! 「吉本プラモデル部」部員が大人になって再開したプラモにハマっている理由

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2022年8月16日 10時0分

何歳になっても成長を実感できる! 「吉本プラモデル部」部員が大人になって再開したプラモにハマっている理由

何歳になっても成長を実感できる! 「吉本プラモデル部」部員が大人になって再開したプラモにハマっている理由

ライターの榎並紀行さんが、「吉本プラモデル部」の佐藤哲夫さん・鈴木Q太郎さんに、大人になってから始めるプラモの魅力をお聞きしました。子どもの頃と比べてキットが進化していて、「何歳になっても成長を実感できる」そうです。

お笑いコンビ「パンクブーブー」の佐藤哲夫さん、「ハイキングウォーキング」の鈴木Q太郎さんは、大のプラモデル好き。

 

30代後半になってプラモに「再会」してからはプラモ熱が極まり、ライフワークと言えるほどにハマっていったそう。同じようにプラモを愛する芸人を集めた「吉本プラモデル部」では、佐藤さんが部長、Q太郎さんが副部長を務めています。

 

大人になってからのプラモデル体験には、子ども時代のそれとはまた違う醍醐味があるそうです。そこで、再びプラモデルを好きになった経緯、大人が本気で熱中するからこそ得られる喜びや楽しさについて伺いました。

 

取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
撮影:関口佳代

※取材は、新型コロナウイルス感染対策を講じた上で実施しました

 
***

 

プラモデルが売れているという。自宅で過ごす時間が増えたことから、ひとりで何時間も没頭できる趣味として静かなブームを呼んでいるようだ。

 

先日、筆者も気まぐれでガンプラに手を伸ばしてみたが、確かに楽しい。塗装などにも凝りたくなり、気付けばエアブラシまで購入していた。子どもの頃に比べて財力があるぶん、大人のプラモ体験は深みにハマりやすい。

 

吉本プラモデル部の佐藤さん、Q太郎さんも、大人になってから再びプラモの魅力にとりつかれたそう。今は趣味の域を超え、生活の一部になっているという。

 

40歳を過ぎてなお、夢中になってしまうプラモデルの面白さについて、お二人に語っていただいた。

一度は離れたプラモデル。進化していたガンプラに触れ再びハマる

──お二人は幼少期にプラモデルデビューし、その後はしばらくの空白期間があったそうですね。大人になって再開するまでの変遷を教えてください。

 

佐藤哲夫さん(以下、佐藤)
デビューは4歳か5歳くらいで、その頃から塗装もしていました。

 

うちの親父が、「手を動かして何かを作る」のはいいことだと思っていたようで、プラモデルは割と買ってくれたし、塗料の使い方も教えてくれたんですよ。

 

「塗料を混ぜれば、どんな色も作れるから試してみなさい」って。たぶん教育の意味もあったんでしょうけど、非常にありがたい環境でした。

 

ただ、「3色以上の塗料を混ぜると濁るからよくない」ってことだけは、あの時の親父に言いたいですけどね(笑)。

その後、中学、高校に入ってからも作っていたんですけど、友だちには言わなくなりました。

 

今は堂々と胸を張れる趣味なんですけど、当時は照れくさいというか、高校生になってまでプラモを卒業できないダサいやつみたいな感覚があったんでしょうね。だから、家に帰ってからコツコツひとりで作っていました。

 

プラモから遠ざかったのは、高校を卒業して吉本に入ってから。ガスやら電気やらも止まってしまうくらいお金がなかったので、プラモを買っている場合じゃなかったんです。

 

鈴木Q太郎さん(以下、Q太郎)
僕は、小学校低学年の頃にちょうどガンプラブームが来て、母ちゃんに「ビグロ」っていうモビルアーマーのキットを買ってもらいました。本当はガンダムが欲しかったけど、すべて売り切れていて。

 

その後はほかのガンプラや「聖戦士ダンバイン」というロボット系アニメのプラモデルにも手を出しましたが、当時の熱は割とすぐに冷めました。

というのも、高学年の頃にファミコンが出て、そっちに夢中になってしまったんです。

 

──そんな二人が大人になり、再びプラモに戻ってきたきっかけは何だったのでしょうか?

 

佐藤
2歳半の息子に「ダンボール戦機」っていうアニメのDVDを買ってあげたら、付録でプラモデルがついてきたんです。それに息子が興味を持って、一緒に作り始めたのがきっかけでしたね。

 

Q太郎
実は、僕も「ダンボール戦機」がきっかけなんですよ。僕はまずゲームを好きになり、それのプラモデルが出ていたから買うようになったんです。

 

流れでガンプラにも手を伸ばしてみたら、僕が子どもの頃に比べてめちゃくちゃ進化していて、気付いたらハマっていました。

 

ちょうどその頃に、部長と楽屋でプラモデルの話をしたんですよね。

佐藤
そうそう。「えっ? Qちゃんもやってるの?」って。それで、「じゃあ今度うちでプラモパーティーしようよ」って話になった。「プラモパーティー」なんて言葉はないんですけどね。

 

パジャマパーティーみたいに、酒でも飲んでワイワイやりながらプラモを作ったら面白いなあと。それがのちのちの活動へとつながっていきました。

プラモデルは「俺、すごいじゃん」と錯覚させてくれる

──大人になってからのプラモデル体験は、子どもの頃と違う楽しさを感じますか?

 

佐藤
感じますね。プラモデルのキットも進化しているから、特別な技術がなくてもかっこよく作れるんですよね。

 

今のガンプラのクオリティとか、恐ろしいですからね。今年出たRG(リアルグレード)のジオング、激ヤバですから。

 

それってキット自体が進化してるだけなんですけど、自分が進化してるような錯覚に陥るんです。

 

Q太郎
趣味だから錯覚や勘違いでいいんですよ。楽しければ。

 

──今のキットはいわゆる素組み(塗装や加工をせず組み立てること)をするだけで、十分に満足感が得られますよね。

 

佐藤
そう。そこから自分なりに、塗装や加工をするなどして、もう一つ先を目指すこともできる。

 

もしくは、あえて旧キット(古いプラモデル)から作り込むことだってできます。

 

旧キットって絶版になってプレミア価格に高騰しちゃうことが多いんですけど、ガンプラは初代シリーズもいまだに定価で買えるのが素晴らしいですよね。

Q太郎
あとは道具ですよ。子どもの頃は買えなかったエアブラシ(塗料を吹き付けて色を塗る道具)とか使えますし、「俺、すごいじゃん」って錯覚する(笑)。

大人になって買えるようになったのもあるけど、道具そのものが充実しています。

 

昔は雑誌のかっこいい改造をまねしたくても、そもそも子どもにはモデラー(プラモデルを趣味とする人)が使うような工具なんて、なかなか揃えられない。

 

今はパテ一つとっても、プラモ専用のものがある。自動車専用のパテとかを使っていた頃に比べたら、すごくやりやすくなっていますよ。

 

──道具だけでなくネットで情報も入手しやすくなっています。

 

佐藤
本当に便利な世の中になりましたね……。

 

ただ、そのぶん弊害もあって、ちょっと質問しただけなのに「そのやり方は間違ってる!」と、オンラインでゴリゴリに叱り付けてくるモデラーのおじさんとかいるんですよ。

 

そういう人の言うことまで真剣に受け止め過ぎない方がいいと思います。

 

──正解・不正解ではなく、自分なりに楽しめばいいと。

 

佐藤
自分が楽しいと思えるやり方だけ参考にすればいい。そうやってうまく使えば、ネットは本当に便利です。

 

昔はお小遣いで模型誌を買わないと学べなかった技術が、今では検索すれば簡単に入手できますからね

 

僕らも大人になって再開後に、初めて覚えた技術や専門用語も多かったです。

 

Q太郎
「ヒケ」とかね。

 

佐藤
パーツの表面や、パテで盛った部分の凹みのことを「ヒケ」って言うんですけど。なんか専門的でかっこいいじゃないですか。

 

だから覚えたての頃は、やたらと使ってましたね。「パテがヒケちゃった」とか「Qちゃん、目の下ヒケてるね」とか。

Q太郎
これはヒケじゃなくて顔の彫りですから!

 

──確かに、使いたくなりますね(笑)。

 

佐藤
最初はそんなことばっかり言ってゲラゲラ笑ってましたね。

 

こんなに笑えるなら、プラモデルの話だけをするライブでもやろうかって始まったのが吉本プラモデル部なんです。

プラモはひとりでやる趣味だけど、話してみたら意外と仲間がいた

──ほかに、プラモデルを再開して良かったことはありますか?

 

佐藤
プラモを通じて友だちが増えたことも大きいです。プラモって家にこもってやれる趣味だから、ひとりで楽しんでいるだけって人もけっこう多いんです。

 

でも、僕とQちゃんがそうだったみたいに、誰かに話してみたら意外と近くに仲間がいるんですよ。同じものが好きってだけで、世代の垣根も越えられますしね。

 

──吉本プラモデル部には、芸歴・年齢もさまざまなメンバーがいます。

 

佐藤
仕事では一回も会ったこともないような若手の子もいます。プラモデルという接点があれば、芸歴的にも年齢的にもおじさんの僕と若手が、すごく仲良くなれてしまう。

 

──プラモデル歴60年の俳優・石坂浩二さんとの接点もできたそうですね。

 

佐藤
YouTubeチャンネルにも「プラモデル業界が盛り上がるなら」と、生出演いただきましたからね。逆に、石坂さんのプラモデルクラブの展示会で一緒にトークさせてもらったこともあります。

 

あの石坂浩二さんと僕がプラモの話をしてるなんて、ありえないことですよ。でも、石坂さんもその時は俳優ではなく、あくまでひとりのプラモデル好きとして接してくださいます。

 

普通なら到底お会いできないような業界の重鎮のような方と通じ合えてしまうのも、プラモデルのおかげですね。

700円のキットで2カ月遊べる。プラモを再開したら浪費しなくなった

Q太郎
僕はプラモデルを始めたことによって、お金を使わなくなりました。

 

──え、本当ですか! でも、道具代やキット代がかかりますよね?

 

Q太郎
プラモをやってなかったら、ほかでもっと使っていたと思います。僕、浪費ぐせがすごいんです。お酒も好きで、家でも瓶のウイスキーを一晩で空けちゃう。

 

今はプラモが晩酌代わりです。道具を揃える初期費用はかかりますけど、あとはキット代だけですからね。しかも、1個700円のプラモで2カ月くらい楽しめる。

 

佐藤
確かに、プラモは深く突き詰めるほどお金を使わなくなるよね。必要なパーツがあっても自作するようになるから。

 

──ちなみに、初期費用ってどれくらい見積もっておけばいいでしょうか?

 

佐藤
全部かなり良いもので揃えるとしても、5万円あれば十分。エアブラシまで含めても、その金額で収まると思います。ニッパー(切断するための工具)なんて一度買ってしまえば、何年も使えますからね。

 

──お二人が特にこだわっている道具はありますか?

 

Q太郎
僕はそのニッパーかな。ゴッドハンドさんの「アルティメットニッパー」か「ブレードワンニッパー」を愛用しています。

穴を空ける工具とかは何でもいいんですけど、切る感覚だけはこだわってますね。

 

佐藤
僕はヤスリですね。プラモの作業のなかで、一番長いことやるのがヤスリなんです。

ニッパーは最初にパーツを切り離せば、後はあまり使わない。ヤスリはパーツを切った時の断面にかけたり、塗装前に面を整えたり、塗装後もまたかけたりと、ずっと登場します。

 

だから、割と良いものを常に3本くらいストックしていますね。

 

──人によって、こだわる道具が違うのも面白いですね。

 

佐藤
好きなプラモデルのジャンルによって、こだわる道具が変わるかもしれない。

Q太郎
そうですね。僕は戦車をよく作るけど、そこまでヤスリを使うことはない。戦車はあえてボロボロ感を出すから、表面をきれいにする工程が少ないんですよ。

 

佐藤
僕もこないだ戦艦を作った時は、全然ヤスリ出てこなかったな。

 

その代わり、細かいパーツが多いからひたすらピンセット。実際、船をよく作るモデラーに聞くと、めっちゃ高いピンセットを使ってたりしますね。

「何歳になっても成長できる」それが大人になって始めるプラモデルの醍醐味

──忙しい仕事や生活の合間にプラモデルを作るのは、なかなか大変ではないですか?

 

佐藤
いや、逆ですね。今の僕は「プラモデルの合間に、仕事や生活がある」という感じです。

 

作業に疲れたらご飯を食べてお風呂に入り、ヤスリがけが落ち着いたら漫才をする。

 

移動の新幹線の中ではディテールや細部の造形について考えたり、それに必要な工具を調べたりと、昼夜問わずプラモデルのことをずっと思っています。

 

Q太郎
昔、千原ジュニアさんが若手芸人から「いつネタを考えてるんですか?」って聞かれた時、「常にや」って答えていて、かっこいいなと思ったんですけど、部長も同じですよね。常にプラモデルのことを考えている。

 

佐藤
こっちは別にかっこよくないってとこだけが違うけどね。モデラー以外、全く共感してもらえないから。

 

でも、今や習慣に近いですね。プラスチックに触らないと眠れない。最悪、プラモデルじゃなくてプラ板でもいいから触っていたい。

 

──Q太郎さんはどうですか?

 

Q太郎
僕は完全に夜型です。毎日、夜の10時くらいから始めて、だいたい3時か4時くらいまでやってますね。

 

ただ、いくら作業に没頭していても、何かあれば中断します。

 

例えば、この戦車のキャタピラって1コマずつ作っていくんですけど、接着剤がガチガチに乾く前に一気に仕上げないといけない。でも、そういう時に限って、子どもが泣いたりするんですよね。

佐藤
あるある。「もう、パテ盛っちゃったのにな」って。そこは家族優先。

 

趣味って人生を楽しくするためのものなのに、家族に楽しくない思いをさせるような向き合い方は間違ってると思う。

 

──本当にそうですよね。

 

最後に、大人になって「またプラモデルを趣味として始めてみよう」と考えている人に、楽しく続けるためのアドバイスをいただきたいです。

 

Q太郎
まずは、とにかく最後まで完成させてみることですかね。達成感も得られるし、反省点がハッキリするんですよ。

 

失敗してもいいから塗装までやってみると、「なんでここが汚いんだろう」とか、悔しい部分が出てきます。次はきれいに塗る方法を調べたりするじゃないですか。

 

そうやって段々とハマっていくんだと思います。

 

──出来栄えはどうあれ、まずは最後までやりきることが大事だと。

 

Q太郎
そう。いきなりすごい作品を作ろうと力まない方がいいですよ。

 

ガンプラだったら初心者向けのスターターキットもあるので、そういうものから入って、一歩ずつ段階を踏んでいけばいいと思います。

 

佐藤
プラモは器用じゃなくても上達できますからね。

 

僕なんて、線一本をまっすぐきれいに引くことすらできないくらい不器用なんですよ。それでも、どんどんうまくなっている実感がある。

 

うまく作れないのはやり方を知らないからで、「知識」と「根気」、そして「家族の理解」さえあれば必ずできるようになります。

 

しかも、何歳になっても成長できる。そんなのプラモくらいじゃないかと思いますよ。

僕は45歳なんですけど、この歳になると目も肩も腰も衰える一方で、すべての能力が下がっていくんです。スポーツなんて20代の子には勝ちようがない。「大乱闘スマッシュブラザーズ」でさえ息子に勝てなくなる。

 

でも、プラモは違います。根気よく続けて経験と知識を積んでいけば、絶対にうまくなる。

 

大人になってから自分が成長していくのを実感できるのって、ものすごい喜びですよ。それが、大人になってから始めるプラモデルの一番の醍醐味だと思いますね。

 

***

 

 

お二人に話を伺い、趣味がいかに人生を豊かにしてくれるか、あらためて感じさせられた。

 

大人になってから何かにハマるのは意外と難しいが、プラモデルのようにかつて子ども時代に触れたことのあるものならとっつきやすい。

 

極めれば極めるほどお金がかからなくなるというのも、長く続けるにはもってこいだ。

 

佐藤さん、Q太郎さんの言葉に心動かされた人は、週末にでも近所のおもちゃ屋をのぞいてみてほしい。その一歩が、生涯のライフワークに出会う入口になるかもしれない。


吉本プラモデル部
・オフィシャルサイト:http://yoshimoto-plamodel.com/
・Twitter:@yoshimotoplamo
・YouTube:吉本プラモデル部チャンネル

(C)創通・サンライズ

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