フィードバックとは|意味をわかりやすく解説。ビジネスでの人材育成のコツとは
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年4月17日 10時0分
フィードバックという言葉は知っていても、詳しい内容をご存じない方は多いのではないでしょうか。ビジネスの場でのフィードバックとは一般的に、上司が部下に対し、その行動を修正するために行う指導方法のことです。ここでは、フィードバックの意味や目的・効果的な方法を紹介します。
フィードバックとは
フィードバックとはある行動(原因)から得られた結果を原因と照らし合わせて、行動を補強・修正することで、結果をより良いものに導くことを意味します。転じてビジネスシーンでは、部下の行動や業務を改善するために上司が面談や助言を通して立て直すことも意味します。
フィードバック(feedback)の日本語訳は「帰還」となり、もともと制御工学で生まれた言葉です。そこでは、あるシステムから出力した信号の一部を入力側に戻して、出力が適正になるようもとのシステムを制御する意味で用いられます。
ビジネスシーンでも効果的な人材育成の方法として注目されており、取り入れる企業も多くあります。
フィードバックを行う目的
そもそもなぜフィードバックを行う必要があるのでしょう。フィードバックを行う主な3つの目的について解説します。
人材の育成
指導する側が指導される側の業務を振り返り、改善案を提示するのがフィードバックです。上司から新人や若手社員に向けて行われることが多く、人材を育成する目的があります。
経験の浅い社員は、初めて行う業務が正しくできているのか判断できません。間違いに自ら気づき、独自に修正しながら業務を遂行するのは難しいでしょう。成長のためにはだれかにチェックしてもらい、正しく進んでいるか確認してもらう必要があります。
部下の働き方、業務の方法、行動の善し悪しを上司が評価し、フィードバックすることで課題を解決する能力を磨いていくのです。指導する側にとっては部下に不足している能力が把握でき、指導される側は業務上の悩みや難しさを相談する場ができます。
目標の達成
若手の部下がだれの力も借りずに目標達成に向かうのは難しいでしょう。上司の指導を受けたり、業務の流れを説明されたりしながら成長していきます。新たな業務を身につけようとするたびに悩んだり行き詰まったりして、目標に到達できない場合もあるでしょう。
フィードバックを実施すると、悩みや迷いが解決され目標達成へのズレを修正できます。個人だけでなくプロジェクトチーム全体の士気を高めるためにも有効です。
信頼関係の構築
上司から部下へのフィードバックを頻回に行うことで、信頼関係が構築されます。部下は「困ったら聞ける場所がある」と思えるため、安心して業務を行えます。
上司から部下を気にかけて話すことで自然と円滑にコミュニケーションが取れるでしょう。フィードバックをもとに軌道修正して目標が達成できれば部下の自己肯定感が上がるため、仕事への意欲や生産性向上にもつながります。
フィードバックの伝え方は2タイプ
ビジネスシーンでのフィードバックの伝え方は大きく2つのタイプに分けられます。それぞれ以下のようなものです。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックとは、部下の行動の良い面に注目し、肯定的な言葉で伝える手法です。
フィードバックは修正や立て直しを図る過程であるため、できていない部分や不足している部分に注目しがちになります。しかし、できていないところばかり指摘すれば、部下の意欲や自己肯定感が低下する恐れがあり「自分は仕事ができない」「だめな自分が悪い」と自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。
ポジティブフィードバックは「良い部分」「できている部分」を見つけて声かけをするため、褒めて伸ばすというイメージが近いかもしれません。部下のモチベーション向上にも役立ち、上司の助言を素直に受け入れやすくなるでしょう。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは、相手ができていない部分や改善が必要な部分にフォーカスして指摘・助言を与える手法です。フィードバックは現状の問題点を洗い出し、改善を図っていくため、ネガティブフィードバックをイメージする人が多いかもしれません。
問題点を指摘するため、改善すべき点が明確になり、立て直しがしやすくなるメリットがありますが、相手に不快感を与える場合もあります。伝え方や表現を十分注意しなければ、「人格否定」「パワハラ」と受け取られる可能性もあります。
言動や伝え方に注意しながら問題点にのみ注目して助言しましょう。また、ネガティブフィードバックのあとにポジティブフィードバックをするなど、良い面を指摘する割合が多くなるように工夫してみてください。日頃からコミュニケーションを密に取って、良好な関係を築いておくのもポイントです。
フィードバックの方法
フィードバックの方法はさまざまですが、今回は特に現場で実践しやすい3つを紹介します。具体例も提示しているため、ぜひ参考にしてみてください。
サンドイッチ型
サンドイッチ型は、ポジティブの間にネガティブな内容を挟むようにする手法です。例えば以下のようになります。
- ポジティブ:資料がまとまっていて見やすかったよ。次回もこのままの調子で続けてね。
- ネガティブ:質疑応答ではもう少し伝わりやすい表現で返答できるともっと良くなるね。
- ポジティブ:プレゼンの時間はちょうど良いし、話す声も良く通っていて聞きやすかったよ。
このように、良い面の間に悪い面を指摘してポジティブな表現で終えると、指摘された側は素直に受け入れやすくなります。褒められた印象が強くなるため、次回はできていない部分を改善しようと努めてくれるはずです。
SBI型
SBI型は状況(Situation)・行動(Behavior)・影響(Impact)の頭文字から成り立っており、S・B・Iの順序でフィードバックする手法です。
部下は状況や行動を順番に説明されるため、理解しやすくなるメリットがあります。ある状況でどのように考えたのか、お互いが理解して改善につなげることができます。例えば以下のような流れです。
- S:昨日、お客様に対応していた場面だけど、
- B:明るい表情と丁寧な言葉づかいができていて良かったよ。
- I:おかげで、お客様から「指導が行き届いている」と褒められたよ。これからも続けてくれるとありがたいな。
上記はポジティブな場面での使い方ですが、SBI型はネガティブ場面でも使えます。ただし、信頼関係ができていない状況でネガティブに使ってしまうと、責められている印象が強くなり関係性が悪くなってしまう場合もあります。
できなかったことを問い詰められた経験は後々まで記憶に残り、関係性を回復させるのが困難になるため十分注意しましょう。
FEED型
FEED型は、相手が取った行動(Fact)→その行動を指摘する理由(Example)→行動による影響(Effect)→次回に向けた改善策や代替案(Different)の順番に展開する手法です。
部下の行動から改善策の提案まで一連の流れで実施されるため、部下の行動の改善を促しやすい特徴があります。例えば以下のような内容です。
- F:昨日、会議資料をまとめてくれたよね?
- E:今のままでも良くまとまっているのだけれど、もうひと工夫すればさらに良くなると思って声をかけたんだ。
- E:今の内容でもわかると思うけれど、文字の説明が多くて、全員に理解してもらうのは難しいかもしれないね。
- D:次回は、表やグラフがあると視覚的に見やすくなってより良い資料になると思うよ。
行動から改善策まで一貫性を持って話すことで信頼関係が築けます。
フィードバックをより効果的に行う方法
フィードバックを効果的に行うためにはポイントがあります。以下に5つ紹介するので、実践する際の参考にしてみてください。
伝え方を工夫する
フィードバックでは曖昧な表現や指示をできるだけ排除し、具体的な内容になるように工夫しましょう。抽象的な内容は相手に上手く伝わらず、改善点を意識しにくいためです。例えば、部下が作成した会議資料に対して「もっとわかりやすい資料にして」と指示するだけでは、どこをどのように修正すれば良いのかわかりにくいでしょう。
「重要な箇所を太字やマーカーで強調してほしい」「伝えたいことが先になるように順番を入れ替えてみて」のように具体的に助言すると、指導された部下は改善すべきポイントが掴みやすくなります。
リアルタイムフィードバックを意識する
改善を必要とする行動が部下に見られたら、できるだけ時間をおかずフィードバックしましょう。日々の業務の中で、上司と部下が頻回に面談や話し合いを行うことを「リアルタイムフィードバック」と呼びます。
人は行動から時間が経つほど記憶が薄れていくものです。行動から数日が経過してから指摘・助言を受けても、部下にとっては遠い過去の記憶になっているためフィードバックを有効に活かせない場合があります。
上司は日頃から部下とコミュニケーションを取り、改善事例があればタイムリーに指摘できるように準備しておきましょう。
人格を否定しない
フィードバックは行動に対して行い、人格を否定しないように意識しましょう。人はだれでも注意や指摘をされたくないものであり、指導を受ける立場の新人社員でも同じです。
「他人のせいにする性格を直したほうが良いよ」と言われても、長い年月をかけて作られた性格を直すのは簡単ではありません。フィードバックは行動に対してのみ行いましょう。
フィードバックは相手ができていない部分、修正が必要な部分を指摘する場合が多いため、受け取る側への配慮が重要となります。
部下の話を最後まで聞く
話の腰を折らずに最後まで部下の話を聞くことが大事です。部下の話がまだ途中でも「それは違うよね」「でも、それはこうだよね」などと遮ってしまった経験はないでしょうか。
面談では、まず聞き役に徹して部下の悩みや思いに共感しましょう。話を途中で遮ると、部下はしっかりと話を聞いてくれない、自分の思いを伝えても意味がないと落胆してしまいます。
即実践できる内容にする
フィードバックがすぐに実践可能な内容かどうかも大事なポイントです。助言や指導した内容が部下のスキルに合っておらず、現状とかけ離れたものだと相手は改善する意欲がわいてきません。
フィードバックする相手に合わせて、どこまで指摘すべきか、成長を待ってから伝えるべきか考えてアドバイスしましょう。
まとめ
今回はフィードバックの目的や方法・より効果を上げるためのポイントを解説しました。
フィードバックは部下の成長や行動の立て直しを促し、改善点を提案することです。フィードバックの手法はさまざまですが、ポジティブ・ネガティブをバランス良く織り交ぜることが重要です。まずは、注意深く部下を観察し、良い面・悪い面の両方からアドバイスできるようにすれば関係性が良くなります。
また、日頃から部下との信頼関係を作るためには、頻回に声かけや話し合いをする必要があります。例えば一緒に食事をすることも信頼関係構築に役立つでしょう。
部下を食事に誘ったときは、部下の食事代も一緒にクレジットカードで会計するのがスマートです。いろいろな場面で役に立つ楽天カードを1枚作っておいてはいかがでしょうか。フィードバックが効果的に作用する土台作りにも気を配って、部下の成長を後押ししましょう。
※この記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しております。
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