「大丈夫です」は正しい敬語?ビジネスでの言い換え表現や、ほかに注意したい言葉を紹介
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年5月10日 10時0分
皆さんは、上司や先輩との会話で「大丈夫です」と口にしていませんか?「大丈夫です」という言い回しは、家族や友人との会話では問題になりませんが、ビジネスシーンにおいては正しい言葉遣いとはいえません。ここでは、「大丈夫です」という言葉の適切な使い方と場面ごとの言い換え表現や、「大丈夫です」以外に注意しておきたい言葉について解説します。
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「大丈夫です」は敬語?
日常でも多用される「大丈夫です」という言葉遣いは、文法上は丁寧語に分類されます。しかし、ビジネスシーンにおいては積極的に使いたい表現ではありません。近年、「大丈夫」という言葉が本来の意味とは違った使われ方をするようになり、言いたいことが正確に伝わりにくくなっているからです。
「大丈夫です」という言葉は、文脈次第で肯定も否定も意味します。そのため、「大丈夫です」と言われた側は、どの意味で使われたかを推測しなければなりません。このような曖昧表現はビジネスでは不適切であり、避けるべきでしょう。
「大丈夫」の本来の意味
そもそも「大丈夫」には、本来、以下のような意味があります。
- 安心できるさま、しっかりしているさま
- 間違いがなく確かなさま
そのため、例えば「対策をとったため、もう大丈夫」や「このテストの解答は、大丈夫」というのが本来の使われ方です。
「結構です」も適切ではない
「大丈夫です」と同じように使われている「結構です」という言い回しにも注意が必要です。「結構です」は「結構だ」の丁寧語なので敬語表現ではありますが、尊敬語や謙譲語ではないため、目上の人に対して使う言葉としてはあまり適切とはいえません。
また、「結構です」だけでは、同意しているのか拒否しているのかがわかりにくいでしょう。「大丈夫です」と同様、誤解を生む可能性があります。
曖昧表現になるため注意
前述のように、「大丈夫です」や「結構です」は、使われる場面によってはどの意味で使われたのか、わかりづらい表現です。ビジネスシーンでのコミュニケーションは、スムーズに進めることが理想的です。しかし、「大丈夫です」のような曖昧表現を使ってしまうと、相手がその意味を確認する必要があります。これではコミュニケーションがスムーズに進まず、誤解を招いてしまう可能性も考えられます。
そのため、ビジネスシーンでは「大丈夫です」のような、どちらにも取れる曖昧表現は避けるようにしましょう。
「大丈夫です」が使われる場面とは
「大丈夫です」が使われる場面はさまざまありますが、代表的な場面としては以下の3点が挙げられます。ここでは、「大丈夫です」が使われる場面を確認していきましょう。
- 肯定で使う場合
- 否定で使う場合
- 相手への配慮で使う場合
(1)肯定で使う場合
上司や先輩からの意見や依頼、質問に対し、「大丈夫です」と肯定の意味で答えることがあります。「間違いがなく確かなさま」という本来の意味から派生した用法です。
肯定の意味で用いるのが、「大丈夫です」の使われ方の中でポピュラーな場面といえます。
(2)否定で使う場合
「大丈夫です」は、否定や拒絶、不要といった意味で多用されるケースも目立ちます。例えば、「今晩、飲みに行こうよ」と先輩から誘われて、「今日は、大丈夫です」というような使われ方です。
これは「大丈夫」の本来の意味からはずれた用法です。しかし、日常会話で多用されており、結果的に「大丈夫です」は肯定の意味でも否定の意味でも使われるようになっています。「大丈夫です」だけでは捉え方次第で意味が異なってしまうため、最低限の配慮として、「はい」「いいえ」を添えて使うようにする必要があるでしょう。
(3)相手への配慮で使う場合
相手からの謝罪などに対して、配慮の意味で「大丈夫です」と返すことがあります。これは「気にしないで」や「悪く思っていません」というニュアンスで、本来の「安心できるさま」の意味が残っています。ただ、基本的にこのような言い回しは、家族や友人などの親しい間柄で交わされることが多く、ビジネスシーンでは積極的に使われません。
目上の人へ「大丈夫です」の適切な言い換え表現
ビジネスシーンで「大丈夫です」に相当する内容を伝えたい場合は、場面によって使うべき言葉は異なります。ここからは、目上の人への適切な言い換え方を、以下の3つの場面に分けて解説します。
- 肯定で使う場合
- 否定で使う場
- 相手への配慮で使う場合
(1)肯定で使う場合
肯定で使う場合は、以下のような言葉を使うのが適切です。
- 「対応いたします」
- 「承知いたしました」
- 「かしこまりました」
これらは、相手からの意見・依頼・疑問に対して、肯定や可能、了承を表すのに適切な表現となります。相手への伝わり方を考えれば、曖昧な表現は残さないことがベストであるため、例えば「〇〇の件、承知いたしました」や「〇〇について、かしこまりました」などもおすすめの返答です。
(2)否定で使う場合
否定で使う場合は、以下のような言葉を使うことが適切です。
- 「できかねます」
- 「対応いたしかねます」
- 「お断りいたします」
- 「必要ございません」
相手への配慮ではっきり伝えたくない方も多いかもしれませんが、曖昧な表現によって相手に迷惑を掛けてしまう可能性もあります。そのため、相手の申し出などを断りたい場合は、明確に否定の意思を伝えるべきでしょう。ただ、その際の言葉遣いは失礼に当たらないように配慮する必要があります。
(3)相手への配慮で使う場合
相手への配慮で使う場合、以下のような言葉を使うことが適切です。
- 「お気になさらないでください」
- 「問題ございません」
「大丈夫です」という言葉遣いは、ときに突き放すような言い方にもなりかねません。そのため、例えば「お気になさらないでください。〇〇さんこそ、問題ございませんでしたか?」というような気遣いの一言も大切です。
注意したい言葉の使い方
「大丈夫です」以外にも、日常で多用されているもののビジネスシーンでは不適切な表現となっている言葉遣いが数多く存在します。ここからは、注意したい言葉の使い方について、以下の11点を紹介します。
- 「了解です」
- 「そうです」
- 「聞いています」
- 「なるほどです」
- 「ご苦労さまです」
- 「お久しぶりです」
- 「お世話さまです」
- 「お名前を頂戴できますか?」
- 「どうしますか?」
- 「よろしかったら」
- 「すみません」
(1)「了解です」
「了解です」はよく誤用される言葉遣いのひとつです。「承知いたしました」や「かしこまりました」が適切な表現といえるでしょう。家族や友人など親しい間柄で使うことは問題ありませんが、上司や先輩、取引先などとやり取りするビジネスシーンでは注意が必要です。
(2)「そうです」
肯定の意味で使われる「そうです」の言葉遣いも、ビジネスシーンにおいては失礼に当たります。正しくは「左様(さよう)でございます」や「おっしゃるとおりです」です。相づちのように使われることが多く、日常会話でクセになっているケースもあります。そのため、慣れるまでは意識して使うように心がけましょう。
(3)「聞いています」
「聞いています」の表現は、誰から聞いたかによって使い分けが必要です。謙譲語である「伺っています」は自身をへりくだって使う表現であるため、へりくだる必要がない場合は「聞いています」が適切です。例えば、会話相手が取引先で、自社の前の担当から取引先のことを聞いていた場合は、「(前の担当)から聞いています」となります。
(4)「なるほどです」
「そうです」と同様に肯定の意味で使われる「なるほどです」は、ビジネスシーンでは適切な表現ではありません。正しくは「左様でございます」「おっしゃるとおりです」に言い換えられます。「なるほど」は本来の意味から、相手を評価する際に使われるニュアンスがあります。そのため、相手を見下したようにも思われかねませんので、使わないようにしましょう。
(5)「ご苦労さまです」
とくに職場で相手を労うために使われる「ご苦労さまです」は、相手によっては注意が必要な言葉遣いです。本来、「ご苦労さまです」は、目上の人が目下の人を労う意味があります。そのため、相手が上司や先輩であれば「ご苦労さまです」ではなく、「お疲れさまです」という表現が適切です。
(6)「お久しぶりです」
長らく会っていない場合に使われる「お久しぶりです」は、くだけた表現であるためビジネスシーンでは適切な表現ではありません。ここでの適切な表現は「ご無沙汰しております」となりますので、とくに目上の人に対して使う際に注意しましょう。
(7)「お世話さまです」
「お世話さまです」という表現は、ビジネスシーンにおいては適切ではありません。本来、「お世話さまです」は「ご苦労さまです」と同様に、目上の人が目下の人を労うという意味があります。そのため、正しくは「お世話になっております」であり、こちらを使うのが望ましいでしょう。
(8)「お名前を頂戴できますか?」
相手の名前を確認する場合、望ましい表現は「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」です。なお、「お名前をいただけますか?」も誤った使い方です。名前はもらうものではありません。
(9)「どうしますか?」
「どうしますか?」は適切な表現ではありません。ビジネスシーンでは「いかがなさいますか?」や「いかがいたしましょうか?」が適切な表現です。なお、この2つの表現は、動作をするのが相手なのか自分なのかによって異なりますので、使い分けに注意しましょう。
(10)「よろしかったら」
「よろしかったら」は、確認する状況によっては不適切になります。過去のことを確認する際はこれでかまいませんが、現在のことを確認していれば「よろしければ」が適切です。ただ、ビジネスシーンにおいて「よろしかったら」はあまり使われないため、注意が必要です。
(11)「すみません」
謝罪の意味を示す「すみません」は、敬語表現としては丁寧さに欠ける印象です。より丁寧に伝えたい場合は「申し訳ございません」や「お詫び申し上げます」、「失礼いたしました」となります。どの言葉を用いるかは、シチュエーションによって異なります。
日本語は同じ言葉でも複数の意味や表現方法があるため、使い分けが難しい言語です。しかし、正しい言葉遣いを心がけるだけで、「上品な人」や「仕事ができるビジネスパーソン」などの好印象を持たれやすくなります。そのために、ここで解説したような伝え方を理解し、普段から丁寧な言葉遣いを意識しましょう。
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※この記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しております。
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