オール電化で電気代が高い原因は?世帯別の平均やおすすめの節電方法について解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年5月29日 10時0分
引っ越しやマイホーム購入などをきっかけに、オール電化を検討しているご家庭もあるでしょう。それにはオール電化に省エネ効果があり、オール電化にすると光熱費が安くなると聞いた影響もあるのではないでしょうか。しかし昨今の電気料金の値上げで、オール電化住宅の電気料金も高くなっています。 ここでは、オール電化についての基本的な知識や平均的な電気料金について確認するとともに、電気代が値上がりしている原因を解説していきます。
オール電化とは
オール電化とは、家庭で生活するために必要なエネルギーをすべて電気のみでまかなうことです。一般的な家庭では、キッチンやお風呂、暖房などでガスを使用することが多いと思われますが、オール電化住宅ではガスの代わりに電気を使用します。
オール電化住宅にするには、主に次のような機器・設備を使用します。
エコキュート
エコキュート(正式名称「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」)とは、ヒートポンプ技術によって空気の熱を利用し、お湯を沸かす家庭用給湯機器です。電気料金が安い夜間電力を使用して効率良くお湯を沸かすので、ガス給湯器よりも光熱費を抑えられる場合があります。
また、エコキュート購入の際には国や自治体から補助金が出る場合があることも、注目されている理由のひとつです。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターとは、磁力線の働きで鍋の底にうず電流を発生させ、鍋を発熱させる加熱機器です。火(ガス)を使用せずにフライパンや鍋といった調理器具を加熱し、食材の調理を可能にします。なお、IH(Induction Heating)は、電磁誘導加熱という意味です。
IHは、火(ガス)を使用しないため火災のリスクを減らせるほか、ガス漏れのトラブルがなく、お手入れも簡単というメリットがあります。
蓄熱暖房機
蓄熱暖房機とは、電力によって加熱された耐火レンガや蓄熱レンガから放出される熱を利用して室内を温める暖房機器です。高気密・高断熱の住宅に適しており、じんわりとした暖かさで快適に過ごすことができます。
割安な深夜電力を使用してレンガを加熱するため省エネ性が高いというメリットがあります。また、石油やガスを使用するファンヒーターと違い燃焼部分がないため、換気不足や不完全燃焼による一酸化炭素発生の心配がないほか、エアコン作動時より空気を乾燥させない点も魅力です。
オール電化住宅のメリット
オール電化住宅にすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。家族や家計にとって嬉しいメリットを紹介します。
ガスの基本料金が不要
オール電化にすれば電気のみの使用となるので、基本料金は電気料金の支払いだけで済みます。ガスの基本料金がなくなるので、光熱費の支払いが少なくなる可能性があります。
また、オール電化で使用する機器には、料金の安い夜間電力を使って作動するものもあるため、電気代の節約に役立ちます。
火やガスによる事故リスクを減らせる
オール電化にすると火やガスを使用しないため、火災やガス漏れなどの事故が起こりにくくなります。
特に、日中の室内に子供や高齢者だけになる場合は、どうしても火元の安全が気になるもの。オール電化なら火やガスを使用しないため、留守にするときも安心です。
「オール電化住宅割引」が使えることもある
火災保険に加入する際、住居内の給湯や空調、調理などすべての設備を電力でまかなっている場合、「オール電化住宅割引」が適用されることがあります。
ただし、オール電化でありながらも石油ストーブや卓上コンロなどを使用している場合は、保険会社ごとに対応が異なります。割引が利かない保険会社もあるので、確認が必要です。
災害時に役立つ
災害発生時に水道が止まっても、エコキュートや電気温水器などの機器内に入っている水は、非常用水として活用できます。ただし、飲用水としては控えたほうが良いでしょう。
また、太陽光発電や蓄電池といった設備があれば、電気が遮断されても貯められている分だけの電気は使用できます。停電になっても必要最小限の機器を使うことが可能です。
オール電化住宅の電気料金の平均額
オール電化住宅は電気料金が高くなるというイメージを持たれることがありますが、実際はどのくらいなのでしょうか。関西電力が発表した世帯人数別の電気料金の平均額を確認してみましょう。
世帯人数別オール電化住宅の電気料金平均額
こちらの調査は、2020~2021年の年間使用量の平均値より算出されています。この時点では、一人暮らしで1万円強、4人家族以上で1万8,000円程度が平均的な電気料金でした。
しかし、現在においては、これらの金額よりも電気代が高額になっている電力会社もあり、中には電気料金が倍増している家庭があるかもしれません。
なぜ、電気代がこのように高騰しているのでしょうか。次章で解説していきます。
なぜ電気代が高騰した?いつまで続く?
電気料金の請求書や明細書を見て、その金額の高さに驚いた方も少なくないでしょう。なぜ、電気代がこのように高騰したのでしょうか。主な原因を見ていきましょう。
電力会社が値上げせずにはいられない状況にある
2023年5月現在、多くの原子力発電所が停止し、電力不足のリスクがある状況が続いています。また、2022年2月からのウクライナ情勢や円安により燃料の輸入価格が高騰しています。そのため、発電のためのコストがよりかかっているのが現状です。
電気会社は燃料の調達コストを電気料金に反映させています。これが「燃料費調整額」と呼ばれるものです。電気の調達コストが高くなるほど燃料費調整額の単価も高くなり、家庭の電気代も値上げされています。
政策上の電気代の値引き
光熱費の上昇を受けて、経済産業省は2022年12月7日付で、電気代やガス代の支払い負担を軽減する方策として、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施すると発表しました。電気や都市ガスの小売事業者などに補助金を交付し、各家庭の電気代やガス代の値引きを促すというものです。
すでに2023年1月使用分(2月請求分)から値引きが適用されているので、請求書や利用明細などで確認できます。
ただし、補助金が支給される期間は2023年9月使用分(10月請求分)までとなっており、それ以降の対応は未定です。この事業が10月以降も継続されるかは、不透明という状況といえます。
電気代高騰はいつまで続く?
このように、さまざまな要因により電気代の高騰が続いていますが、いつまで続くのかが気になるところです。
電力会社が発電するための主たる原料は天然ガス、石油、石炭です。LNG(液化天然ガス)の国際的な取引価格は2022年8月をピークに、原油の価格は2022年5月をピークに大幅に下落しています。また、2022年10月に1ドル150円を超えた円安も峠を越え、2023年5月には130円近辺に戻っています。電力を作る原料の価格は、すでに電気代が値上げされる以前の水準です。
また、アメリカ経済は当面インフレ対策が優先事項になるため、大きな成長は期待できず、燃料価格が大きく反騰する理由がなくなっています。このことから、2023年後半までには、日本の電気代も以前の水準に戻る可能性が高いと考えられます。
オール電化住宅におすすめの節電方法は?
今後の電気料金がどうなるかにかかわらず、電気料金は少しでも安く済ませたいものです。そこで、オール電化住宅で効果的な節電方法を4つ紹介していきます。
1.夜間を中心に使用する
オール電化住宅の電気料金は、プランによって安い夜間電力が使用できる時間帯があります。契約している料金プランで安く使用できる時間を確認し、その時間帯を中心に電気を使用すれば、節約になるでしょう。
例えば、洗濯機や乾燥機、炊飯器、食器洗い乾燥機などで、タイマー設定ができるものは夜間に予約しておくのがおすすめです。
2.エコキュートのモードを季節により変更する
エコキュートや電気温水器では、省エネモードの利用で電気代が安く済みます。しかし、寒い時期などお湯を多く使うときは、日中のお湯が足りなくなり沸き増しが必要になる場合があります。
このような場合は、省エネモードではなく、お湯を多く沸かせる設定に切り替えたほうがお得でしょう。季節ごとに最適なモードに設定を見直すことで、電気代を節約できます。
3.ピークカット機能を設定する
安い夜間電力を利用する電気料金プランの場合、ピークカット機能を設定します。ピークカット機能とは、電気料金単価が高い時間帯の沸き上げを停止する機能です。日中の電気料金が高額になる時間帯に沸き上げをして、電気代が跳ね上がってしまうことを防げます。
4.入浴時の工夫をする
入浴する際にちょっとした習慣をつけることで、節電効果が期待できます。例えば、エコキュートでは、日中に沸かした水をお湯張りに使うことで、前日のお湯を追い焚きするよりも消費電力の削減になるはずです。
また、入浴間隔が空く家庭では、自動保温機能を停止すると良いでしょう。「高温足し湯(高温差し湯)」にするほうが省エネになるケースもあり、電気代の節約にもつながります。
オール電化の電気代値上がりには節約で対応しよう
オール電化住宅は省エネ効果があり、光熱費が安くなるということで、リフォームや住宅購入の際などに検討しているご家庭もあるでしょう。しかし、昨今の電気代の高騰はオール電化住宅にも大きな影響を与えています。
電気代が高騰しているのにはさまざまな要因が関係しています。そのため、自分や家族でできる節約方法なども積極的に取り入れ、少しでも電気代を節約できるように心がけることが大切です。
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※この記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しております。
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