VATとは?海外の消費税と、その還付金の受け取り方について解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年6月30日 10時0分
VAT(付加価値税)とは、多くの国で導入されている税金のことで、日本の消費税に相当する税金です。買い物の代金と一緒に徴収される税金で、VAT導入国で買い物をする場合、外国人であっても支払いが免除されることはありませんが、非居住者であればVATの還付を受けられることがあります。 ここでは、VATの仕組み、日本の消費税との違い、そしてVATの還付を受けるための手続きを解説します。これから出張や海外旅行でVAT導入国に行く人は、確認してから出発しましょう。
VATとは?
VATとはValue Added Taxの略称で、付加価値税と訳されます。世界にはVATを導入している国が多数ありますが、呼称はそれぞれです。例えば、フランスではTVA(Taxe sur la valeur ajoutée)と呼びます。
VATは広義の消費税の一種であり、商品売買やサービスの提供があった際の付加価値分に課税される税金です。世界中で導入されている税制であり、間接的に課税される仕組みや還付を受けられる点が特徴です。
VATの税率とVAT導入の背景
VATの税率は導入国によって異なります。例えば、デンマークのVAT標準税率は2023年6月時点で25%です。日本の消費税より高い税率に驚くかもしれませんが、旅行者が海外で支払ったVATは、還付の制度がある国で条件に当てはまると必要な手続きを踏めば還付されます。
ただ、海外で買い物をすることを考えるならば各国のVAT税率については把握しておきたいところです。ここで簡単にVATが導入された背景と各国の税率を押さえておきましょう。
VATの歴史
VATは、1967年にデンマーク、1968年フランスで導入され、1970年代には欧州経済共同体(EEC)諸国を中心に広く採用されるようになりました。現在、EU諸国をはじめとする世界中の国々で導入されており、日本も1989年に消費税制度を導入する際に、欧州のVATを参考にしたとされています。
VAT税率
VAT税率は国によって異なります。ヨーロッパのVAT税率はおおむね20%前後です。ただし、多くの国で特定の商品に対して軽減税率やゼロ税率が適用されています。
以下に主要な国のVAT標準税率や軽減税率、適用品目についてまとめました。
各国のVAT標準税率、軽減税率
※一部、購入地域や購入品により税率が異なる/対象外のものがございます。
ヨーロッパのVATと日本の消費税の違い
ヨーロッパ各国のVATと日本の消費税は間接税に分類される税金であり、仕組みも非常によく似ています。
しかし、比べてみると税率が大きく違うことがわかります。EU加盟国においては下限のVAT標準税率が15%と定められていて、それ以上に設定しなくてはなりません。ヨーロッパではVATの税率を20%前後にしている国が多くなっています。
例えば、スウェーデンやノルウェーなどのVAT標準税率は25%です。しかし、実際には軽減税率が導入されており、食料品、書籍、医薬品、交通機関など生活必需品においては、10%や12%と低い税率が設定されています。また、各国の政策によりVAT対象外の物品・サービスが指定されているものもあります。
一方日本の消費税の税率は、酒類・外食を除く飲食料品と定期購読の新聞で8%、それ以外は10%です。このように見てみると、一概に北欧の税率が高く日本の消費税率が低いとはいえないことがわかります。
VATの払い戻しについて
海外で支払ったVATの払い戻しを受けられるケースがあります。VATは国内での消費に課される税金なので、VAT導入国で購入した物品を国外(日本など)へ持ち帰って消費する場合はVATが還付されるという考え方です。
高価なものを購入したときは、VATの額も大きくなるので、よくわからないという理由だけでVATの払い戻しを受けないのはもったいないです。しっかりと払い戻しを受けるための手続きを確認してください。
どのような買い物で払い戻しを受けられ、どのような対応が必要なのか解説します。
VAT払い戻し対象の条件
どのような場合にVATの払い戻しを受けられるのでしょうか。日本に居住している人が海外での買い物で払い戻しを受ける際のおおまかな条件は以下のとおりです。
- 海外(日本)居住者であること:現地に居住していないこと
- 購入した商品がVAT対象であること:還付を受けることができるのは、VATが商品代金に含まれている場合のみ
- 購入金額が一定以上であること:VAT払い戻しの対象となる買い物には最低購入金額が設けられていることがあります(次項参照)
- 購入後商品を海外に持ち出すこと:現地で消費する目的で購入した商品(具体的には現地で食べる食品やタクシー代、宿泊費などに含まれるVAT)は対象外
- 購入した商品が未開封・未使用であること:購入した商品を現地で消費しないことが条件
以上が、VAT払い戻し対象となるおおまかな条件です。ただし時期や地域によって異なる可能性もあります。
例えば、イギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド)のVAT還付制度は2021年に廃止となりました。そのほかの地域でも、事前にVAT払い戻し対象に該当するかどうかを確認しておいたほうが良いでしょう。
VAT払い戻し対象となる購入金額は?
先ほどご紹介したVAT払い戻し対象の条件の中に、「購入金額が一定以上であること」とありました。一部の例外を除いて、一店舗における商品の総購入金額が一定金額を超えないとVATの払い戻し対象になりません。
主要な国のVAT払い戻し対象になる購入金額を以下の表にまとめたので、参考にご覧ください。なお、以下の情報は2023年6月時点のものです。リアルタイムの情報を収集するときには、現地の税関や観光局、コーディネーター等に確認することをおすすめします。
VATの払い戻し対象となる購入金額の目安
※上記の金額はVAT込みの金額です。
※一部、購入地域や購入品により対象外のものがございます。
VAT還付の手続き
それでは実際にVATの還付を受けるために、商品の購入時に必要なアクションを順に解説します。
1.VAT還付手続きに対応しているか店舗で確認する
VATの還付を受けるためには、店舗で申請書を受け取り、それに必要事項を記入する必要があります。しかし、対応しているのは一部の店舗だけです。VAT還付を望む場合は、購入前に対応状況を確認しておきましょう。
2.必要な書類を提示する
VATの還付を受ける条件のひとつが、国外居住であることです。場合によっては、それを証明できるパスポートや航空券などの提示を求められることがあります。
3.還付申請用紙に記入する
VAT還付には専用の申請用紙(VAT Form)があります。各国でフォームが異なるので、現地の店舗でVAT還付申請用紙を要求しましょう。
還付手続きは基本的に自己申告です。店員に対して「タックスフリー、プリーズ」など簡単な言葉で申請書を出してもらえるよう準備をしておくと良いかもしれません。
4.領収書を大切に保管する
現地の店舗で購入したことがわかる領収書やレシートは捨てずに保管しておきます。のちに空港の税関で申請書とともに提示する必要があるからです。
また、商品は未開封のまま国外に持ち出さなければなりません。開封したり少しでも使ってしまったりすると、現地で消費したと見なされ還付を受けられなくなることがあるので、気をつけましょう。
ここまでVAT還付の準備を整えたら、出国する際に空港の税関で手続きをします。EUの場合は、EU加盟国を最後に出国する際に手続きを行ってください。
次に、税関での手続きと還付の受け取り方をご紹介します。
VAT還付金の受け取り方
VAT還付金を受け取るには、出国する前に空港の税関で手続きを完了させる必要があります。手続きには、VAT還付申請用紙や購入した商品のレシート、パスポートなどの書類が必要となりますので、事前に確認して用意しておきましょう。
【VAT還付の税関手続きで用意すべき書類等】
- パスポート
- VAT還付申請用紙。
- 領収書やレシート
- 商品(未使用、未開封)
- 搭乗券、航空券
税関で免税スタンプを押してもらったら、あとは還付金を受け取るだけです。還付金を受け取る方法は、現金、小切手、クレジットカードが一般的です。
現金で受け取る際は、空港のカウンターに免税スタンプを押してもらった書類を提出しましょう。ただし還付の金額が高額になると、現金では受け取れないこともあります。
小切手やクレジットカード受け取りを希望する場合は、書類を空港備え付けの専用投函箱に投函するだけで完了です。
一般的にはあまりなじみがない小切手よりも、クレジットカードでの受け取りのほうが便利に感じるかもしれません。書類投函前にクレジットカード番号に誤りがないかしっかり確認しておくことが大切です。還付金が着金するまで、数カ月かかるようです。
楽天カードは、海外のショッピングにも使え、VAT還付にも対応しています。海外旅行時にも便利な決済手段となるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しております。
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