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年末調整の書き方とは?対象者や節税のために必要な書類、注意点も解説

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年7月19日 10時0分

年末調整の書き方とは?対象者や節税のために必要な書類、注意点も解説

年末調整の書き方とは?対象者や節税のために必要な書類、注意点も解説

年末調整とは、正しく税金を計算するために必要な作業です。年末調整を適切に行うことで、所得税や復興特別所得税、住民税を節税できます。ここでは、年末調整の対象者や、必要書類、書き方についてまとめました。年末調整の手続きについて理解したい方はぜひ参考にしてください。

年末調整が必要な理由

年末調整は所得税や復興特別所得税の精算をするために必要な手続きです。

 

なお、所得税とは給料などの1年間の収入から求めた課税所得額に対して課税される税金です。課税所得額は収入から所得控除を差し引いて求めますが、年末調整をしないと所得控除が差し引かれないために課税所得額が増えて、本来納税すべき所得税額以上の額を納税することになります。

 

課税所得額を正確に計算し、所得税額を正しく求めるためにも、所得控除がある場合には年末調整で申告が必要です。

 

一方、復興特別所得税とは東日本大震災からの復興のための施策の財源として活用される税金です。税額は所得税額の2.1%相当額で、2037年まで徴収されます。年末調整により課税所得額が減額されると、所得税額を節税できるだけでなく、所得税額によって計算される復興特別所得税も節税できます。

年末調整の対象者とは

会社員やパート、アルバイトで働いている人は、年末調整の対象者となります。ただし、1年間の給与の総額が2,000万円を超える人や、災害減免法によって所得税と復興特別所得税の源泉徴収が猶予された人、あるいは所得税と復興特別所得税の還付を受けた人は除きます。

12月に年末調整する場合

年末調整は本来12月に行う手続きです。1年を通じて勤務している人はもちろんのこと、年の途中で就職して年末まで勤務している人、青色事業専従者として働いている人は12月に年末調整を行います。

年の途中で年末調整する場合

以下の状況に該当する人は、12月でなくても年末調整を行うことができます。

 

  • 海外支店に転勤したなどの理由により日本国内の非居住者となった人
  • 著しい心身の障害のために退職し、年内に再就職をして給与を受け取る見込みがないと考えられる人
  • 12月分の給与などの支払いを受けた後に退職した人
  • 本年中に受け取る給与の総額が103万円以下で、なおかつ同年にほかの勤務先から給与を受け取る見込みのない人

年末調整に必要な書類と書き方

年末調整の書類には、以下の種類があります。

 

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書

各書類で申告する控除の種類が異なります。書類ごとに申告する控除の種類や控除額、条件などについて紹介します。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、扶養控除、障害者控除、勤労学生控除、寡婦控除、ひとり親控除のいずれかの条件に該当するときに提出する書類です。条件と控除額については以下をご覧ください。

国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方は以下のとおりです。

 

  1. 基本情報を記入する(氏名・個人番号・住所・生年月日・世帯主の氏名と続柄・配偶者の有無)
  2. 「源泉控除対象配偶者」の情報を記入する(該当する場合のみ)
  3. 満16歳以上の扶養親族がいる場合は、「控除対象扶養親族」の情報を記入する
  4. 「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」に該当する場合は、情報を記入する
  5. 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の情報を記入する(該当する場合のみ)
  6. 16歳未満の扶養親族や退職手当等を受ける配偶者か扶養親族がいる場合に、「住民税に関する事項」を記入する

 

なお、源泉控除対象配偶者とは、次の条件すべてを満たす配偶者のことです。

 

  • 申告者の所得金額が900万円以下
  • 白色事業専従者ではない
  • 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない
  • 合計所得金額が95万円以下
  • 申告者と生計を一にしている

給与所得者の保険料控除申告書

以下の条件に該当する場合は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除が適用されます。年末調整で申告しましょう。

国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

給与所得者の保険料控除申告書の書き方

保険料控除申告書を書く前に、保険会社から送付された保険料控除証明書を準備しておきましょう。保険料控除申告書は、氏名・住所などを記載して保険の種類ごとに詳細を書き込みます。

 

1. 一般の生命保険料

 

記入する金額は、すべて保険料控除証明書に記載されています。保険契約を結んだ時期によって「新制度」と「旧制度」に分かれているため、保険料控除証明書に記載されているとおりに転記してください。

 

控除額は計算式に沿って算出し、書式に従って記入します。

 

2. 介護医療保険料

 

保険料控除証明書に記載されている介護医療保険料を転記します。合計額と、計算式に沿って算出した控除額を記入してください。

 

3. 個人年金保険料

 

個人年金保険料も、保険料控除証明書に記載されているとおりに転記します。一般の生命保険料と同じく新制度と旧制度があり、どちらの制度かによって当てはめる計算式が変わります。書式に沿って合計額、控除額を記入してください。

 

4. 生命保険料控除額

 

一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の控除合計額を生命保険料控除額の欄に記入します。上限は12万円のため、合計額が12万円を超えるときは「120,000円」と記載してください。

 

5. 地震保険料控除額等

 

保険会社から送付された地震保険料控除証明書や旧長期傷害保険料証明書をもとに記載します。地震保険料と旧長期傷害保険料は別々に合計額を出し、計算式に沿って算出した控除額を記入します。算出した金額が5万円を超えている場合は、「50,000円」と記載してください。

 

6. 社会保険料控除

 

国民年金保険料などを申告者ご自身が支払った場合のみ記載します。給与から差し引かれている場合は、年末調整の対象ではありません。

 

7. 小規模企業共済等掛金控除

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)などの小規模企業共済で直接支払った掛金を記入してください。給与から差し引かれている場合は、記入する必要はありません。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除申告書とは、合計所得金額が2,500万円以下の方が全員提出する書類です。控除額は以下のとおりです。

国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

合計所得金額が1,000万円以下で、なおかつ配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合は、配偶者控除が適用されます。控除額は以下のとおりです。

国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

また、合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合は、配偶者特別控除が適用されます。控除額は以下のとおりです。

国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

所得者の給与などの収入が850万円を超え、なおかつ次のいずれかの条件を満たすときは、所得金額調整控除の対象となります。

 

  • 23歳未満の扶養親族がいる
  • 本人が特別障害者である
  • 扶養親族や同一生計の配偶者が特別障害者である
国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方

「基礎控除申告書」には以下の情報を記入してください。

 

  • 申告者の氏名、住所
  • 給与所得の「収入金額」
  • 給与所得の「所得金額」(収入金額から給与所得控除額を差し引いた金額)
  • 給与所得以外の所得の合計額の「所得金額」
  • 本年中の合計所得金額の見積額(給与所得の所得金額と給与所得以外の所得の合計額を合算した金額)
  • 該当する控除の区分(A、B、Cのいずれか)
  • 基礎控除の額(48万円、32万円、16万円のいずれか)

 

次は「配偶者控除等申告書」に以下の情報を記入します。

 

  • 配偶者情報(配偶者の氏名、住所、生年月日、個人番号)
  • 配偶者の本年中の収入金額と所得金額
  • 配偶者控除、配偶者特別控除の区分判定
  • 配偶者控除もしくは配偶者特別控除の額

  

最後に「所得金額調整控除申告書」を記入します。先述のとおり、対象となるのは本年中の給与の収入金額が850万円を超え、本人や扶養親族、配偶者が特別障害者、もしくは23歳未満の扶養親族がいる方です。

 

「要件」欄の該当項目にチェックを入れ、要件に該当する生計を一にする配偶者か扶養親族の情報(氏名、住所、生年月日、個人番号、申告者との続柄、合計所得金額)を記入してください。ご自身が特別障害者に該当する場合は、「特別障害者に該当する事実」の欄のみ記入します。

住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けている場合は、1年目は確定申告で手続きをしますが、2年目以降は年末調整で手続きをします。

 

必要書類が自宅に送付されるので、記入して勤務先に提出しましょう。なお控除額については年末時点のローン残高や所得税額などによって異なります。

住宅借入金等特別控除申告書の書き方

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける方は、「住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。

 

税務署から送付される住宅借入金等特別控除申告書の証明事項の欄はすでに印字されているため、書類上部に以下の情報を記載します。

 

  • 申告者の氏名、住所
  • 勤務先の名称、住所
  • 借入金の残高や居住割合と、それを元に算出した控除額

 

2023年分の住宅ローン控除からは控除率が0.7%に引き下げられました。ただし、住宅ローン控除の適用を受けはじめた年度によって控除率が異なるため、記入前に確認しておきましょう。

年末調整するときの注意点

年末調整の手続きは勤務先で行います。そのため、勤務先の規定に従うことが不可欠です。次のポイントにも注意しましょう。

 

  • 提出期限を厳守する
  • 記入漏れや申告漏れがないか確認する

それぞれのポイントについて解説します。

提出期限を厳守する

国税庁では書類ごとに提出期限を定めています。例えば、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日までに提出しなくてはいけません。

 

しかし、年末調整は勤務先を通して手続きを行うため、勤務先が定める期限内に提出することが求められます。期限に遅れると確定申告が必要になることもあるので注意が必要です。

記入漏れや申告漏れがないか確認する

申告漏れや記入漏れがあったときには適切に控除が受けられません。課税所得額が本来よりも高くなり、所得税などが高額になるので注意が必要です。

 

翌年の確定申告や還付申告で申告漏れについて申告することもできますが、再申告の手間を省くためにも1回の手続きで完了できるように正しく書類を作成しましょう。

税計算に必要な年末調整は期限までに提出しよう

所得税や復興特別所得税を正確に計算するためにも、年末調整の手続きは必要です。各控除に該当する場合は、勤務先の規定に従って書類を提出しましょう。

 

また、個人事業主などの年末調整の対象外の方も、確定申告に備えて日頃から経費などを管理しておくことがおすすめです。

 

※この記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しております。

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