20~30代は金融資産と人的資本の運用を!FPの高田彩香さんに聞く、人生を豊かにするための資産形成の考え方
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年7月21日 10時0分
物価の高騰が毎月のように話題になる一方、そう簡単には上がらない収入。将来のためにお金について考えたいけれど、何をどうしていいのかわからない。何となくモヤモヤが晴れない……そんな人も多いのではないでしょうか。今回は、主に同世代の女性に向けてファイナンシャルコンサルティングを行う、ファイナンシャルプランナーの高田彩香さんに、人生を豊かにするための資産形成についてお話を伺います。
夢にフォーカスした資産運用を提案中
マネ活編集部:まずは高田さんについてお伺いさせてください。どのようなご活動をされているのでしょうか。
高田さん:「女性の夢を叶える専門家FP」と名乗り、20〜30代の女性を中心に、夢に焦点を当てたライフプラン、資産運用のご提案をしています。
マネ活編集部:どのようなご経歴で今の活動に至っているのでしょうか。
高田さん:大学卒業後に入った司法書士法人で仕事をしているうちに、「これは自分のやりたいことだったのかな?」と悩むようになり、自分の将来について改めて考えました。私がやりたいことはお金に関するコンサルティングだったため、投資への助言を専門としている独立系FP(ファイナンシャルプランナー)事務所へ転職。ファイナンスの方法や考え方についてひととおり学びました。
その事務所の主なお客様は50〜60代の富裕層。私がやりたいのは20〜30代の若い方へのコンサルティングだったため、2022年に独立して今に至るという感じです。
マネ活編集部:事業を始めてみて、いかがですか?
高田さん:前職のお客様と20〜30代の方とではお金に関するニーズや悩みが異なります。そのため、提案や説明の方法も前職のままとはいきません。はじめの1年は、どういう風に話せば伝わるのかをイチから考え直すのが大変でした。
周りを見ていて、「若い女性とお金」に関心を抱いた
マネ活編集部:引き続き、高田さんご自身のことについてもう少しお聞かせください。どういったきっかけでFPに興味を持たれたのですか?
高田さん:子供の頃に「お金持ちになりたい」と思っていて、子供らしい単純な思考で「じゃあ、将来の夢は社長さんだ」と考えたのが原点です。父が会社経営者なこともあってか、中学・高校と成長していくうちに、「私も何か会社をやりたい」と想いが強まっていきました。
会社を経営したいのなら、まずは経済を知らないと新しいアイディアも思い浮かばないのかなと考え、安易な発想で大学に入っています。
大学では株式投資を学ぶ研究ゼミに入りました。若いうちは体力があるので、がんばって働いて稼げますが、歳を重ねて体力が落ちてきたときのために、お金が働いてお金を生む資産運用を活用して人生を送っていったほうが豊かになれるのではないかと思ったんです。資産運用なら株式投資かなと思い、ゼミで学んでやってみようと考えました。
企業分析については大学で学べたのですが、証券会社の選び方やどうやって株を買うのかといった手続き部分からわからないくらい、私は無知でした。また、売買で税金を取られることも知らず、「企業分析は教えてもらえるのに、税金など大切なことはなぜ教えてくれないんだろう」と疑問に感じたんです。そこからFPの勉強を始め、資格を取得しました。
今のFP業界では、保険代理店の方や証券会社の方がFPを名乗っていることが多く、どこにも属していない独立系FPは少ない存在です。国からも資産運用や投資を勧める呼びかけがあるなかで、独立系FPの需要は今後ますます高まるだろうと考え、今の活動に至っています。
マネ活編集部:若い方、特に女性を対象としようと思ったのはなぜですか?
高田さん:原点となるきっかけと、働き始めてから思うようになった理由と、大きく2つあります。まず原点は、自分自身が20代後半のとき、周りを見ていて抱いた、女性とお金についての課題感です。是正されてきているとはいえ、会社によっては若い女性だからという理由で給与が低いケースが見られました。やりたいことも熱量もあるのに、お金だけが足りない。そのせいで断念せざるを得なかったり、無知なままで借入をしようとしたりしている女性たちを見て、資産形成の知識を伝えることで彼女たちを救えないだろうかと思うようになりました。
もう1つは、女性ならではの苦労に触れたことです。前職のお客様は富裕層の方たちなので、正直お金に関してはそう困ってはいませんでした。ただ、だからといって楽に人生を歩んでいるわけではなくて。男女で見てみると、女性のほうがライフステージの変化で受ける影響が大きく、キャリアの積み上げに苦労されているなという印象を受けたんですよね。向上心があるのに苦労されている方が多い現状を見て、女性からの相談に応じたいと思うようになりました。
資産形成は目的ではなく手段。「人生を豊かにするため」の資産形成とは
マネ活編集部:では、ここからが今回の本題です。高田さんは「生きるため」ではなく「人生を豊かにするため」の資産形成についてコンサルティングを行っていらっしゃいますが、実際にはどういった相談が寄せられているのでしょうか。
高田さん:3パターンくらいに分けられますね。1つ目は「叶えたい夢がある方」で、このパターンがさらに2つに分けられます。まずは将来的に独立したいと思っているけれど、そのために必要なお金の計画方法がわからない、今の状態で挑戦できるのかわからず不安だというパターンです。特に美容系のスキル、例えばネイリストなど手に職を持っている方が多い悩みですね。
そういった方には、独立支援の提案に加え、その方にとって適した資産運用を提案しています。
夢を叶えたいパターンのもう1つは、最近増えている美容整形です。昔よりカジュアルに美容整形ができるようになり、若い方で「整形をしたい」と思う方も増えています。そこでクリニックに行ってカウンセリングを受け、見積もりを出してもらうわけですが、これが高額になりがちなんです。
「なりたい容姿になれれば夢を叶えられるかもしれない」と期待を持った状態では、正常な判断はしづらい。クリニックから勧められた医療ローンに対し、詳細を精査せずに組んでしまうといったケースが見られています。
例え悪質な医療ローンではなくとも、返済額の妥当性はその方の状況によって異なります。また、美容整形は1回施術をして終わりではなく、その後のメンテナンスにかかる費用も考慮しなければなりません。でも、病院のスタッフさんにはローンの知識もお金の知識もあるわけではないですから、適切なアドバイスをするのは難しいんですよね。
注意点やデメリットを知ったうえで踏み出してほしいと思い、今後は美容整形に関する相談コースを別に設けようと思っています。それくらいニーズがある悩みなんですよ。
3つ目のパターンは、「夢を探している方」です。お金に関するモヤモヤで相談に来られはするんですが、実はモヤモヤの1番の原因はお金ではなく自分の人生への不安だというパターンですね。そうした方には、現状のお金の状況をヒアリングしつつ、やりたいこと探しも同時に行っていきます。「ここでこれをしたいのなら、こういう資産形成をしていきましょう」といった具合ですね。
マネ活編集部:コーチングのようですね。実際にモヤモヤが晴れた方はいらっしゃるんですか?
高田さん:そうですね。ヒアリングとコンサルティングの時間を何度か設けたことで、転職や独立を選んだ方は過去にいました。
マネ活編集部:単なるお金の悩み相談ではなく、「人生」にフォーカスしている理由はなぜなのでしょうか。
高田さん:1番大事なものは「お金」ではなくて「人生」だからです。確かに、お金はあればあるほど良いとは思います。でも、極端な話、天国には持っていけないですよね。
前職では、すでに資産に余裕があるのに不安を訴えるお客様を多く目にしてきました。何なら120歳まで余裕で生きられるくらい資産があるにも関わらずです。そうした方に、「じゃあ、このお金で何をしたいんですか?」と聞くと、「特にない」とおっしゃるケースが多かったんですね。
お金は相続できますから、無駄になるわけではありません。でも、やりたいことも何もない状態でお金を貯め続けるだけになってしまうと、何のために貯め続ける人生を送ったんだろうとなってしまう。資産形成は目的ではなく手段。だから、まずは目標を立て、その目標に向かうために資産形成方法を考えることが大事だと思っています。
資産形成は時間が武器になるものですから、20〜30代から計画的にやっていけば叶えられると思っているんです。
マネ活編集部:先ほど、高齢の方は漠然としたお金の不安が多かったというお話でしたが、20〜30代の方はお金に関する不安は抱えているのでしょうか。
高田さん:先ほどと重なりますが、お金より人生への不安が多い印象があります。上の世代には「貯めた資産を守りたい、なくすことが不安」という感覚がありますが、若い方たちはまだなくす不安があるほどの資産がないですからね。私はFPなので、最初は皆さんお金の相談だといってこられますが、掘り下げていくと「このまま同じ仕事をルーティンでやっていていいんだろうか」と人生への悩みが出てくると感じています。
ただ、「結婚するけれど、お金に関してどうすればいいのかわからない」といったような、ザ・お金の相談ももちろんあります。夫婦でお金の話をしづらいから、高田さんからしてくださいとパートナーを連れてこられる女性もいます。共働き夫婦の場合、互いの財布について把握しておらず、あらためて話しづらいという方もいるため、私が間に立ってお話をお聞きしています。
マネ活編集部:20〜30代だからこそ持っておきたい資産形成の考え方はありますか?
高田さん:資産形成と聞くと、どうしても金融資産に目が行く人が多いのかなと思いますが、私が20〜30代の方にお話しているのは、金融資産と人的資本の運用です。
人的資本の概念に関してはさまざまな学問的な解釈があるのですが、資産運用的な観点でいうと、その人が一生涯で生み出せる収入の期待値になります。要するに、その人が生涯で稼げる能力です。
金融資産は20代が低く、年々上がっていきますが、人的資本は20代が1番高く、年々下がっていく動きをします。今、1番大事だなと思っているのは金融資産を運用し、利回りで増やしていくだけではなく、人的資本を増やし、将来的に稼げる額を増やすこと。若いうちに人的資本を上げていくことだと思っています。
マネ活編集部:人的資本はどうすれば上がるのでしょうか。
高田さん:自己投資といういい方がイメージしやすいかもしれません。資格取得や、いろいろな業界の方に会って人脈を増やすなどですね。目に見えた収入の向上も大事ですが、人との繋がりを大事にしていたことが、将来的にやりたいことの助けに繋がることもあります。将来に活きる土台を作ることも、結果的に資産形成に繋がってくるんです。
マネ活編集部:金融資産に関してはいかがでしょうか。
高田さん:こちらは、多くの方がいわれる長期・積立・分散がキーワードですね。リスク許容度は人によって異なりますが、この3点を守ってNISAやiDeCoをするだけで、20〜30代のうちは全然良いと思います。
お金だけではなく、人生の本質を学べるサービスの提供を
マネ活編集部:今後の高田さんの目標は何ですか?
高田さん:人的資本を上げ、資産運用もしていくことで、二重の効果を得られて豊かになっていけたらいいなと思っています。さらに思っているのが、人生の本質を学び、お金に関して判断できる知識を付けていく重要性です。新しく教育コースを設けて、人生の本質から学べるコーチングサービス、自分との向き合い方、お金の知識などを網羅できるコンテンツを作っていけたらと思っています。
あとは、ニーズが上がっている美容整形。クリニックによっては悪質なところもあるため、お客様ファーストで良い施術を提供しているところと提携し、必要な情報や知識を伝えていきたいです。
「夢を叶える専門家FP」として活動する中で、「やりたいことが見つかったら、すでに叶えている人を捜して真似するところから始めてください」とお伝えしています。ただ、私自身も実感したのですが、ロールモデルを探すのって大変なんですよね。ですから、夢を叶えた人に話を聞きに行き、その情報を発信できたらいいだろうなとも思っています。これも今後やっていきたいことの1つです。
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