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スーパーシティとは?国内での構想から投資に重要な法案、銘柄についても解説

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年8月14日 10時0分

AIやビッグデータといった新しい技術による便利な生活。そのような近未来の生活を先取りして実現するのが「スーパーシティ」です。世界各地でスーパーシティが計画されていて、日本では2020年5月にスーパーシティ法が成立。2022年3月には大阪市とつくば市をスーパーシティ型国家戦略特区に指定するなど、その取り組みが進んでいます。現在進行中の、スーパーシティに関する情報をチェックしていきましょう。

スーパーシティ構想とは

スーパーシティ構想とは

スーパーシティ構想とは、AI(人工知能)とビッグデータを活用することで、社会のあり方を根本から変えるような都市を設計し具現化しようとする構想です。先進的な技術の活用は、実証実験などとしてこれまでも行われてきました。スーパーシティでは、これを複数分野で実施し、生活全般をカバーできるようにします。スーパーシティ構想は、2030年頃に実現する未来社会「まるごと未来都市」を、先行的に具現化しようとするものなのです。

 

スーパーシティ構想で活用されるのは、ビッグデータ。人間の能力では全体を把握することができないような、巨大なデータ群のことです。SNSやWeb、各種センサー、公的機関・企業での業務など、さまざまな分野からデータを収集・蓄積・分析して活用します。そこにはAIの活用が不可欠です。ディープラーニングと呼ばれる技術が登場し、コンピュータ自身が膨大なデータを読み解くことが可能になっています。

 

目指すのはAI・ビッグデータの部分的な活用ではなく、「まるごと未来都市」の実現。社会生活をカバーする範囲も、次のうち5つ以上の分野となることが求められます。

 

  1. 移動
  2. 物流
  3. 支払い
  4. 行政
  5. 医療・介護
  6. 教育
  7. エネルギー・水
  8. 環境・ゴミ
  9. 防犯
  10. 防災・安全

実現へ向けては国家戦略特区制度を利用し、従来の規制がさまたげにならないようにします。特定の域内で、規制の特例を設定できるようにしていくということです。具体的なイメージとしては、完全なキャッシュレス化や公共の自動運転車、紙書類のない行政手続き、エネルギーやリサイクルの最適化、在宅での介護や遠隔教育などの実現です。幅広い分野でデータを連携させることで、より便利な生活を可能とします。

スーパーシティの特徴

スーパーシティの特徴

スーパーシティの特徴は、分野間における横断的なデータ連携。現在でもデータはさまざまな分野で活用されています。身近なところではショッピングがあげられ、インターネットでの個人の購入履歴を分析し、おすすめが表示されます。さらに広い分野を見渡すと、医療機関や公的セクターでは個人に関する情報を蓄積していたり、道路や上下水道、電力などのインフラにおいてもセンサーやデバイスを通じたデータ収集が行われたりしています。スーパーシティでは、こうしたデータを連携させることにより、新たなサービスを提供するのです。

 

分野間でのデータ連携で、重要な役割を果たすのが「API」です。Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と呼ばれるもので、異なるアプリケーション・ソフトウェアの間で、データのやり取りを可能にします。例えばショッピングでのデータを医療機関で利用したり、インフラからのデータが物流に活用されたりと、可能性が広がります。異なる分野でのデータ連携が、どのような新しいサービスを生み出すのか期待されるところです。

 

データ連携で便利になりそうなことのひとつが、行政手続きで、「ワンスオンリー」と呼ばれるデジタル化の原則です。これまで行政手続きというと、多くの窓口で同じようなことを書類に書き込まなければならないというイメージがありました。しかしワンスオンリーでは、1度情報を提出すれば、それ以降の提出を不要とします。

 

例えば転入手続きでは、国民健康保険や国民年金など数多くの手続きが1度の入力で済むようになります。デジタルデータの連携が民間まで広がれば、各種サービスの住所変更までワンストップで完了することができるでしょう。

ブラウンフィールド型とグリーンフィールド型

ブラウンフィールド型とグリーンフィールド型

AIやビッグデータといった技術を生かし、未来都市をまるごと作ろうという、スーパーシティ構想。世界各国で取り組みが進んでいますが、大きく2つの形態に分類することができます。

 

1つは「ブラウンフィールド型」。既存の都市を造り変えるかたちで、スーパーシティを実現します。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、シンガポールなどでの取り組みが、このかたちです。すでに住民が住んでいる場所なので、住民による合意を形成しながら、必要なインフラを追加的に設置していきます。

 

もう1つは「グリーンフィールド型」。もともと何もない白地のような土地に、未来都市を最初から作り上げようとする形態です。すでに行われているものとしては、中国の雄安やカナダのトロントでの取り組みがこれに当たります。都市の一部にある更地や工場跡地などを利用して、一から未来都市を新規に開発し、そこへ新たな住民を呼び寄せるというかたちです。

 

ブラウンフィールド型のメリットは、既存の住民が抱える課題が明確になっている点。AIやビッグデータで実現したいことが、最初からある程度見えているということです。課題の解決へ向け、新たなインフラを整備していきます。

 

一方、グリーンフィールド型のメリットは、住民の合意が得られやすいという点。新規に開発した都市へ、外部から自らの意志で移り住むため、最初から合意を得られている状態です。古いインフラが存在しないため、新しいインフラの設置もより簡単です。

海外におけるスーパーシティ

海外におけるスーパーシティ

最初に紹介するのは、スペインのバルセロナ。2000年からバルセロナ全域を対象とした取り組みを実施しています。中心となるのは、市内に設置した約1万2,000ものセンサーと、GPSの測位データ。センサーから収集した情報をもとに、ごみ収集や街路灯を最適化し、経費削減につなげました。IPカメラによる不審者監視や、位置情報をもとにしたクーポンによる顧客誘導も行われています。生活に密着したスーパーシティといえるでしょう。

 

UAEのドバイ全域では、2013年からさまざまな先端的技術の導入を進めています。まずは自動運転EVバスの運行。各乗客の目的地に合わせて、複数の車両を最適化しながら運行しています。近い将来、自動運転の空飛ぶタクシーも運行を開始する予定です。ドバイでは治安を守るパトカー「O-R3」も自動運転。カメラとレーザースキャナーにより、容疑者の追跡ができます。ブロックチェーンの導入も盛んで、観光サービスのマッチングやデジタル企業登記に活用しています。

 

1994年から国全域で、電子政府の取り組みを進めているのが、エストニア。X-Roadと呼ばれるデータ交換基盤を整備し、市民・行政・企業間でのデータのやり取りを実現しています。選挙ではインターネットを通じて、国政投票ができます。企業の法人登記は、海外からオンラインで可能。注目したいのは、医療機関での連携です。病院の予約はオンライン化され、処方箋も電子化、X線写真などの電子画像管理システムはすべての病院とつながっています。

スーパーシティ法とは

スーパーシティ法とは

スーパーシティ法が成立したのは、2020年5月27日。正式な名称は「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(令和2年法律第34号)」です。スーパーシティを実現するための制度を整備することや、地域限定型規制のサンドボックス制度の創設などが含まれています。具体的にはまず、データ連携基盤の整備促進。AIやビッグデータを活用した、データ連携基盤の整備事業を法定化し、事業者は国・自治体が保有するデータの提供を求めることができるようになります。

 

データ連携基盤を活用した新しいサービスの提供には、複数の分野にまたがる規制改革が必要です。スーパーシティ法では、事業計画の実現に必要な特例措置を、一括して実現できる制度を整備しています。また、規制のサンドボックス制度というのは、「まずやってみる」ための制度。目指す新技術や新事業が、既存の規制に触れる場合、期間や参加者を限定した「実証」を行います。そこから得られたデータにより、規制改革を行う仕組みです。

 

スーパーシティ型国家戦略特区については、2022年3月10日に、大阪市と茨城県つくば市を指定することが決定しています。これからスーパーシティ法に基づき、複数の規制改革を一括して実施することで、先端的なサービスの実現を目指すことになるということです。
大阪市では2025年の大阪・関西万博に向けた空飛ぶクルマの実現や自動運転バスの実装が予定され、つくば市でもドローンや自動配送ロボットを使った荷物の配送の実証実験が行われています。

 

さまざまなデータを連携させて活用するスーパーシティですが、問題点もいくつか指摘されています。例えば、監視カメラや顔認証、医療データの活用については、個人のプライバシーに関するリスクがあるといえるでしょう。インフラに関わる部分では、サイバー攻撃などセキュリティ上のリスクも考えられます。先進的なサービスの実現とともに、そこから生じるリスクにも注意が必要となります。

スーパーシティに関連する銘柄

スーパーシティに関連する銘柄

スーパーシティで実現するのは、AIやビッグデータを活用した先進的なサービスです。将来的に日本全体、あるいは広く世界で普及していくものになるかもしれません。新たな成長産業であれば、投資対象としても魅力的です。スーパーシティに関連する銘柄をいくつか紹介しておきましょう。

 

KDDI(9433)は、2022年8月25日、内閣府のスーパーシティ調査事業に採択されたことを発表しています。2023年1月19日から2023年3月31日には茨城県つくば市で、ドローンと自動配送ロボットを組み合わせたサービスの実証実験を行いました。

 

日本電気(6701)は2021年9月8日に「NEC都市OS」を発売しました。こちらは、AIと生体認証技術を組み合わせ、スーパーシティの実現に必要な機能を提供するクラウドサービスです。サービスを活用することで、高度な技術が生かされることになりそうです。

 

スマートバリュー(9417)も、スーパーシティに不可欠な都市OS「Open-gov Platform(オープンガブプラットフォーム)」を提供する企業。すでに石川県加賀市にデータ連携基盤として提供されています。こちらは総務省が進める「データ利活用型スマートシティ推進事業」に採択されたものです。

 

また、HEROZ(4382)は「スーパーシティ・オープンラボ」に加盟する企業。ディープラーニングなどAI技術に強みを持っています。「スーパーシティ・オープンラボ」は、内閣府とスーパーシティに取り組む企業を中心として、スーパーシティ構想の実現を目指す団体です。

 

スーパーシティでは、AIやビッグデータをはじめとする、新たな技術が導入されます。将来的には、スーパーシティのような社会が一般化するかもしれません。

国家的なプロジェクトなど、国の未来に貢献するかもしれない分野の会社を応援するひとつの方法として、楽天証券などの証券会社で投資を行うことができます。
より良い社会や生活を育てるお手伝いができるかもしれません。

※この記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しております。

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