屋号と商号の違いとは?それぞれをつけることによるメリットや登記の必要性について解説!
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年9月4日 10時0分
屋号と商号の違いとは?それぞれをつけることによるメリットや登記の必要性について解説!
個人事業主として開業届を提出するときに、屋号を決めたほうが良いのか迷う方もいるのではないでしょうか。屋号は必ず決めなくてはいけないものではありませんが、屋号をつけることで得られるメリットもあります。 また、屋号と似たような言葉に商号がありますが、屋号と商号は意味が全く異なるものなので、違いを理解しておくことが大切です。 ここでは屋号と商号の違いやそれぞれのメリット、個人事業主で登記が必要なのかを紹介します。
屋号と商号の違いとは?
屋号と商号は、どちらも事業をするうえでつける名称です。大きな違いは、法的な効力の有無ですが、事業を始めるのであれば屋号と商号の意味をしっかりと把握しておきましょう。
屋号は個人事業主がつける店舗や事務所の名前
屋号は個人事業主が店舗や事務所につける名前のことですが、必ずつけなければいけないものではありません。
個人事業主で開業届を提出するときは、屋号が決まっていればその名前で届け出ても良いですが、決まっていなければ無理につける必要はありません。必要であれば、開業届提出後に屋号をつけることもできます。
また、屋号には厳しい決まりがないので、名前にアルファベットや数字などを使用することも可能です。
ただし、「○○会社」「○○法人」といった法人格につける名前は個人事業の屋号に使用してはいけません。そのほか、屋号として有名企業や製品などに類似した名前をつけるのは避けたほうが無難でしょう。
商号は株式会社や合同会社などの名前
商号は個人と法人を識別するための名前で、会社を設立するときに必ず決めなければいけません。
また、会社の設立には定款の作成が必要ですが、定款にも商号の記載が義務づけられているほか、会社設立で登記するときも、商号は必要とされます。
商号は屋号と違い、法律で規定された以下のようなルールが定められているので、覚えておきましょう。
- 設立する会社の種類が含まれていること(「株式会社」「合同会社」など設立する会社の種類を明確にする)
- 不正の目的で、ほかの会社と誤認される恐れのある名称・商号を使用してはいけない
- 同一の本店所在地において、すでに使用されている商号の登記はできない
個人事業主が屋号を定める主なメリット
屋号はつけなくても問題ありませんが、屋号を定めることで得られるメリットもあります。個人事業主が屋号を定める主なメリットを紹介します。
クライアントへの認知度・信用度が高まる可能性がある
屋号は、ある程度自由に決めることが可能です。何の事業をしているのかわかりやすい屋号をつけることで、クライアントに覚えてもらいやすく、信用度が高まる場合もあります。
例えば、商品を売っている店舗の場合は「○○屋」「○○商店」「○○堂」、事務所の場合は「○○オフィス」「○○事務所」などのような屋号をつけると、わかりやすいかもしれません。
適格請求書発行事業者公表サイトに公表できる
2023年(令和5年)10月からインボイス制度がスタートする予定ですが、屋号は適格請求書発行事業者公表サイトで公表できます。
屋号がない場合は個人名のみの公表になるため、一見してわかりづらいです。屋号があれば個人名と屋号を公表できるため、クライアントが請求書やレシートを受け取ったときに公表サイトで確認しやすくなるかもしれません。
屋号付きの銀行口座を開設できる
屋号を定めておけば屋号付きのビジネス口座を開設できます。
屋号付きのビジネス口座を開設すれば、プライベート用とビジネス用の口座を使い分けられるため、経費管理や会計業務が楽になる場合があります。
なお、屋号つきの銀行口座を開設したい方は、屋号を開業届に記載して提出する必要があるので、忘れないようにしてください。
屋号は登記が必要?
会社は設立時に商号の登記が必須ですが、個人事業主の屋号は、そもそも決めなくても良いものなので、登記についても義務はありません。
ただし、個人事業主でも屋号を法務局で登録する「商号登記」が可能です。以下では、商号登記について解説します。
商号登記とは
商号登記とは法務局に屋号を登録して、その屋号が法的に認められるようにすることです。個人事業主がつける屋号には法的な効力がなく、保護もされていないので、ほかの個人事業主が同じ名前をつけても法律上は問題ありません。
一方、商号は「同一の本店所在地において、すでに使用されている商号の登記はできない」と法律で決められているため、商号登記することで、屋号を法的に守れるようになります。
なお、商号登記をするには、管轄する法務局で手続きが必要です。手続きには、主に以下のものが必要になります。
- 個人の実印
- 個人実印の印鑑証明書
- 印鑑届出書
- 商号登記申請書
- 登録免許税3万円
- 屋号印・商号印(持っている場合のみ)
商号登記を検討する方は、1度法務局に相談することをおすすめします。
商標登録との違いとは
商号登記と似た言葉に商標登録があります。
商標登録とは、事業者が自己(自社)の取り扱う商品・サービスを、他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)を登録する行為のことなので、商号登記とは全く異なります。
管轄についても、商号登記が法務局なのに対して、商標登録は特許庁です。
個人事業主が商号登記するメリット
個人事業主が決める屋号は、本来登記する必要がないものの、商号登記をすることで得られるメリットがあります。
屋号を商号登記するメリットを解説します。
信用度が高くなる
個人事業は法人より信用度が劣る傾向があります。
商号登記をすれば屋号や代表者の氏名、所在地などが一般公開されるため、信用度が高くなり、取り引き先や消費者にも安心感を与えられる可能性が高くなります。
将来、法人化にするときに役立つ
法人化すると節税効果などを得られるメリットもあるので、一定の利益を得られるようになった段階で個人事業から法人へ変更するのが一般的です。
法人化のときに屋号が使えなければ、それまで積み上げてきたブランド力や信用性が損なわれてしまう場合もあるため、将来に備えて商号登記を検討するのも良いかもしれません。
商号登記の注意点
個人事業主が商号登記をするときは、以下の点に注意してください。
- 登録免許税がかかる
- 手続きに時間がかかる
商号登記には登録免許税として1件につき3万円が必要です。登録免許税は、初めて手続きをするときだけではなく、称号を変更するときも必要になるので注意しましょう。
また、開業届で屋号を決めるだけなら、開業届を提出するだけで完了しますが、商号登記は登記官が審査を行ったあとに一般公開されます。そのため、開業届より手続きが煩雑になるので、商号登記には時間と手間がかかると考えておいたほうが良いです。
屋号と商号の意味の違いを把握してビジネスを円滑に進めよう
屋号は個人事業主が店舗や事務所につける名前です。商号は会社設立時に個人と別人格の法人を識別するための名前となり意味が異なるので、覚えておきましょう。
また、屋号は法的な拘束力がなく、必ず決めなくてはいけないものではありませんが、屋号をつけたほうが事業を円滑に進められる場合があります。
商号登記をすればより信用度が高くなる可能性や、将来的に法人化するときに役に立つ可能性もあるので、気になる方は1度法務局に相談してみるのがおすすめです。
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※この記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しております。
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