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レアメタルとは?金属の種類や用途、レアアースとの違いなどをわかりやすく解説!

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年10月6日 10時0分

鉄や銅などの金属は、さまざまな産業で不可欠な素材となっています。また、金や銀は投資の対象としてメジャーな存在です。 そうした中、近年注目されている金属が「レアメタル」。その名のとおり希少な金属です。EV(電気自動車)のモーターやバッテリーを作るのに欠かせない素材で、国や企業はレアメタルを確保するため、さまざまな努力を続けています。これからの産業で重要な役割を果たすレアメタル。ここでは、用途や市場環境、確保へ向けた努力などについて解説していきます。

レアメタルとは

レアメタルとは

レアメタルとは、埋蔵量が少ない、抽出が難しいといった理由から、使用・流通の量が少ない非鉄金属のことです。希少性の高い金属なのですが、EV(電気自動車)に使うモーターやバッテリーなどの製造に使われていて、必要な量をどう確保するかが課題となっています。

 

EVのほかにも、さまざまなハイテク産業での利用が広がっており、レアメタルはこれからの産業を考えるうえで、欠かせない存在となっています。産出国に偏りがあるため、国際的な問題になることもあるほどです。

 

レアメタルと似た言葉に、レアアースがあります。レアメタルには31の鉱種があるのですが、レアアースはその中の1鉱種を指し、希土類元素と呼ばれます。

 

金属の全体的な分類も確認しておきましょう。鉄や銅、アルミニウムなどは「ベースメタル」と呼びます。生産量も使用量も多い金属です。「貴金属」に分類されるのは、金や銀、プラチナなどの8元素。希少で耐腐食性のある金属です。「レアメタル」はこれらと区別して、流通量は少ないもののハイテク産業に不可欠な金属を指しています。

レアメタルの種類

レアメタルの種類

レアメタルは希少金属とも呼ばれ、31の鉱種からなります。その中の「希土類」がレアアースです。レアアースは17の元素を総称する名前です。それでは具体的にどんな種類があるのか、一覧にまとめてみましょう。

 

まずはレアメタル31鉱種です。なじみのない名前も多いかもしれませんが、リチウムやチタンなどよく聞く名前もあります。カッコ内は元素記号です。

レアメタルの一覧

次はレアアース。上のレアメタル一覧に「希土類」がありますが、これがレアアースのことです。つまりレアアースはレアメタルの一部で、こちらも幅広い産業で使用されています。レアアースは17の元素を総称したものですが、一覧にまとめます。

レアアースの一覧

レアメタルの用途

レアメタルの用途

それではレアメタルは、どんなところで使われているのか、身近な例とともに紹介していきましょう。

構造材料への添加剤

まずは、レアメタルが「構造材料への添加剤」として使用される場合です。構造材料とは、建築物での構造を支える部材。柱として石や木材を使うこともありますが、鉄やアルミニウムといった金属もよく使われます。この時、鉄やアルミニウムなどの「ベースメタル」に、添加剤として「レアメタル」を使うことで、強度や耐腐食性を上げることができるのです。

 

具体的な例として挙げられるのは、「ステンレス鋼」。ベースメタルの鉄(Fe)に、レアメタルのクロム(Cr)を10.5%以上含有させたものです。鉄にクロムを加えることで保護被膜が形成され、さびにくくなります。身近なところでは食器や厨房用品に使われる素材です。

 

クロムのほかニッケル(Ni)などが使われることもあります。材料に添加されるレアメタルとしては、ほかにマンガン(Mn)やバナジウム(V)、タングステン(W)などがあります。

電子、磁石材料

次は、レアメタルを電子・磁石材料として使用するケース。レアメタルを使用する産業の中でも、ハイテクと呼ばれることが多い部分です。

 

まず「発光ダイオード(LED)」。電圧を加えると、発光する半導体素子です。1993年に高輝度青色LEDが実用化され、照明用光源として使われるようになっています。ここで使われているのが「窒化ガリウム」。レアメタルのガリウム(Ga)を含んでいます。LEDは照明だけでなく、信号機や液晶ディスプレイにも使われています

 

レアメタルの希少性・重要性を語るうえで、とりわけ話題になるのがEV(電気自動車)の製造に不可欠という点です。EVのどんなところでレアメタルが使われているのか見てみましょう。まずはバッテリー。EVの価格の3分の1は、バッテリーが占めるといわれています。レアメタルの価格動向からの影響を受けると考えられます。EVには、リチウムイオンバッテリー。リチウム(Li)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などのレアメタルを使用します。

 

EVにはレアメタルを使ったバッテリーを載せますが、その電力を使って動かすのはモーターです。このEV用のモーターでも、レアメタルが重要な役割を担っています。自動車を動かすモーターには、高い出力が求められます。

 

モーターには永久磁石を使いますが、高い磁力を実現するのに貢献しているのがレアメタルのネオジム(Nd)。レアメタルの中でも希土類(レアアース)に属する金属です。レアアースでは、ほかにもジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)がモーターの製造に使われます。

機能性材料

レアメタルを使うことで、既存の素材に新たな機能を持たせることもあります。そのひとつがニューガラス。ガラスというと、以前は食器や窓に使われている素材というイメージがありました。しかし、ガラスとレアメタルの組み合わせで、新たな役割を持つようになったのです。

 

ニューガラスが使われているものには、記録用ディスクや太陽電池があります。インターネットなどの通信に利用される光ファイバーにも、インジウム(In)を使ったフッ化物ガラスが、ニューガラスとして応用されています。

 

ほかにもレアメタルを使った機能性材料として紹介したいのが光触媒。光触媒とは、光を当てることで触媒として作用し、さまざまな化学反応を引き起こす素材です。光触媒としてはチタン(Ti)を含む化合物、酸化チタンなどが使われます。身近なところでは、建物の外壁や室内の壁に塗ることで、消臭・抗菌・防カビ・有害物質分解などの効果を発揮します。このようにレアメタルは、生活の身近なところで使われているのです。

レアメタルの産出地と市場環境

レアメタルの産出地と市場環境

産出地の偏在による政治リスク

レアメタルには、産出地の偏在性という課題があります。レアメタルにはさまざまな種類がありますが、それぞれ埋蔵量の半分以上を上位3カ国が占めているのです。主な産出国となっているのは、中国やロシア、アフリカ諸国、南北アメリカ諸国です。レアメタルは、これからの新しい産業に必要な資源ですが、供給する国が少ないと、その国の政治・経済の状況によって、入手が困難になる可能性があります。

 

例えば、2010年に中国はレアアースの輸出規制を行いました。その結果、レアアースの価格は高騰し、ジスプロシウムやネオジムなどは、価格が最大約10倍にもなったのです。レアメタル・レアアースを輸入している国では、供給が特定の国に偏っていることのリスクに対応しながら、必要な量を確保しなければなりません。

消費の拡大による枯渇リスク

また、多くの資源についていわれることですが、レアメタルも資源枯渇のリスクが心配されています。利用できる資源を表す言葉に「現有埋蔵量」があります。これは存在することがわかっている鉱物資源量のうち、コスト面から採掘可能と考えられている埋蔵量です。

 

モリブデン(Mo)やタングステン(W)、コバルト(Co)などは、2050年に現有埋蔵量をほぼ使い切るといわれています。さらにリチウム(Li)やインジウム(In)などは、2050年までの使用量が現有埋蔵量の倍以上になるとの予測があります。

レアメタルを安定的に確保するための取り組み

レアメタルを安定的に確保するための取り組み

海外資源の確保の推進

EVに利用する電池やモーターなど、これからの産業に不可欠なレアメタル。産出地に偏りがあったり、資源自体が少なかったりと、その確保はさまざまなリスクにさらされています。そうしたことから、経済産業省は2020年3月に「新国際資源戦略」を策定しました。そこでは、レアメタルを含むさまざまな資源の確保についての戦略がまとめられています。

 

日本は広い排他的経済水域(EEZ)を持ち、その範囲内の海底にレアメタルを含む海洋鉱物資源があります。開発は進んでいるものの、現状ではレアメタルのほとんどを海外からの輸入に頼っているという状況です。リスクに対応する手段としては、まず供給源を多角化することが必要です。鉱山を採掘する権益のほか、精錬工程に関する権益も含め、レアメタルの種類ごとに戦略を策定するとしています。

 

レアメタルの確保では、政治リスクへの対応も必要です。レアメタルを産出する国は限られていて、その国が輸出規制を行ったり、高い関税をかけたりする可能性があります。そこで重要となってくるのが、資源外交です。産出国との関係を良好に保つことが、安定的な資源確保につながるというわけです。

 

レアメタル確保への取り組みとしてもうひとつ挙げられるのは、備蓄の増強。海外の産出国の状況など、さまざまなリスクに対応するための手段です。現在備蓄の対象となっているレアメタルは、31鉱種(55元素)。1983年から官民合わせて、国内消費量の60日分を目標として備蓄しています。

リサイクルの推進

レアメタルの埋蔵量には限りがあります。そこで必要になってくるのが、リサイクルへの取り組み。タングステン(W)やコバルト(Co)などが、「リサイクルを重点的に行うべき鉱種」に選ばれています。レアメタルは身近な製品に含まれています。スマホやパソコンからは、リサイクルにより希少なレアメタルが回収可能です。

 


貴重な資源を取り出せる廃棄物は、「都市鉱山」と呼ばれることがあります。レアメタルが採れるのは、海外の限られた場所だけではありません。国内の廃棄物にもレアメタルが含まれています。日本の都市鉱山に含まれるレアメタルの中には、全世界の埋蔵量の1割以上に達するものもあるといわれるほどで、無視できない量です。リサイクルが進めば、レアメタルが枯渇するリスクを低くすることができそうです。

 

このほかレアメタルが枯渇したり、確保できなかったりというリスクへの対策として、代替材料の開発も進んでいます。レアメタルを使わずに済む方法があれば、リスクをより下げることができるでしょう。

EVなど新しい産業の今後を左右する可能性を持つ、レアメタル。そんなレアメタルに関連する企業の株価にも注目したいところです。例えば、レアメタルの流通を手掛ける商社や、最近注目されるレアメタルのリサイクルを行う企業といったものが挙げられます。楽天証券などの証券会社では、このようなレアメタルに関連する上場企業への投資も始められます。

 

※この記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しております。

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