要介護認定を受けるに至る一番多いきっかけとは|要介護度を上げないための対策も
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年10月11日 10時0分
日常生活の動作に支障を来している高齢者は、介護保険サービスを受けられます。身の回りの介助をしてもらえると心強いものですが、サービスを受けるには要介護認定を受ける必要があります。 もちろん、できれば要介護状態にならずにいつまでも健康体でいたいもの。要介護認定を受ける主なきっかけを知って、要介護状態にならないよう予防していくことも重要です。 今回は、介護保険制度と要介護者になる原因を解説します。また、要介護状態になることを防止するための習慣、要介護度を上げないための習慣を紹介します。
要介護認定とは
要介護認定とは、どのくらいの介護サービスを受ける必要があるのかという「介護サービスの必要度」を客観的に評価したものです。日常生活における介護・支援の必要度合いによって、要支援2段階、要介護5段階の計7段階に分類されます。要介護度から介護にかかる費用の目安もわかります。
なお、要介護度を判定する際にチェックされるのは、「基本調査」という5つの観点から見た状態です。具体的には、「身体機能・起居動作」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」の5点となります。
要介護認定で一番多いきっかけは?
要介護認定を受けたきっかけというと、認知症をイメージする方もいるでしょう。しかし、厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」によると、要介護認定を受けることになったきっかけは要介護度によって少しずつ異なります。
各要介護度におけるきっかけの上位3つを下表にまとめました。
要介護度別にみた介護が必要となった主な原因
要介護度の高い要介護4・5では、脳血管疾患(脳卒中)がきっかけで要介護認定を受けるケースが最も多くなっています。
要介護1~3では、認知症がきっかけのケースが最も多いものの、要介護2・3では1位の認知症と2位の脳血管疾患(脳卒中)の差はわずかです。
比較的状態が軽い要支援1・2に認定される原因として、最も多いのが関節疾患です。高齢による衰弱や骨折・転倒がそれに続きます。
介護保険制度とは?
介護保険制度とは、介護が必要な人を社会全体で支える公的な制度で、2000年の介護保険法施行にともないスタートしました。
介護保険制度が始まった2000年の要介護(要支援)認定者は218万人だったのに対し、20年後の2021年には682万人と3.1倍にも増加しています。サービス利用者も、2000年に149万人だったのが、2021年は575万人と3.8倍になっています(在宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスの合計)。
このように介護を必要とする人が増加していく状況において、介護保険制度はなくてはならない制度だといえるでしょう。
被保険者は2種類ある
介護保険制度は40歳から加入が義務付けられており、65歳以上の人を「第1号被保険者」、40歳から64歳の人を「第2号被保険者」としています。加入者は保険料を支払うことで所定の介護サービスを受けることが可能です。
第2号被保険者の保険料の支払い方法は、会社員なら給与からの天引きですが、自営業などの場合は国民健康保険料への上乗せというかたちで納付します。
第1号被保険者は原則として公的年金から保険料が天引きされますが、天引きの要件を満たさない場合は「納付書」で納付します。
介護サービスを受けられる人
介護保険制度による介護サービスを受けられるのは、原則として65歳以上の第1号被保険者のみです。第2号被保険者は、加齢などを原因とする特定の16疾患に該当する場合のみサービスを受けられます。
介護サービスの主な内容
介護保険制度で受けられる主なサービスには「在宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」があります。それぞれの主な内容を以下にまとめました。
主な介護サービスの種類と内容
このように、さまざまな介護サービスを受けられます。
要介護度は何段階あるか
要介護度は「要支援」1〜2、「要介護」1〜5の合計7つの段階に分けられます。
要介護度はさまざまな項目をチェックして決定されますが、それぞれの段階がどのような状態か知りたい人も多いでしょう。
そこで、一般的にどのような身体状態がどの要介護度に相当するかを解説します。
要介護度と認定の目安
このように、要支援1が最も軽度で、要介護5が最も重度の状態です。
要支援者と要介護者の違いは
上述のとおり、要介護度は「要支援」と「要介護」に分類されます。両者の区別は、介護保険法で定義されています。
- 要支援:現時点は介護の必要はないが、日常生活において介助が必要な状態
- 要介護:食事や排せつ、入浴などの日常生活において常に介助を必要とする状態
要支援者と要介護者の大きな違いは、受けられる介護サービスの種類です。
要支援者が受けるのは、要介護状態に陥らないために生活機能の維持向上や改善を目指す「介護予防サービス」です。一方、要介護者は、日常生活を送るために身体状態に合わせた「介護サービス」を受けられます。
39歳以下で要介護状態になっても介護保険サービスが利用できない?
介護保険制度は40歳以上の住民が対象となっているため、40歳未満で要介護状態になった場合は制度未加入のためサービスを利用することができません。介護保険料の支払いも40歳からなので、保険料の支払いがない代わりにサービスの利用もできないということです。
40歳未満で何らかの介護サポートを受けたい場合は、公的医療保険制度や障害福祉サービスの利用を検討しましょう。障害福祉サービスは「障害者総合支援法」に基づいて行われる福祉サービスのことで、介護支援を受けられる「介護給付」、訓練等の支援を受けられる「訓練等給付」があります。
また、保険会社が取り扱っている介護保険であれば40歳未満でも加入でき、所定の状態に該当すれば給付金が支給されます。
要介護度を上げないための対策
要介護状態にならないため、また、すでになっていても重度の介護を要するようにならないためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
要介護認定を受けることになる原因は、認知症や脳血管疾患(脳卒中)、転倒・骨折、関節疾患、高齢による衰弱などが上位となっています。とすれば、これらの疾病対策を取ることが予防になるでしょう。
また、規則正しい生活を心がけることや、人とのコミュニケーションを密にすることなどにも健康を維持する効果が期待できます。具体的に見ていきましょう。
バランスの取れた食事
1日3食を原則として、「よく噛む」ことを意識すると脳の活性化にもつながります。また、介護食は食事というよりもエネルギー補給といったものになりがちです。普通食が食べられるうちは無理に介護食を取り入れず、様子を見ながら普通食を楽しくいただきましょう。
なお、65~74歳の男性は1日に約2,000キロカロリー以上、女性は約1,500キロカロリー以上のエネルギー摂取が必要で、75歳以上の男性は1,800キロカロリー以上、女性は1,400キロカロリー以上のエネルギー摂取が必要とされています。
適度な運動
高齢になると筋力が低下し、骨も弱くなるでしょう。疲れてしまうからと、つい運動を避けたくなるかもしれませんが、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
毎日近所を散歩したり、バス停を1つ手前で降りて歩いてみたり、少しの工夫で歩く機会を作れます。また、部屋の中でもスクワットやラジオ体操などはいつでも気軽に取り組めます。全身の筋肉を気持ち良く動かせる運動を見つけましょう。
コミュニティーへの参加
家の中にこもりきりになっていると、変化や刺激がなく老化を早めてしまいます。毎日の生活を充実させ若々しさを保つために、仕事をしたりボランティアに参加したり、カルチャーセンターなどで趣味の時間を持ったりしてみましょう。コミュニティーに参加することで社会・人とつながり、良い刺激を受けられるので、認知症の予防にも役立ちます。
要介護認定を受けるきっかけは要介護度によって異なる
要介護認定は、身体状態をチェックし必要な介護の度合いを客観的に数値化して判定した介護の必要度です。要支援2段階、要介護5段階の7つの段階に分けられていて、それぞれ受けられる介護保険サービスが異なります。
介護保険を利用すれば、介護保険サービス利用時の自己負担額は1~3割に軽減されますが、介護保険制度の対象外となるサービスを受ける場合は高額な費用がかかることがあります。
将来の介護費用を準備する方法として、資産運用が挙げられるでしょう。
楽天証券などの証券会社ではiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を使って、税制メリットを享受しながら資産運用を始めることができます。iDeCoは60歳になるまで引き出しができませんが、興味のある方はぜひ各証券会社のWebサイトをチェックしてみてください。
※この記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しております。
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