ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは?補助金制度についても解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年11月6日 10時0分
近年話題になっているZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)。地球温暖化を制御するため世界中が環境問題に取り組む中、日本ではエネルギーの自給自足ができるZEH住宅の普及が進められています。ここではZEH住宅の概要と補助金制度などを解説します。これから家を建てる予定のある方は、参考にしてみてください。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
ZEH(ゼッチ)住宅とは、家庭で使用するエネルギーを減らし、新たにエネルギーを作り出すことで電気の使用を実質ゼロにする住宅のことです。
電気は生活に欠かせないライフラインです。電気使用量の削減といっても、暑さや寒さを我慢したり、照明を抑えて暗い部屋で本を読んだりするということではありません。ZEH住宅は、快適な暮らしと環境負荷低減を両立させた住宅です。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に必要な3要素
ZEH住宅に必要な要素は、以下の3つです。
- 省エネ
- 高断熱
- 創エネ
後述する補助金制度の適用にも必要な要素になります。
省エネ
住宅における省エネは、例えば設備を以下のようにすると実現できます。
- 照明をLED電球に替える
- 省エネモード機能付きの家電を利用する
- 高効率の空調や給湯器を使う
つまり、住宅の省エネとは、エネルギーを効率的に使うことで消費エネルギーを削減することです。
高断熱
夏は涼しく、冬でも暖かい住宅の決め手は断熱です。住宅の断熱方法には、以下のようなやり方があります。
- 壁や柱の間に断熱材を敷き詰める
- 住宅の外壁を断熱材で覆う
- 窓ガラスを2枚または3枚構造にする
- 断熱サッシを使用する
断熱効果が高い住宅では空調使用の必要性が減少するため、節電につながります。
創エネ
創エネとは電気エネルギーを作り出すことです。具体的には、太陽光発電システムの設置などです。後述するように、ZEH住宅は太陽光発電システムを取り入れて、電力会社からの電気の使用を減らす住宅です。
太陽光発電で作った電気を使用すれば電気代の節約にもなります。また、蓄電池があれば日中発電した電気を溜めておき、夜間に使用できます。災害で停電になったときでも、いつものように電気が使えるため、万が一の備えとしても有効です。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の種類
ZEH住宅には、以下の5種類あります。
上記の表にある一次エネルギーとは、手を加えることなくそのままの状態で燃料になるものです。例えば、石油や天然ガス、水力、太陽熱などがその例です。
住宅では電気やガスといった二次エネルギーの消費量を一次エネルギーの消費量に換算して計算します。なお、一次エネルギーの消費量がどれくらい減ったかの基準値(基準一次エネルギー)は、地域や床面積によって決まります。
ZEH
ZEHは、年間の電気使用量が実質ゼロまたは発電量のほうが多い住宅のことです。加えて、住宅に断熱材が使用されていることも条件になっています。
Nearly ZEH
Nearly ZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、年間の電気使用量を75%以上削減できているZEHに近い住宅です。エネルギー使用率が限りなくゼロに近い住宅という意味を込めて【Nearly(ほとんど)】ZEHと呼ばれています。
Nearly ZEHが適用されるのは、以下の地域に限定されています。
- 寒冷地(北海道、東北地方、北陸地方など)
- 日照時間が短い地域(東北地方、北陸地方など)
- 降雪地域(北海道、東北地方、北陸地方など)
上記の地域は気候の性質上、使用電気量を賄えるだけの発電が難しいとされている地域です。
ZEH Oriented
ZEH Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・オリエンテッド)は、ZEHやNearly ZEHと同様に住宅への断熱材の使用や、省エネ家電を活用した住宅です。都市部の狭小地域や降雪量が100cmを超える地域に適用されます。
ZEH+
ZEH+は、ZEHよりもさらに高性能な省エネ住宅です。断熱材の使用率がZEHよりも高いこと、HEMS(家庭のエネルギー管理システム)を導入していること、電気自動車等を活用していることなどが条件となるため、省エネ・創エネをさらに進めた住宅といえます。
Nearly ZEH+
Nearly ZEH+は、Nearly ZEHの条件を満たし、HEMSの導入や電気自動車等を活用している住宅のことです。電気の自給自足率のための設備が整っている住宅といえます。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のメリット
ZEH住宅を建てるメリットを4つ紹介します。ZEH住宅が生活にどのようなメリットをもたらすのか、ご確認ください。
光熱費を削減できる
太陽光発電で発電した電気を使用すると、電力会社から電気を購入する量が少なくなるため、光熱費を削減できます。使用電力よりも発電量が多い場合は、蓄電池に溜めたり、売電したりできるため、効率良く電気が使えます。
また、ZEH住宅は家の壁や窓に断熱材を使用しているため、夏は涼しく冬は暖かい住宅です。冷暖房の使用量が減るため、さらに光熱費が抑えられます。
非常用電源を確保できる
発電した電気を蓄電池に溜めておけば、災害で停電が発生した場合でも電気が使えるようになります。
特に、お年寄りや小さなお子様がいるご家庭では、災害時にすぐ避難できるとは限りません。数日自宅待機をして、避難するタイミングを図るような場合も考えられます。蓄電池があれば、災害時でも日常に近い生活ができるでしょう。
高く売却できる可能性がある
BELS(建築物エネルギー性能表示制度)に申請してZEHマークを取得すると、住宅が高く売却できる可能性があります。
BELSとは、住宅のエネルギー消費性能を調べて表示する制度を指し、国土交通省によって定められました。BELSによる評価は、星1~5で表示され、星の数が多いほどエネルギーの自給自足率が高い住宅であることを示します。
ZEH住宅はエネルギーの削減率が100%以上の住宅であり、BELSの評価は高くなると予想されます。BELSの評価が高いと資産価値が高くなる可能性があるため、ZEH住宅は高く売却できる可能性があります。
快適に過ごすことができる
住宅の壁に断熱材を使用すると、家屋内の温度差が小さくなり快適な空間が作れます。夏や冬は、空調が効いた部屋とそれ以外の場所の温度差が大きくなりがちです。そういった環境では、ヒートショックを起こす危険性があります。
家中の温度差を小さくするZEH住宅は快適なだけでなく、安全な住宅ともいえます。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の注意点
ZEH住宅は完璧というわけではありません。以下のような問題もあります。
- 天候の影響を受ける
- 設備投資・メンテナンス費用がかかる
ZEH住宅の建設を考えるうえで、知っておいたほうが良いことを確認しておきましょう。
天候の影響を受ける
太陽光発電は、屋根にパネルを設置して発電するため、天気の影響を大きく受けます。晴れの日の発電効率は良いですが、雨や雪の日の発電効率は下がります。特にパネル上に雪が積もるとパネルに太陽光が届かず、発電しないことがあります。
また、夏は日照時間が長いため発電量を確保できますが、日照時間の短い冬は夏に比べて発電量が低下します。季節や天候により、発電量に差が出ることを覚えておきましょう。
設備投資・メンテナンス費用がかかる
ZEH住宅に必要な断熱材や太陽光パネルなどは、設置費用が高額です。設置後のメンテナンスにも費用がかかります。
非ZEH住宅と比較して、ZEH住宅は光熱費を抑えられるとはいえ、設備投資を回収できるのがすぐとは限りません。経済的な利益だけを目的にZEH住宅にするのは難しいでしょう。
ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
ZEH住宅には補助金制度が適用されます。7種類ありますが、戸建てやマンション、階層などによって適用される制度が異なるため、ご確認ください。
ZEH支援事業
ZEH支援事業の内容は以下のとおりです。
上記の条件に加え、以下の設備を設置した場合は補助金が加算される場合があります。
- 定置型の蓄電システム
- 直交集成板(板を直交させて接着したパネルで、断熱性が高い)
- 地中熱ヒートポンプシステム(季節を問わず温度が安定している地中の熱を利用した暖房や給湯器)
- PVTシステム(太陽の熱と光をエネルギーに変えるシステム)
- 液体集熱式太陽熱利用システム(太陽の熱を利用して給湯や暖房に使用するシステム)
次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業
次世代ZEH+実証事業の内容は、以下の表をご参照ください。
次世代HEMS実証事業
次世代HEMS実証事業は、以下のようなものです。
超高層ZEH-M実証事業
ZEH-M(ゼッチ・マンション)は集合住宅タイプのZEHです。超高層ZEH-M実証事業の詳しい内容は、以下の表をご参照ください。
高層ZEH-M支援事業
高層ZEH-M支援事業の内容は、以下の表をご参照ください。
中層ZEH-M支援事業
中層ZEH-M支援事業の内容は、以下のとおりです。
低層ZEH-M促進事業
低層ZEH-M促進事業の内容は、以下の表をご参照ください。
補助金制度を利用する場合の注意点
補助金制度を利用するときは、注意点が主に3つあります。それぞれ解説しますので、補助金を利用したい方は確認しておきましょう。
ZEHビルダー・ZEHプランナー登録の会社を利用する
ZEH住宅に関する補助金を申請する場合は、「ZEHビルダー」もしくは「ZEHプランナー」の認定を受けている工務店や建設会社を通さなければなりません。
ZEHビルダーとは、ZEH住宅の建築を積極的に進めていくと自社の目標に掲げ、実行していると経済産業省に認められた工務店や建築会社を指します。
また、ZEHプランナーとは、ZEH住宅の設計を推進すると経済産業省が認めた設計事務所のことです。
ZEH住宅の建設を依頼する会社を選ぶときは、ZEHビルダーまたはZEHプランナーの認定を受けているかを確認しましょう。
ZEH補助金申請後は設計の変更ができない
ZEH補助金制度の申請には、断熱材の種類や量、場所、発電機器の種類など細かく記載して提出します。提出後、間取りを変えたい、窓を追加したいなど設計を変更すると、申請書に記載したとおりの設計ができなくなります。
補助金制度の申請後に設計を変更すると、補助金の対象外になる可能性があるため、じっくり検討してから申請しましょう。
ZEH補助金の最新スケジュールをチェックする
ZEH補助金制度は、住宅のタイプやZEHの種類などによって申請方法や応募方法などが異なります。先着順の場合は締め切り前に終了することが考えられるため、常に最新の情報をチェックして、期限に間に合うように申請しましょう。
ZEH住宅で光熱費を抑え地球環境に優しい生活を送ろう
ZEH住宅とは、高断熱でエネルギーを使いすぎない設計がされ、太陽光発電で電気の自給自足ができるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを指します。補助金制度を利用して、お得にZEH住宅を建てましょう。
光熱費の節約が可能なZEH住宅とはいえ、光熱費が発生することはあります。光熱費の支払いには楽天カードを使うと、楽天ポイントが貯まるのでおすすめです。貯まった楽天ポイントをショッピングやレジャーに使って、日々の生活を充実させてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しております。
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