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総量規制とは?対象外の借入方法と注意点について解説

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2023年11月8日 10時0分

お金の借入をしようとする際には、できればこれだけ借りたいという希望額があるでしょう。しかし、信用状況や担保などの状況により、必要な金額を借りられないこともあります。貸金業者から借りられる金額の上限は法律でも定められていて、それを「総量規制」といいます。お金を借りる前に総量規制について知っておくと、返済までの計画を立てやすくなるでしょう。ここでは、対象外の借入方法や注意点を含めて解説していきます。

総量規制とは

総量規制とは

総量規制は、貸金業者による個人向け融資の金額が年収の3分の1を超えてはならないという法律上の規制です。借りられる金額の上限が決まっているということです。個人の返済能力を超えない範囲として、年収の3分の1という基準が示されています。

 

総量規制の対象となるのは、貸金業者による貸付です。消費者金融やクレジットカード会社などがそこに含まれます。銀行などもお金の貸付を行っているのですが、総量規制の対象にはなっていません。業種により適用される法律が異なるためです。

 

総量規制の目的は過剰な貸付・借入の防止です。お金の借入自体は、特定の目的があり、かつ返済の見通しがはっきりしている場合は問題になることは少ないでしょう。しかし、毎月不足する生活資金の穴埋めとして返済の計画も立てないまま借り続けてしまうと、返済に困ることになりかねません。

 

貸し付ける側からすると多くのお金を貸した方が収入につながるため、総量規制ができるまで過剰な貸付による多重債務者の増加が社会問題になっていました。総量規制は、そのような状況から消費者を守るために定められたのです。

総量規制の基準となる「年収」に該当するもの

総量規制の基準となる「年収」に該当するもの

貸金業者が利用者に貸すことができるのは、総量規制により年収の3分の1までとなっています。これから借入をする際の参考になるでしょう。年収と比較した、現在の借入額の割合を計算すると、現状把握にも役立ちそうです。

 

自分が借りられる金額の総量規制上の上限を知るためには、まず年収がどれだけあるのか把握しなければなりません。法令では次のようなものが年収に該当するとしています。

 

  1. 給与
  2. 年金
  3. 恩給
  4. 定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)
  5. 年間の事業所得(過去の事業所得の状況と照らして安定的と認められるものに限る)

年収は定期的で安定した収入の年額です。毎月の給与はやはり年収の対象となっています。リタイアしていれば、給与収入はなくても、年金や恩給を受け取っているという場合もあるでしょう。総量規制では、年金や恩給も年収の対象となっています。

 

ほかにも個人でアパートやマンションなど不動産を所有して、賃貸収入を得ているケースや個人事業主として収入を得ているケースでは、その収入から年収が計算されることになります。

総量規制の算出例

総量規制の算出例

貸金業者が最大いくら貸し付けることができるのか、計算してみることにしましょう。給与所得者の年収の主要な部分は給与です。給与といっても、税金や社会保障費などが差し引かれたあとの手取りなのか、総支給額なのかという違いがありますが、総量規制の計算では総支給額を用います

 

例えば、総支給額の年間の合計が450万円だったとします。総量規制は年収の3分の1を超えてはいけないという規制です。450万円の3分の1を計算すると150万円になります。これにより貸金業者は、この利用者に対して150万円を超える貸付はできないことがわかります。

 

総支給額から計算すると、思っていたよりも上限の額が大きくなるというケースがあるかもしれません。しかし法律上の上限が高くなったからといって、ぎりぎりまで借りようとするのは、無理が出る可能性もあるので注意しましょう。あくまでも自身の返済能力を考え、具体的な返済計画を立てることができる範囲での借入を心がけるのが良さそうです。

総量規制の対象外の貸付

総量規制の対象外の貸付

例外貸付

総量規制は貸金業者が貸付可能な金額の上限を定めています。しかし利用者がお金を借りる理由はさまざまです。事情によっては、貸金業者も総量規制の上限を超えて貸付ができる場合があります。「例外貸付」と呼ばれるものです。

 

利用者から見て借入条件が良くなるケースや、あとで返済に困ることがないと考えられるケースがこれに当てはまります。具体的には次のようなものです。

 

  1. 利用者に一方的に有利となる借換(おまとめローンなどが条件を満たす場合)
  2. 借入残高を段階的に減少させるための借換
  3. 配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付(配偶者の同意が必要)
  4. 利用者自身やその親族などに対して緊急性が高く、必要と認められる医療費を支払うための資金の貸付

総量規制の上限が例外的に外されるケースなので、本来の総量規制による制限を超えて借入をした場合は、それ以上の借入はできなくなります。

除外貸付

例外貸付のほかに「除外貸付」と呼ばれるものもあります。総量規制に含まれないと考えられる貸付です。除外貸付で借りている分のほかに、総量規制の上限までの貸付を受けることも法的には可能になります。

 

除外貸付の対象となる貸付には次のようなものがあります。

 

  1. 不動産購入のための貸付(住宅ローン)
  2. 自動車購入時の自動車担保貸付(自動車ローン)
  3. 高額療養費の貸付
  4. 有価証券や、個人顧客や担保提供者の居宅などを除く不動産を担保とする貸付

銀行カードローン

総量規制は「貸金業法」によって定められた制度のため、貸金業者による貸付が対象となります。なお、銀行は預金業務なども行うので、貸金業者には該当しません。よって、銀行カードローンでの貸付は、総量規制の対象外となるのです。

 

もっとも総量規制の対象でないからといって、無制限に借りられるわけではありません。消費者金融から借り入れている額が法律上の上限に達したので、次は銀行から借り入れようというのは、難しいでしょう。

 

なぜなら、銀行も総量規制のような自主規制を設けているからです。また、利用者の返済能力を見極めるうえで、銀行カードローンの審査は消費者金融の審査よりも厳しいでしょう。実際には利用者自身が自らの返済能力を把握して、借り入れる額をコントロールするのが望ましいと思われます。

クレジットカードは総量規制の対象となる?

クレジットカードは総量規制の対象となる?

クレジットカードには、ショッピングでの利用とキャッシング利用があります。総量規制との関係では、この2つの扱いが異なるので、知っておく必要があるでしょう。

ショッピング利用分

クレジットカード会社は貸金業者に分類されます。ショッピングでの利用もお金を借りるのに近いと考えられます。しかし、クレジットカードのショッピング利用分は、総量規制の対象とはなりません。クレジットカードのショッピングは、法律的に割賦販売法の規制を受けますが、貸金業法の対象ではありません。

キャッシング利用分

一方、クレジットカードのキャッシング利用分については、総量規制の対象となります。カード会社は貸金業法に基づいて、貸金業者として金銭の貸付けを行うため、これに該当するのです。

 

同じ1枚のクレジットカードでも、ショッピングで使う分とキャッシングで使う分とでは機能が異なり、法律上の位置づけも違ってきます。キャッシングはATMで簡単にお金を借りられますが、どんな借入についても、自身の返済能力を考えながら利用するのが良いでしょう。

総量規制に関する注意点

総量規制に関する注意点

総量規制はすべての貸金業者からの借入合計額が対象

総量規制では、年収の3分の1を超えた貸金業者による貸付を禁止しています。年収が300万円であれば、100万円を超えてはいけないということです。このルールは複数の業者から借り入れる場合にも適用されます。すなわち借入の合計が100万円を超えることはできません。

 

例えば、A社から50万円借りていて、B社からは30万円を借り入れているとしましょう。C社からも借りようとすると、その上限はいくらになるでしょうか。総量規制により、貸付総額が100万円を超えてはいけないので、C社からは20万円の貸付が上限ということになります。複数の業者から借り入れることで、上限が増えることはありません

必ず年収の3分の1の金額を借入できるとは限らない

法律によって貸し付けられる金額の上限が決まっているということは、必ずしもその上限まで貸してくれるということではありません。総量規制のルールは、実際に年収の3分の1まで借りられることを保証するものではないため、貸金業者は、それぞれの利用者について信用状況を審査し、貸付可能な金額を決めます。場合によっては、年収の3分の1までも貸せないと判断することもあるでしょう。

借り入れに関する注意点

借り入れに関する注意点

借入の際に、基本的に年収を証明する書類を用意する

銀行や貸金業者から借り入れる際には、返済能力を証明するために正確な年収の額を伝えることが必要です。そのためには書類を提出しなければならないケースがあります。必ず書類を求められるのは、貸金業者から50万円を超えて貸付を受ける場合と、ほかの業者から借入があり、その金額との合計が100万円を超えるような借入をする場合です。

 

年収を証明するための書類には次のようなものがあります。

 

  1. 源泉徴収票
  2. 支払調書
  3. 給与の支払明細書
  4. 確定申告書
  5. 青色申告決算書
  6. 収支内訳書
  7. 納税通知書
  8. 納税証明書
  9. 所得証明書
  10. 年金証書
  11. 年金通知書

会社に勤めていて給与収入があるという場合は、最新の源泉徴収票などを用意すると良いでしょう。個人事業者の場合は、確定申告に関連した書類を利用できます。またリタイアして年金収入があるという場合では、年金証書や年金通知書が使えるということになります。

正規の貸金業者を利用する

お金を借り入れる際は、正規の業者を選ぶようにしましょう。貸金業者であれば、財務局や都道府県に登録しているのが正規の業者ということになります。金融庁のWebサイトでは、「登録貸金業者情報検索サービス」が公開されていて、これにより正規の貸金業者かどうかを調べることも可能です。

 

正規の貸金業者以外では、ヤミ金融と呼ばれる業者が、お金の貸付を行っている場合があります。法律に基づく登録をせずに、違法に貸金業を営む業者です。金利が法外であったり、返済が遅延した場合の取り立てが過剰だったり、利用者の不利益となることが多いと考えられます。それを避けるためにも、正規の業者であるか確認するようにしましょう。

楽天関連のサービスでも、お金の借入ができます。例えば、楽天カードでは、キャッシングを利用できます。クレジットカードのキャッシングには貸金業法が適用されるため、総量規制の対象です。楽天銀行では、カードローンや不動産ローンにより、お金を借り入れることが可能です。銀行については銀行法が適用され、総量規制の対象外となります。普段、何気なく利用しているサービスですが、法律と関連付けて理解を深めておくことも大切でしょう。

 

※この記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しております。

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