キャッシュレス推進協議会とは?目的や主な活動内容を解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2024年1月23日 10時0分
キャッシュレス決済には、ポイントの還元やスピーディーな支払いができるなどのメリットがあります。 しかし、キャッシュレス決済の普及を目的としている、キャッシュレス推進協議会という組織の取り組みが背景にあることは、あまり知られていないかもしれません。 ここでは、キャッシュレス推進協議会の概要と活動内容を紹介します。キャッシュレス推進協議会について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
キャッシュレス推進協議会とは
キャッシュレス推進協議会は、日本のキャッシュレス社会を実現させるために、経済産業省をはじめとする関係各省庁の合意・理解のもと、2018年7月に設立された組織です。
この組織は2025年までに、国内におけるキャッシュレス決済比率40%の達成を目指しています。
キャッシュレス推進協議会の会員構成
キャッシュレス推進協議会の会員構成は、大きく4つに区分されており、各分野・領域における個人や企業・団体が垣根を越えて参加しているという特徴があります。
また、会員から選任される理事には、特定の業界に偏らないように、金融業といった「提供サイド」や卸売業などの「利用サイド」、そのほか消費者団体、学識者など、立場の異なるメンバーで成り立っています。
キャッシュレス推進協議会の目的
キャッシュレス推進協議会の目的は、以下のとおりです。
- キャッシュレス化の普及
- 国外からの旅行者対策
- コスト削減と効率化
各項目を解説していきます。
キャッシュレス化の普及
キャッシュレス推進協議会は、支払い方法の改革を成功させるべく、産官学(産:企業、官:政府や地方公共団体など、学:大学など)の連携を円滑にするための中立的な推進役として存在しています。
キャッシュレス社会の実現には、事業者や消費者の理解と実行が必要です。キャッシュレス推進協議会は、キャッシュレスという目的に対する団体や企業、個人のギャップを埋める立ち位置になっています。
国外からの旅行者対策
キャッシュレス推進協議会は、日本のキャッシュレス社会を実現することで、インバウンド消費の拡大への貢献と日本経済の活性化を目指しています。
例えば、海外から来た旅行者は、日本でお買い物をするとき母国の通貨を日本円に両替する必要がありますが、クレジットカードであれば国際ブランドに対応する店舗であれば両替をせずに支払いが可能です。
キャッシュレス化により、両替の手間や多額の現金を持ち歩くリスクが軽減されるため、旅行者の購買意欲の向上に繋がる可能性があります。
コスト削減と効率化
キャッシュレス化をすることで、売上金を回収するサービスの頻度減少や集計、入金などの現金取り扱いに関する人件費を削減できます。
また、現金でのやり取りが不要なほか、レジを締める作業の工程短縮など関連作業の効率化も可能です。
人手不足が問題視されている日本においてキャッシュレス化は、現金を扱う業務に関する問題の解決・手助けになると考えられています。
キャッシュレス推進協議会の活動内容
キャッシュレス推進協議会では、発足から毎年度、複数のプロジェクトを組成して実施してきました。
ここでは、キャッシュレス推進協議会が公表している「2023年度組織・活動概要」のプロジェクトに焦点をあてて解説していきます。
▼2023年度のプロジェクト
(※1)WGはワークグループの略で、共通の問題に取り組んだり、共同で作業を行ったりする集団を指します。
各プロジェクトの概要を見ていきます。
ステアリング・コミッティ
ステアリング・コミッティでは、業界の方向性や運営方針を検討します。
キャッシュレス推進協議会ではキャッシュレスの普及に向けて、他国で行われている施策の国内での適用可能性と手法を検討し、「ロードマップ2024」の作成を予定しています。
また、「ラウンドテーブル2023」では、各業種の参加者で意見交換を行い、新たなプロジェクト組成等を含めた検討や行政機関などへの提言書の作成も行います。
利用促進WG
利用促進WGでは、キャッシュレスのさらなる利用を目指した施策を検討します。
キャッシュレス化には、一般消費者だけでなく、企業(法人)や行政および公的機関のサービスでの活用など、あらゆる場面での普及が必要です。
特に、企業(法人)の分野においては、中小企業・小規模事業者にキャッシュレスを中心に、デジタル技術の導入意欲を高め、デジタル化によって社会や生活スタイルを変えることを目指しています。
また、実店舗とオンラインサービスの支払い時の処理などの違いを明確にし、安全・安心なキャッシュレスのあり方を検討します。
制度・基盤WG
制度・基盤WGでは、協調領域の標準化や仕組み構築の検討をします。
近年は、チャージ等をして利用する電子決済サービスや、デジタル化したプレミアム商品券・ポイントなど、さまざまな地域通貨の発行が増加傾向です。
キャッシュレス推進協議会では「地域通貨に関するガイドライン」を策定し、考慮すべき点をまとめ、用語の定義を行うことで、地域通貨の発行を予定している地域団体に役立ててもらう狙いがあります。
キャッシュレス・ロードマップとは
キャッシュレス・ロードマップは、「2027年 日本全国、どこでも誰でもキャッシュレス」を目指して、キャッシュレス推進協議会がマッピングした、いわゆる計画書です。
ロードマップには、実現に向けた項目が設定されており、「キャッシュレス・ロードマップ2020」から2030 年の社会のライフスタイルを見据えた、7つの項目があります。
ロードマップに記載されている項目は以下のとおりです。
- 自分のライフスタイルにあったキャッシュレスツールが選択可能
- キャッシュレス対応の店舗等の方が多い
- キャッシュレスで支払うとお得
- 支払いという行為がシームレスになる
- 送金はデジタルで行われる
- データの利活用により生活の利便性が向上
- 生活行動シーンのシームレス化
ロードマップは、国内外の動向やプロジェクトの検討結果により改定されるため、公開済みの「キャッシュレス・ロードマップ2022」を参考に2つの項目を解説していきます。
なお、紹介できなかった項目や、過去の進捗状況はキャッシュレス推進協議会の公式サイトから閲覧可能です。
自分のライフスタイルにあったキャッシュレスツールが選択可能
この項目では、3つの施策が行われています。
- キャッシュレス教育の拡充(2027年度まで継続)
- キャッシュレスのユニバーサルデザイン化の進展(2022年度まで継続)
- JPQR・タッチ決済の普及(2021年度で完了)
キャッシュレス教育の拡充として、2022年4月より新しい指導要領に基づき、高校家庭科の授業で金融教育が扱われています。
背景としては、成年年齢の引き下げにより、18歳からクレジットカードを作れることや、資産形成の手段として資産運用をする若年層の増加など、より早期から金融教育の必要性が求められることが考えられます。
早期の金融教育により、若年層がキャッシュレスを含む金融リテラシーについて正しく理解することが期待されています。
また、消費者の誰もが安全・安心に利用できるキャッシュレス決済サービスの提供の進展については、キャッシュレスの普及率が右肩あがりのため、一定の成果をあげているといえるでしょう。
しかし、JPQR・タッチ決済は、コロナ渦でタッチ決済の普及率があがったものの、JPQRについては、認知度や手数料の問題など課題もあるため、普及が進んでいないようです。
キャッシュレスで支払うとお得
この項目では2つの施策が行われています。
- 利得性、利便性の見える化(2021年度で完了)
- キャッシュレス体験の拡充(2027年度まで継続)
同施策では、キャッシュレスで支払うことによる、利得性や利便性を可視化することで、消費者に認識させ理解を進めること目指していました。ポイント還元事業を認知している人が9割を超えていることなどから、一定の成果をあげたと考えられます。
今後も地域や企業、団体と協力して、キャッシュレス体験ができる体験会やキャンペーンを行い、キャッシュレスの利便性への理解を広げていく考えのようです。
キャッシュレス推進協議会はキャッシュレス社会の実現において重要な役割を担う
キャッシュレス推進協議会はキャッシュレス普及に向けて、個人や団体、企業間の関係性で生じるギャップを埋める立ち位置にある重要な組織です。
国内におけるキャッシュレス普及の取り組みは、インバウンドの消費拡大や業務におけるコスト削減・作業の効率化などさまざまな効果が期待できます。
キャッシュレス普及に向けた、ロードマップの策定や施策を行っているキャッシュレス推進協議会は、日本が目指すキャッシュレス社会の実現に欠かせない担い手といっても良いかもしれません。
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※この記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しております。
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