現代マーケターに必要なのは、歴史を大局的に見ること【花王廣澤氏×NHKエンタープライズ丸山氏対談】

MarkeZine / 2019年5月20日 9時0分

 花王のマーケター・廣澤祐氏が、業界のキーパーソンたちと対談する本連載。今回のゲストは、『ニッポンのジレンマ』や『人間ってナンだ?超AI入門』『ネコメンタリー猫も、杓子も。』『地球タクシー』、さらに『欲望の資本主義』『欲望の時代の哲学』など、異色の教養ドキュメントなどを手掛けるプロデューサー、NHKエンタープライズの丸山俊一氏を迎える。番組制作のプロデューサーとマーケターには、「社会のコンテクストを読む仕事という共通点があるのでは?」と考えた廣澤氏。テレビマンとして30年以上のキャリアを持つプロフェッショナルとの対談から、マーケティングへのヒントを探っていく。

■コンテンツもマーケティングも、啓蒙から共感の時代へ

廣澤:丸山さんがNHKへ入局された1980年代から現在まで、メディア環境には様々な変化が起こったと思います。まず、番組を制作する上で変わったと感じることを教えてください。
左:花王 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏
右:NHKエンタープライズ 制作本部 番組開発 エグゼクティブ・プロデューサー 丸山 俊一氏

丸山:「啓蒙から共感の時代」に移っていったのが大きな変化ですね。ネットがない時代、多くの情報を持つテレビ局がその組織内で情報を取捨選択し、ある種の答えを発信する番組の作り方には多少なりとも啓蒙的な要素があったと思うんです。言い換えれば、情報を咀嚼し整理して発信するような役割を持っていたとも言えるのかもしれません。しかし、特に2000年以降ネット環境が広がるにともない、メディアが一方的に「正解」を流布するかの如き図式は崩れ、皆さんと共感とともに問いを共有する形へと変化したように思います。

 私が開発した『欲望の資本主義』という番組は、ある意味、そのひとつの象徴かもしれません。「現代の資本主義はどこへいくのか。」正解など、誰も持っていませんよね。しかし、メディアとして問題の切り口を考え、様々な概念の再定義を試みながら、どんな問いを立てるかが大事だと考え、このような番組を企画しました。私自身、走りながら考え、不透明な現代への認識を多くの方と共有することを第一に、フラットなコンテンツ作りを心掛けてきました。

廣澤:「啓蒙から共感へ」という変化は、マーケティングの世界でも昨今よく言われることですね。広告に関しても、1つのクリエイティブやメッセージをマスに乗せることで世の中の認識をガラッと変えられる時代がありましたが、最近ではそれも難しくなったのではないかと感じます。その背景にあるのは、生活者が共感するコンテクストが細分化しているからだと感じるのですが、丸山さんはどのように考えていますか?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング