5Gが変革するビジネスモデル/通信事業者が新たなマーケティングプラットフォームに【お薦めの書籍】

MarkeZine / 2019年8月30日 7時0分

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『5Gビジネス』亀井 卓也(著)日本経済新聞出版社 860円(税抜)

 2020年の春に商用サービスが開始される5G(第5世代移動通信システム)。今回紹介する書籍では、5Gがもたらす最も大きなインパクトのひとつに「通信事業者のビジネスモデル変革」を挙げています。通信事業者が新たなマーケティングプラットフォームとして、各企業の顧客理解や顧客獲得を支援していく存在になるというのですが、一体どのような仕組みなのでしょうか。

■5Gの価値は、その活用可能性にある

 今回紹介する書籍『5Gビジネス』は、野村総合研究所で情報通信業界の経営管理や戦略立案を担うコンサルタントによる一冊。5G(第5世代移動通信システム)が私たちの生活やビジネスをどのように変えていくのか、技術的な背景とともに解説しています。
『5Gビジネス』亀井 卓也(著)日本経済新聞出版社 860円(税抜)

 著者が冒頭から強調しているのは「5Gの存在意義は通信インフラそのものにあるのではなく、その活用可能性にある」ということ。同書では、5Gの特性を自らのミッションに活かすためにマーケターが押さえておくべき知識を深めることができます。

 たとえば、5Gをきっかけに起こる、通信事業者のビジネスモデルの変化について。これまで通信事業者は、企業や消費者に通信サービスを提供し、その対価として通信料金を得る「B2X」のビジネスモデルを展開していましたが、これが「B2B2X」へと転換されることで、様々な企業のデジタルトランスフォーメーションに大きな影響をもたらすというものです。

■通信事業者が新たなマーケプラットフォームに

 5Gの登場を契機に、通信事業者とエンドユーザーの間に位置する企業(下図のセンターB事業者)が業務の効率化、高度化に着手していくことが予想されます。そこで通信事業者は、通信環境そのものだけでなく、各産業のデジタルトランスフォーメーションにつながる様々な価値(通信+α)を、企業に提供していくようになります。これが「B2Xから『B2B2X』へ」と呼ばれる変化です。
B2B2Xモデル(同書p.197 図5を基に作成)

 たとえば通信事業者はMaaS事業者に対して、自動運転を実現するための5Gサービスに加え、自社サービスのエンドユーザーから収集した属性、現在地といった情報を基に「移動に関する顕在・潜在需要」を解析し、提供していくことが想定されます。

 センターB事業者(先の例ではMaaS事業者)がエンドユーザーを深く理解するための+αの情報を提供することで、通信事業者はセンターB事業者の「マーケティングプラットフォーム」となっていく。著者はこのように考えています。

 この変革によりマーケターは、より深く顧客を理解するための手段を獲得することが可能になります。一方で、通信事業者と戦略的にパートナーシップを結んでいくためのアイデアや、それを成功させるための推進力も求められてくるのではないでしょうか。

 同書ではこの他にも、「認証とパーソナライズの革新」や「スコアリングの普及」といった5Gがもたらすインパクトについて解説しています。様々なマーケティング手法の実現が可能になったとき、それを導入するか、どのように使うのかを決断していくのは、企業であり、マーケターです。同書で5Gの全体像を掴み、判断の手がかりにしてみてはいかがでしょうか。

蓼沼 阿由子(編集部)[著]

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