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H3ロケット3号機 7月1日に打ち上げ延期「だいち4号」開発にかける鹿児島出身JAXA職員の思い

MBC南日本放送 / 2024年6月28日 20時17分

MBC

日本の新たな主力ロケットH3・3号機です。30日、種子島で打ち上げられる予定でしたが、天候不良で7月1日に延期になりました。種子島宇宙センターに坂元キャスターがいます。

H3ロケット3号機は、後ろに見える発射台から、30日打ち上げ予定でしたが、雷や強風が予想されるため、7月1日に延期となりました。

H3・3号機には、災害や火山活動を観測する衛星「だいち4号」が搭載されます。

「だいち4号」は、能登半島地震の被災状況の把握にも役立てられた「だいち2号」の後継機で、地殻変動などを数センチ単位の高い精度で観測できます。

だいち4号を載せたH3・3号機の新たな打ち上げ日時は、7月1日午後0時6分42秒から、午後0時19分34秒までの間です。

だいち4号の開発プロジェクトを率いるのが、JAXA=宇宙航空研究開発機構の鹿児島市出身の職員です。開発期間7年。衛星にかけた思いを取材しました。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「桜島の雄大な景色を見ると、帰って来たなとパワーがもらえる」

鹿児島市出身のJAXA職員、有川善久さん(46)。開発期間7年、開発費320億円にのぼる、だいち4号の開発プロジェクトで中核を担う、プロジェクトマネージャを務めています。

有川さんは鶴丸高校出身で、東京の大学を出て2002年、JAXAに就職。2019年に「だいち2号」の開発に携わり、2022年、今回の「だいち4号」のプロジェクトマネージャに就きました。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「これまでやったことがない、作ったことがないものを作ろうとしているので、トラブルがつきもの。チームのみんなとメーカーの技術力と一緒に協力して壁を乗り越えてきた」

小学生から野球に打ち込み、中学と大学でキャプテンも務めた有川さん。この経験が、今のプロジェクトマネージャの仕事に生きているといいます。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「中学の時はキャッチャーで盗塁を刺すときにガチガチでセカンドに届かなかった」「(大学では)セカンドに8割の力で投げるとショートが手を伸ばしてアウトにしてくれる、自分一人で頑張らなくて良いものだと大学の時に気がついた。そこから楽になった。キャプテンでも助けてもらって良いと思えたことが、今にいきている」

スポーツ少年だった有川さんがJAXAで人工衛星の開発を目指したきっかけ。それは、自然災害の多いふるさとでの経験でした。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「幼少期から目の前に桜島。夜中でも昼間でも爆発を経験した、高校生のときに8・6水害があって、西鹿児島駅(当時)が浸水して、そこを通って自宅に帰った。そうした災害に貢献したい、役に立つ人工衛星に携わりたいと思った」

今回、有川さんたちが開発した地球観測衛星「だいち4号」。運用から10年が経ち、すでに設計寿命の5年を超えた「だいち2号」の後継機です。

電波を照射して、跳ね返ってきた電波をもとに地表を映し出す仕組みで、夜間や悪天候でも数センチ単位の高い精度で地殻変動などを観測できます。

有川さんは「だいち2号」のシステム開発も手がけました。その「だいち2号」は今年1月に発生した能登半島地震でも被災地の状況を観測。地図上の青や茶色の部分は、地殻変動が起きたことを示しています。

しかし、だいち2号が一度に観測できる範囲の幅は50キロ。能登半島は東西およそ70キロあるため、すべてカバーするにはあと20キロ足りず、被害が大きかった珠洲市の一部が観測ができませんでした。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「どうしても(能登半島の)先端が撮れず、苦渋の選択だった。奥能登に孤立集落がでていて道路が寸断されていて、物資が運べないというニュースを見るたびに、初日にそこを観測できていたらという思いがあった」

今回、開発された「だいち4号」は、観測できるエリアが4倍の200キロに広がり、能登半島を一度にカバーできます。観測回数も、これまでの年4回程度から、2週間に1回程度に増えます。

活火山の多い九州でも広い範囲を効率的に観測でき、わずかな地殻変動などの把握につながることが期待されます。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「桜島だけでなく、大隅半島、薩摩半島、離島の活火山の様子を絶えず『だいち4号』が見守ってくれる」「1人でも多くの災害犠牲者を減らし、1人でも命を救うことが出来れば」

災害から命を守りたい。有川さんの願いが詰まった人工衛星は、鹿児島から宇宙へ飛び立とうとしています。

(だいち4号 有川善久プロジェクトマネージャ)「鹿児島というホームでの勝負。西郷さんのように最後はどしっと構えて、桜島のような雄大な気持ちで、気負うことなく出来ると思う。子どもたちに夢と元気を与えられる打ち上げ成功になると良い」

だいち4号を載せたH3ロケット3号機は、7月1日に打ち上げられます。以上、中継でした。

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