平成の大合併で“単独の道”選んだ街…ブリ養殖から始まる地域活性化 廃校買い取り新たな挑戦へ 鹿児島・垂水市
MBC南日本放送 / 2024年7月31日 19時12分
20年前に始まった平成の大合併で鹿児島はどう変わったのかお伝えするシリーズ「ふるさと新時代」です。今回は当時、合併をせず、単独の道を選んだ自治体の1つ、垂水市です。
現在の市の人口は1万2500人。人口は20年前から4割減りました。人口の減少が進む中、ブリの養殖や海外輸出を手がけ、年間300億円を売り上げる企業があります。ブリにとどまらず、地域を活性化しようと、新たなチャレンジを始めています。
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大隅半島の中央に位置する垂水市。錦江湾一帯には養殖いけすが並びます。
(記者)「桜島前に広がる牛根沖。いけすには養殖ブリが3000から4000匹いて、元気にえさを食べています」
垂水市では1950年代以降、ハマチ養殖発祥の地・香川県から技術を取り入れ、波が穏やかで安定した海水温を生かし、カンパチやブリの養殖が盛んに行われています。今では、カンパチの生産量は日本一。ブリは長島町に次いで国内2位です。
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垂水市でブリを養殖・販売する企業、グローバル・オーシャンワークスグループです。社長の増永勇治さんは指宿市生まれの55歳。鹿児島実業高校を卒業して地元の水産会社に就職したあと、40歳で会社を設立しました。
(GOWグループ 増永勇治社長)「日本の誇れる美味しいものを世界のテーブルに届けることを目標に掲げた」
およそ200のいけすで年間35万匹のブリを出荷し、1次産業の生産と2次産業の加工、3次産業の販売をかけあわせた6次産業化を実現。加工はすべて“人の手”にこだわっています。
2019年にはアメリカの水産卸商社を10数億円で買収。脂のりの良さが現地でも好まれ、今では日本食レストランやスーパーなど1500店に魚を卸しています。
創業15年でグループ全体の売り上げはおよそ300億円、営業利益は5億円に成長。立ち上げ当初、数人だった社員はおよそ300人に増え、地域の雇用創出にもつながっています。
(GOWグループ 増永勇治社長)「垂水だけではなく人口は減り続けているので、そこは何とかしていかないと。会社が発展することが、この街にとって何かしら一助になれば」
(埼玉出身の社員)「風通しいい、今緊張して静かだが。いつもフランクに話しやすい社員ばかり」
(鹿屋市出身の社員)「(水産業は)汚いとかきついとか、そういうイメージあると思うが、払拭できるようなパイオニアになって走っていければ」
垂水市内の道の駅に、グローバル・オーシャンワークスグループが経営するアンテナショップがあります。ブリの刺身や寿司が人気で、多い日で150万円売り上げることも。
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(地元客)「夫が好きなので刺身が。ここのが新鮮でおいしいと」
(宮崎の観光客)「(Q.垂水のブリどう?)おいしかった。脂がのっていた。(Q.味を覚えていて来店?)そうそう」
ブリは、垂水市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
(垂水市 尾脇雅弥市長)「(ふるさと納税は)最初は数千万から始まったが、温泉水でやカンパチ・ブリ、昨年は約14億円の寄附。これは新たな大きな財源で、いろんな意味で助かっている」
20年前、垂水市は当時の鹿屋市や輝北町、串良町、吾平町との合併を目指しましたが、財政問題などから断念しました。
当時、市の貯金にあたる一般会計の基金残高は8.7億円。市の借金にあたる地方債はそれを100億円以上上回る114億円に上っていました。この20年、人件費削減やふるさと納税の寄附金の増加などで、市の貯金と借金の差を10.4億円にまで圧縮しました。
一方で、一般会計の歳入のうち自主財源は38%にとどまり、国や県に依存した状態が続いています。
14年前に少子化に伴って閉校した牛根中学校です。増永さんはこの場所を市から買い取り、今、ある計画を進めています。
(GOWグループ 増永勇治社長)「人が集まる場所としてグランピングとか、公園を計画している」
宿泊施設やグラウンドゴルフ場のほか、地元のスタートアップ企業が酒の蒸留所をつくる計画を進めています。人口減少が続く中、交流人口の増加と地域の活性化につなげる狙いです。
(GOWグループ 増永勇治社長)「魅力ある産業や仕事にしていけば人が集まり、そこが広がっていけば街ができる。少しずつ今できることを仕事以外でもやっていく」
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社員のユニホームに刻まれている文字。「垂水から世界へ羽ばたいていきたい」という思いを込めた増永さん直筆の“GiantStep”です。
垂水の活性化を願う増永さんのチャレンジは、これからも続きます。
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