鹿児島県警情報漏えい、元巡査長に有罪判決 検察・弁護側の主張と地裁の判断ポイントは?
MBC南日本放送 / 2024年8月5日 20時2分
鹿児島県警の不祥事をめぐる問題で、捜査情報を漏らした罪に問われた元巡査長の藤井光樹被告(49)に対し、鹿児島地方裁判所は5日、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
(キャスター)
ここからは取材にあたった記者とお伝えします。5日の判決のポイントを教えてください。
(記者)
藤井被告は初公判で情報漏えいをしたことは認めています。「警察組織を正す目的もあった」と被告が主張していた中、判決ではどのような判断になったのか、みていきます。
1つ目のポイントが、藤井被告の動機です。公判で藤井被告は動機について「ウェブメディアの記者から新たな情報をもらい、県警での評価を高めたかった」また、「強制性交事件での警察の捜査に疑問を感じ、情報を漏らした」と述べていました。
これに対し、検察は「藤井被告は『県警が事件の証拠を隠滅した』と言うが、根拠が見当たらない」などと主張しました。
動機について、5日の判決では、「断片的な情報で捜査状況に疑問を持った」ケースもあり、「被告人自身の思い込みにより、県警への疑念や不満を募らせた側面が小さくない」と指摘しました。
判決では捜査への疑問は思い込みとの指摘もあったことに、藤井被告は次のように語りました。
(記者)「単なる思い込み?」
(藤井被告)「実際私としては分からない。そこまで真実に近づくことができなかったので、そこのところは裁判官の言った通り私の思い込みだったと考えている。ただ、事実は実際どこにあるのか、今私の立場で調べることはできない」
(キャスター)
今回の裁判は、藤井被告が守秘義務違反にあたるかも注目されましたね。
(記者)
公判で弁護側は「対価を得るために記者に情報を提供したわけではない」として、「守秘義務違反ではない」と主張。一方、検察は「個人の犯罪経歴や捜査情報を大量に漏らし、被害者のプライバシーを侵害した」として、違反にあたると主張しました。
これについて5日の判決では、「被告が捜査に疑問に感じていた事件は、漏えいした100以上の事件のうち1つにすぎない」と指摘。「情報の対価として金銭を得ていないが、限度がある」とし、検察側の主張を認めた形です。
(キャスター)
懲役1年・執行猶予3年を言い渡したわけですが、藤井被告はこの判決をどう受け止めているのでしょうか?
(記者)
藤井被告は裁判のあと、報道陣の取材に応じました。
(藤井被告)
「私が行った行為というのは私利私欲から走っている部分が大きい。私がこういう犯罪を犯し後悔していないことはない」
(記者)
お聞きいただいたように、藤井被告はカメラを前に、後悔と謝罪をしていました。
県警の情報漏えいを巡っては、国家公務員法違反で起訴され、「県警本部長が不祥事を隠蔽した」と主張する前の生活安全部長・本田被告も今後、公判を控えています。法廷で何が語られ、司法がどのような判断を示すのか、注目されます。
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