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8・6豪雨から31年「自宅周辺の災害リスク把握」4割…風化する記憶「災害への心構えを」 鹿児島

MBC南日本放送 / 2024年8月6日 19時43分

MBC

「8・6豪雨」から31年。川の浸水範囲を想定した地図=ハザードマップの充実など、豪雨災害から命を守るための情報は増えています。一方で、31年経って記憶の風化も進む中、専門家は災害への心構えがより一層重要と強調します。

8・6豪雨では、鹿児島市の中心部を流れる甲突川、稲荷川、新川が氾濫。およそ1万4000戸の家屋が浸水被害を受けました。

(有川律子さん)「すごい雨だった。ほんとにすごい雨だった。大変な雨」

鹿児島市草牟田で生花店を営む有川律子さん(73)です。あの日、店近くの自宅で夫と子ども2人と4人で夕食を食べようとしていた、午後6時ごろのことでした。

(有川律子さん)「ご飯を食べようとしていたら、床の上に水がきて、畳の上30センチぐらいまできた」

甲突川からあふれた水は店にも押し寄せ、テレビやファックス、商品の花が水に浸かりました。有川さん一家は2階に逃げ、無事でした。当時、甲突川の氾濫は想像していなかったといいます。

(有川律子さん)「甲突川で橋が流されたり、誰も想像してなかった。東北で大きな水害があったが、映像を見ると31年前の8・6豪雨そのもの。備えはしていた方がいい。異常気象だし、いつどこで何があるか分からない」

31年前のような、街なかの川の氾濫は近年も起きています。

鹿児島市の和田川は、2019年7月の大雨で氾濫。市の指定避難所にもなっていた川のそばの和田小学校にも水が流れ込みました。

これは、鹿児島県が作った「洪水浸水想定区域図」です。市町村が作る浸水被害の想定地図=ハザードマップのもとになるもので、色のついた部分が浸水のおそれがあることを示します。

当時、和田川のような比較的小さな河川は洪水浸水想定区域図をつくる対象になっておらず、ハザードマップでも空白地帯になっていました。

(県河川課 福永和久課長)「和田川から水があふれるとイメージしていた人がどの程度いたかというと、起こらないだろうと思っていた人もたくさんいたと思う。実は水害リスク情報の空白地帯で、全国各地で浸水被害が多数発生していた」

こうした空白地帯を解消するため、国は2021年、洪水浸水想定区域図をつくる対象を、主要な河川からそのほかの河川にも拡大。県内では主要な19河川だけが指定されていましたが、来年度までに県が管理する459河川すべてが指定される見込みです。

一方で…

(鹿児島大学 斎田倫範准教授)「今までよりも1段階も2段階も防災意識を高めるタイミング」

こう警鐘を鳴らすのは、河川災害について研究する鹿児島大学の斎田倫範准教授です。県民の豪雨災害への心構えがより重要になっていると強調します。

気象庁によりますと、県内で1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が観測された回数は、40年前の1980年代に比べ1.5倍に増えています。

(鹿児島大学 斎田倫範准教授)「河川整備は非常に時間のかかる事業で、川を改修するのにも20年や30年かかる。一方で気候変動で雨の降り方が変わってきて激しくなる。河川の整備と気候変動の進むスピードの兼ね合いで、災害に対する意識も変えていかないといけないところは非常に重要」

災害リスクや避難場所を確認できるのがハザードマップです。国の調査によりますと、「ハザードマップを見たことがある」と答えた人は全体のおよそ7割でしたが、「自宅周辺の災害リスクを把握している」と答えた人は4割弱にとどまりました。

斎田准教授は、実際に浸水したらどうなるか、日ごろから被害を自分でイメージしておくことが大切だといいます。

(鹿児島大学 斎田倫範准教授)「浸水が広がるということは、より川から離れた所まで水が広がり、移動するということなので、水の流れが生じる。流れが生じた状態で膝下ぐらいの水深だと歩くのが難しい。車でも安全に走行するのが難しくなる」

また、浸水は他の災害に比べ、命を守りやすい災害だと話します。

(鹿児島大学 斎田倫範准教授)「地震は寝静まってる時に家が倒壊して亡くなることはあり得るが、水害は事前の気象情報を踏まえて、しかるべき行動すれば多くの場合は少なくとも命は守れる」「大きな水害は鹿児島ではここ数年起こってないので、他の地域の水害を自分の問題として捉えて、想像力を高めていくことは重要」

8・6豪雨から31年。かつてのような災害が再び起こり得る中、できる備えは何か?今のうちに考えておくことが大切です。

※斎田倫範准教授の「斎」は旧字体

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