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MBC賞・山下賢太さん「ふるさと甑島を誇りに思える町に…」

MBC南日本放送 / 2024年10月3日 19時30分

MBC

今年のMBC賞・受賞者を紹介するシリーズです。最終回の3日は、「ふるさと・薩摩川内市甑島を誇りに思える島に」。県内28の離島の仲間と連携して、新たな島おこしに取り組む山下賢太さんです。

(山下賢太さん)「ひとつひとつしっかりと磨いて守っていく、あるいは掘り起こしたり、光の当て方を変えたりして、ここに豊かな世界があることを誇りに思えるような町にしていきたい」

薩摩川内市甑島・旧里村出身の山下賢太さん(38)です。

薩摩半島から西へおよそ30キロ。3つの島からなる甑島には、3600人あまりが暮らしています。

山下さんは2010年、勤め先の京都からUターン。少子高齢化が進むふるさとの地域づくりに取り組んでいます。2012年には「東シナ海の小さな島ブランド」を創業。

100年を超える古民家を改修した商店や港のターミナル跡地のカフェ、甑島の特産・きびなごを使った加工品の製造や、宿泊施設の運営などを手がけ、現在17の事業を展開しています。

事業の一つ、観光客や地元の人からも人気の「オソノベーカリー」です。10種類以上の焼きたてパンが並びます。店は、築160年にもなる武家屋敷をリノベーションし、2021年にオープンしました。

(熊本から)「落ち着く。(山下さんの運営する宿は)風が抜けるように作ってあり心地よい空間だった」

(甑島の住民)「新しく建物をつくるというより、あるものを生かすというのがすごくいいことだと思う」

店の空き時間には、イベントを開催したり、住民へ貸し出したりして、地域の人をつなぐ交流拠点にもなっています。

Uターンから14年。島で働くきっかけとなったのは、高校生の時に目にした変わるふるさとの姿でした。

(山下賢太さん)
「(幼少期は)漁師たちが破れた網を繕っていたり、隣で魚を奥さんたちが干していたり、夕方になったら子どもや孫の手を引っ張って木の下のベンチに集まってみんなで会話をするというような日常があった」
「暮らしの利便性や通りやすい道ができることももちろん大事だが、何かふるさとがなくなったような気がして、このままで本当にいいのかなと」

懐かしいふるさとの姿を未来に残したいー。
山下さんは京都の大学に進学し、地域デザインなどを学び、見識を広げてきました。

現在、14軒の空き家の管理を請け負う山下さん。人口減少が進むなか、島内の空き家は、7年前の市の調査では900戸ほどで、さらに増えていると見られます。

山下さんは、一見、再生が難しそうな空き家にも光を当て、その土地の文化や暮らしを尊重しながら次の世代につないでいこうとしています。

(山下賢太さん)「過疎の時代に、どうしてもないものに目が行ってしまいがちだが、自分たちの足元に何があるのかというところから未来を考えていきたい。島の宝物を預かっていると思えば解体することも大変だが、最後まで生かし続ける方法をはり一本でも考え続けたい」

山下さんの活動は甑島のみにとどまりません。鹿児島の離島と連携してイベントを開くなど、2019年には、県内28ある有人離島の仲間と「鹿児島離島文化経済圏」を設立。

離島の課題を価値に変えるため、新たな商品開発や人材育成などに取り組んでいます。さらに来年4月には、島でチャレンジする人たちを資金面で支援する県内初のコミュニティ財団「かごしま島嶼ファンド」を設立する予定です。

山下さんは、離島間のネットワークをさらに強め、島の未来をともに作ることを目指しています。

「島は未来あふれる場所」という山下さん。日常の景色を次の世代に残すために、島の可能性を探し続けます。

(山下賢太さん)「一度失われたものや未来に必要とされるものを、もう一度つくり直していくことで、次の世代の子どもたちや、これから生まれてくる子どもたちが、自分のふるさとはは世界なんだと誇れる場所なんだと暮らしていける方がいい。誇りに思える人が一人でも多く増えるような島でありたい」

第57回MBC賞の表彰式は、今月10日の午前11時から鹿児島市の城山ホテル鹿児島で行われます。

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