鹿児島市長選・争点 コロナで変化も…市民の生活支える公共交通のあり方は?
MBC南日本放送 / 2024年11月21日 19時50分
今度の日曜日、24日投開票の鹿児島市長選挙。届け出順に、新人で元鹿児島市議会議員の桂田美智子さん(71)と、現職で2期目を目指す下鶴隆央さん(44)の2人が立候補しています。
市長選の争点についてお伝えするシリーズ、今回は市バスや市電、桜島フェリーなど「公共交通」についてです。
通勤・通学や買い物など、市民の移動を支える公共交通。鹿児島市内では市バス・市電・桜島フェリー、民間バスなどが運行されています。利用者は年々減っています。特に路線バスは、コロナで外出を控えたり密を避けたりしたことで大幅に減少。
市バスの利用者は2019年に1000万人を超えていましたが、路線を民間に譲ったことやコロナの影響などで2020年以降、半減。昨年度は590万人あまりとなっています。
民間事業者では、運転手不足も重なり、減便や最終便を早めるなどの対応がとられています。
(吉野方面へ 60代)「大変。前は11時ぐらいまで最終便があった。いつも時間が気になる。バスの時間が早くなったので。(Q.タクシーだと自宅までどれぐらいかかる?)4000円ぐらいかかる」
現在は、午後8時台から9時台がほとんどです。
(吉野方面へ 高校1年生)「昔、深夜便があったと聞いたので、あったらいいなと思う」
(吉野方面へ 20代)「平日だけでも10時台があればいいと思う。(Q.仕事で残業などの時は?)遅くなる時は迎えに来てもらう」
(星ヶ峯方面へ 70代)「早い。運転手も高齢で若い人がいないし、仕方がない」
減便だけでなく、路線の廃止も相次いでいます。
(藤田秀郷さん)「ここがバス停だった、もう何もない」
200世帯が暮らす鹿児島市広木の森山団地。町内会会長の藤田秀郷さん、82歳です。
鹿児島駅行きの路線バスは、4年前に廃止されました。藤田さんは自家用車を運転しますが、団地の高齢者はバスの運行を望んでいるといいます。
(藤田秀郷さん)「バスの運行会社にもお願いしたが、営業的には無理だと。地方では乗合バスが走っているところもある。(バスを)走らせてもらえるとありがたい」
交通弱者を支援しようと、鹿児島市が運行しているのが「乗合タクシー」です。2011年から下福元町の錫山地域で導入され、現在は小野・伊敷や唐湊など11のエリアで運行。
自宅やバス停とスーパーや病院、駅などの間を結ぶもので、2時間前までに予約すれば4人まで乗れるタクシーが迎えに来てくれます。
運賃は片道1人150円。例えば、料金が2000円だった場合、利用者からの150円をひいた、残りの1850円は市が負担し、タクシー業者に支払う仕組みです。昨年度は、のべ7114人が利用しました。
11エリアの中で利用者が最も多いのが、喜入瀬々串地域です。週3日の運行で昨年度、のべ2152人が利用しました。
内木場睦男さん(84)は、スーパーへ行くために多いときは週3日、乗合タクシーを使っています。4年前に運転免許を返納した内木場さんにとって、大切な移動手段です。
Q.乗合タクシーがない場合の移動はどうする?
(内木場睦男さん)「普通のタクシーを利用するか、友達にお願いする」
自宅からスーパーまではおよそ6キロ。通常のタクシーなら2000円かかります。
(内木場睦男さん)「150円は考えられないような運賃で、自宅から目的地まで送り迎えしてくれることは非常にプラスになり、ありがたい」
事業費は導入した2011年度は44万円あまりでしたが、運行エリアが増え、昨年度はおよそ790万円と、市の財政面での負担は増えています。
昨年度の経常損益は市電は1億1000万円の黒字でしたが、市バスは5億円以上の赤字。桜島フェリーも1億8000万円あまりの赤字となっています。
専門家は、利便性の向上と財政面とのバランスを考え、「より効率的な運行方法」を探る必要があると話します。
(九州経済研究所 眞竹龍太部長)「少ない本数の中でいかに効率的に利用者の移動を増やすか。AIを利用して運行を考えていく、効率的な運行経路を考えていく。非常に重要なポイントになると思う」
持続可能な公共交通に向け、2人の候補者は・・・。
(桂田美智子候補(71)無・新)「人件費が安いところで、若い人が運転手になりたいとか(がない)、希望を持てない。公共交通の在り方は、渋滞解消も含めて総合的な対策が必要だと考えます」
(下鶴隆央候補(44)無・現(1))「就職奨励金の支給など、まずは運転手を確保する取り組みを強力に推進してまいります。乗降データを分析し、最適なルート、最適なダイヤを検討することで、市民のみなさまの移動の足をしっかりと確保してまいりたいと考えております」
人手不足や赤字経営など課題の多い公共交通。市民の暮らしを支えるために、地域の実情に応じた取り組みが求められます。
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