「非常ブレーキ」「追突防止装置」すべて動いたのに“なぜ”列車は止まらなかった?東海道新幹線「脱線事故」
MBSニュース / 2024年8月6日 13時30分
2024年7月22日午前3時半ごろ、東海道新幹線の豊橋~三河安城駅間でおきた、「保守用車両」の脱線事故。JR東海は事故原因は「車両のブレーキ力低下」と「ブレーキ力を確認する方法が正しくなかったこと」だと発表しました。
事故は、9両編成で砂利を積んだ「砕石運搬散布車」が時速約40kmで、前に止まっていた線路のゆがみを直したり突き固める「マルチプルタイタンパー」(以下、マルタイ)と呼ばれる保守用の車両に衝突したものです。当時、深夜の作業を終えたマルタイは、砕石運搬散布車両と合流して、一定の距離をあけながら走行し、一緒に車庫へ向かうため、衝突したポイント付近で待機していたといいます。
◆事故の原因は?
JR東海が事故原因を調査したところ、9両ある「砕石運搬散布車」のうち、少なくとも3両で”ブレーキの力が大きく低下した状態”で走行していたということです。
現場は、東海道新幹線では最大の20%の下り急こう配がある区間でした。下り始めてすぐ、運転士がブレーキをかけましたがそれでも加速。さらに運転士は「非常ブレーキ」をかけましたが、十分に減速ができず、直前で「追突防止装置」による非常ブレーキも作動しましたが、停止せず衝突したということです。
◆なぜ気づくことができなかった?
ブレーキ力が適正か確認する数値の”測定方法”が、正しくなかったことがわかりました。本来ならば、ブレーキに「最大圧力」をかけても適正な数値が出るか確認しなければいけないところを、60%ほどの力しか加えていなかったということです。また、JR側から、保守車両のメーカーに判定方法について確認が行われておらず、両者の認識が異なっていたといいます。
JR東海は「判定の基準値などをマニュアル等に明文化します」など今後の対策を公開し「ご利用のお客様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」としています。
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