1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

【無罪判決が出た理由は?】ドン・ファン元妻への判決を読みとく「完全に否定できない」「言い切れない」和歌山地裁は検察側の立証不十分と判断

MBSニュース / 2024年12月12日 18時5分

【無罪判決が出た理由は?】ドン・ファン元妻への判決を読みとく「完全に否定できない」「言い切れない」和歌山地裁は検察側の立証不十分と判断

『紀州のドン・ファン』事件。無罪判決となったポイントは「疑わしきは被告人の利益に」を貫いたという点に尽きる判決となりました。

裁判員を務めた20代男性会社員は会見で、「今回、直接的な証拠がないということもあり、有罪の目で証拠を見てしまうと有罪に見える。無罪の目で見ると無罪に見えてしまう。中立の立場で証拠だけをみて、感情を切り離して考えるようにしました」と話しました。

■判決の総合評価は

和歌山地裁(福島恵子裁判長)の判決は、総合評価として、「被告が野崎さんに致死量を超える覚醒剤を摂取させることは一応可能で、インターネットで覚醒剤を注文し、密売人から品物を受け取ったことや、死亡当日に、繰り返し2階と1階を行き来する普段と異なる行動を取っていることなどは、被告が殺害したのではないかと疑わせる事情ではあるが、被告が殺害したと推認するに足りない」としました。

具体的な項目については、以下のように判断しています。

【2階との行き来について】
判決では「死亡当日は、ヘルスケアアプリの記録から1時間に7回行き来した記録があり、ほかの日には見られない行動だが、野崎さんと無関係な理由で1階と2階を行き来していた可能性も否定はできない。」と判断しています。

【検索履歴について】
判決では、「被告は、『殺人罪時効』『殺人自白なし』などを検索しているが、単なる関心から検索することもあり得、殺害していなければあり得ない行動とは言えない。」と判断しました。

【品物は覚醒剤だったのか】
被告が対面で受け取った品物が覚醒剤かどうかについては、2人の証人が違うことを言っていて、一人は「売っていたのは氷砂糖だ」と述べ、もう一人は「覚醒剤だったと思う」と話しています。

これについて判決は、「氷砂糖と言った証人は、覚醒剤と言うと処罰される可能性があり、虚偽供述する理由がある」とわざわざ述べつつも、結論としては「覚醒剤だった可能性はあるものの、氷砂糖であった可能性も否定できない」とし、じゅうぶんな立証とは認めませんでした。

■判決は第三者による殺害可能性も否定

【自分で摂取した可能性】
こちらは「野崎さんと性的関係を持っていた証人が、「覚醒剤やってるで、へへへ」と電話で言われたとする証言。

判決では、「一様に冗談と決めつけることはできない」「何かのきっかけで関心を抱き、入手を依頼したことなどからそのような発言をした可能性を否定できるかには、疑問が残る」としました。

判決は、第三者による殺害の可能性も否定しました。

■検察官の主張が受け入れられなかったことは残念

直接証拠がない中、28人もの証人を請求し、スマートフォンアプリの解析の結果など状況証拠を積み重ねて立証を試みた検察側でしたが、地裁の判断は、「完全に否定することはできない」「可能性は否定できない」と立証は不十分と判断しました。

そして「野崎さんがはじめて覚醒剤を使用し、その際に誤って致死量を摂取して死亡した可能性もないとは言い切れない」とも述べました。

無罪判決を受けて、和歌山地検は、「長期間の審理に関わった裁判員の方々に敬意を表する。しかし検察官の主張が受け入れられなかったことは残念である。今後については判決文の内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントしました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください