森友文書で逆転判決 「文書の開示命じる」判決ではなく「不開示決定の取り消し」だった理由
MBSニュース / 2025年1月31日 9時30分
森友学園の関連文書の不開示をめぐる裁判は、大阪高裁が赤木雅子さんの訴えを認める逆転判決となりました。赤木さんの弁護士らは会見で、判決の理由や今後の行方を展望しました。
今回は、「不開示決定を取り消す」という判決。「開示を命じる」判決ではなかったのには理由がありました。
■「第二ラウンドに期待していきたい」
30日、逆転判決を受けて会見した坂本団(さかもと・まどか)弁護士は、「当たり前、当然の判決です」と述べ、阪口徳雄(さかぐち・とくお)弁護士は、「森友学園問題に関する第二ラウンドに期待していきたい」と述べました。
2018年に自殺した財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫さん(当時54)の妻、雅子さんは、夫がどのような指示系統で森友学園をめぐる決裁文書の改ざんを強いられたかを知るため、2021年に財務省や近畿財務局が、検察に任意で提出した文書などを開示するよう求めましたが、財務省側は、文書が存在するかどうかも明らかにしませんでした。
文書があるかないかを明らかにしない回答は、一定の条件下で認められています。
■あるかないか、明らかにしない主張
「文書がある」と回答したことで、特定個人の病歴が推定されて不利益が生じるなどの場合です。
国側はこうした考え方から、不開示情報としている「犯罪の内偵捜査に関する情報」が開示されるなどと主張。
おととし9月、大阪地裁は、「将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶ恐れがある」として訴えを退けていました。
いっぽう30日、大阪高裁は、「文書がいかなるものか明らかになったとしても、将来の同種事件だけでなく、犯罪一般の捜査に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない」として、一転、不開示決定を取り消すよう国に命じました。
■判断が分かれた1審と2審
大きく分かれた判断について坂本弁護士は、「高裁の判決はあまりにも当たり前。なぜ地裁の裁判官がむちゃくちゃな理屈にだまされたのだろう」といぶかしみ、「高裁は、情報公開制度について分かったうえでシンプルに判断した」としました。
しかし、今回は「開示を命じる」判決ではありませんでした。
■赤木さん側が取り下げていた
赤木さんは当初、「不開示命令を取り消せ」「開示を命じよ」を2本立てで訴えていましたが、2022年に自ら後者の主張を取り下げていました。
その際の説明で、弁護士らは、「(開示の)義務付けは、そもそもどんな文書があるか分からない。知っているのは国だけで裁判所も知らない」と、立証するハードルの高さや、結論までに時間がかかる点を懸念し、裁判進行を早くしたい意図で、取り下げたと説明していました。
■文書の開示は?国の選択肢は…
こうした状況の中、今後、文書は開示されるのでしょうか。国側の選択肢は…。
弁護士などによりますと、上告して最高裁に判断をゆだねるケースのほか、上告しない場合も、
1 別の理由をつけて、再度不開示を決定するケース
2 開示されるが全面的に黒塗りのケース
3 個人情報などは黒塗りになるものの、一定の文書が開示されるケースが考えられるといいます。
赤木雅子さんは、「国は上告せずに従ってほしい」と話し、弁護士は、「財務省がどういう文書を大阪地検、東京地検に提出したかが分かる。改ざん前後の文書が含まれていると思いますけど、俊夫さんがどういう思いでやったかも明らかになればいい。それが雅子さんの真実を明らかにしたいという思いに合う」と期待を寄せました。
■財務省「内容を精査した上で…」
財務省は、「職員がお亡くなりになったことについては、誠に残念なことであると考えており、改めて、深く哀悼の意を表します。」とし、「判決の内容を精査した上で、関係省庁とも協議し、今後の対応について検討してまいりたいと考えております。」とコメントしています。
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