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京都市が破綻危機で現場は?『動物園は寄付で節約』『文化財守る消防隊員も削減案』『子育て環境日本一じゃない』

MBSニュース / 2021年10月18日 12時35分

京都市の財政難が深刻な事態に陥っています。長年にわたって支出が収入を上回る状態が続いていて、今年度からの5年間で財源不足が2800億円に上ると試算されています。企業でいうところの「経営破綻」である「財政再生団体」へ転落する可能性もある中で、市が進める財政改革に市民からは困惑の声が相次いでいます。

京都市動物園のお昼時。サルたちはエサを与えられると次々と手に取り食べていきます。サルたちのごちそうはキャベツや白菜など給食で余った寄付の野菜でした。

そして人気者のカバ・ツグミちゃんが食べているのは豆腐店から特別に分けてもらった「おから」です。

大量のエサが必要なゾウたちには造園会社から寄付されたヤマモモの枝が与えられていました。

またゾウの近くに置かれてある冷風扇も寄付されたものだといいます。

(京都市動物園の飼育員)
「夏の暑い時などにつけています。冷風扇はうちの動物園にはなかったので寄付でいただきました」

京都市動物園では、年間のエサ代が6000万円ほどかかっていますが、去年の秋ごろからエサの寄付を呼び掛け、半年間で300万円ほど節約できたといいます。節約を迫られる動物たち。その訳は京都市の財政難にあります。

(京都市動物園 和田晴太郎副園長)
「京都市も財政難なもので、できるだけ努力していこうということで」

京都市の今年度の予算では、コロナ対策費や社会保障経費などで4905億円が支出されるのに対して、固定資産税や地方交付税などの収入は4669億円しかなく、236億円の赤字になっています。こうした赤字が京都市では30年以上前から続いています。

というのも京都市は、固定資産税がかからない神社仏閣が多いことに加えて、景観保護のために固定資産税が見込める高層マンションの建設は規制がかかっています。その上、学生が多く、住民税を収める割合も政令指定都市では最低となっています。

市は財源を確保するため、将来の借金返済への積み立て金「減債基金」を2005年度からすでに800億円ほどを切り崩していて、5年後にはこの基金も枯渇、破綻を意味する「財政再生団体」に転落する危機に直面しているのです。

そこで京都市は行財政改革を打ち出し、今年度からの5年間で1600億円を捻出する計画を進めています。

(京都市 門川大作市長)
「魅力あふれる京都を次の世代に引き継いでいかなければならない。そのために覚悟を決めた行財政改革が必要でございます」

財政改革の一つとされたのが、保育士らの給与にも直結する補助金のカットと、保育料の実質値上げでした。京都市北区にある「白い鳩保育園」で話を聞きました。この園内には現在の財政改革の問題点について掲示がしてありました。

(白い鳩保育園 竹内圭園長)
「保護者の方もそうですし保育士もそうなんですけれども、やっぱり黙ってられへんなっていう。文句ばっかり言っているんじゃなくて行動しようかということでこういうふうに。お金がなくなってくると、やっぱり人を減らさざるを得なかったり、あるいは正規職員で雇っていたのがパートとか非正規職員にせざるを得なくなってしまう」

京都市では、定員より多く児童を受け入れている保育園が多く、保育士の数が減ると運営は厳しくなるといいます。

(白い鳩保育園 竹内圭園長)
「過密でしんどくなったら中々この仕事に就こうかなという人がいなくなってくるんじゃないかなというふうに思うんですよ。子どもたちの命とか安全が守れなくなるというのをとっても危惧しているところなんです」

子育て世代から反発する声も上がっています。京都市は「子育て環境日本一」を掲げていますが、計画では保育料が最大で月1万円以上値上げになる可能性もあります。

(保護者)
「家庭によっては収入が減ったりとか仕事も少なくなってとかそういう声も聞こえているので、今かっていうのは率直に思いますね。もう日本一じゃないですよね。実感としてこっちは湧かないので」

2人の子どもを保育園に通わせている父親は…。

(保護者)
「結構家計のこともいろいろ考えながらやっている中で、なんでなんかなっていうのが。このままじゃ安心して京都市に住むっていうことも難しいというか、不安やなっていうのがすごく感じますね」

こうした「市民サービスの削減計画」は他にもあります。京都市では70歳以上であればバスや地下鉄に一部負担するだけで利用できますが、対象年齢や負担額が引き上げられる見通しです。さらに経費削減で今後5年間で消防職員を1割近く減らす計画が持ち上がっています。

(現役の消防隊員)
「ついに来たなという感じはしたんですけれども。市民の命と財産を守っていくために必要な人材なので、そこを削るというのはやはり問題があるかなと思っています」

京都市には文化財や木造住宅が密集する地域が多く、他の自治体と比べて消防職員が手厚く配置されています。職員が削減されれば、もしもの時に重大な影響が出ると指摘されています。

(現役の消防隊員)
「我々も訓練して少ない人数でも火事を消せるように努力しています。それもやはり限界があるのでね。人員がなくなると消防力というのは成り立たない。それは基本ですね」

様々なところで歪みが生じている京都市の行財政改革。一体どうすればうまくいくのか?専門家に話を聞きました。

(地方財政に詳しい立命館大学 森裕之教授)
「何を守っていくのかというのはそれぞれの立場があるから、行政の責任は重いと思うんですよ。きちんと議論してね、みんなが嫌だけれども納得できるような案というのをちゃんと考えていくことやと思います。収入と支出のバランスを図らないと本当に赤字になります。家計で言うたら破綻ということになります」

京都市が財政危機に陥る大きな原因になっているのが地下鉄です。バブル期に建設を続けた地下鉄東西線は、事業費が想定の倍以上に膨らんだ一方で、1日の利用客は当初見込んでいた数に一度も達していません。市はこれまでに約1000億円の借金をして穴埋めし、その返済に苦しんでいるのです。

市民の痛みを伴う計画に京都市の門川大作市長はこう言います。

(京都市 門川大作市長)
「今だけよかったらいいということではございません。それが将来にわたって維持できるように、それは負担とサービスのバランスというところも皆さんで考えて実行していきたい。丁寧な説明に徹していきたいと思っています」

財政の健全化と住民たちが納得するサービスを提供していくことはできないのか?行政側の適切な説明が求めらています。

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