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『こんなひどいことを県がするとは』80年間あった憩いの場が突然激変...説明なしの"樹木伐採" 県は「工事ではなく維持管理だから説明義務ない」

MBSニュース / 2022年6月28日 13時6分

 徳島市内を流れる「多々羅川」。この川の堤防には木々が生い茂り、季節によってさまざまな渡り鳥が訪れていました。そんな自然豊かな堤防の木々が、ある日突然、何の説明もなく伐採されてしまったのです。急に景色が一変してしまい地域住民は怒りの声をあげています。

自然豊かな堤防が一変…木々が突然伐採されて丸裸に

 今年4月に毎日放送の取材班宛てに届いた徳島市内の男性からの手紙。

 【徳島市内の男性からの手紙】
 「いつも目にしていた景色がいつの間にか一変してしまうということが起こり、私の心の中にも納得できない気持ちが湧いてきたのです。周辺住民への説明がないままの一方的な事業の進行というものは、今に始まったものではない」

 徳島市内で一体、何が起きているのか。取材班はその現場に向かいました。徳島市三軒屋町に住む三軒家団地・自治会長の岩朝義則さん(76)が案内してくれました。

 (地域の自治会長 岩朝義則さん)
 「ここの土手とこっち側の土手なんです。ずっと切り株が残っとる。ただこれ土手の真ん中にもたくさん木があった」

 土手付近をみると確かに複数の切り株が確認できました。

 この地域には吉野川水系の河川・多々羅川が流れています。多々羅川には北側を流れる別の川とを分断する長さ1kmほどの堤防があります。この堤防を巡って地域住民らが憤っているというのです。

 (地域の自治会長 岩朝義則さん)
 「ここに春が来たらウグイスが鳴くし、ほかの鳥もいっぱい来るでしょう。ここにはカワセミもおったんよ。ウグイスが鳴かないのが寂しい。楽しみにしていたのが今年はないから寂しい…とか言っていた」

 以前の多々羅川の映像。堤防には自生した木々が生い茂っていたのがわかります。

 岩朝さんによると、多々羅川はかつてウグイスやカワセミ、渡り鳥が飛来するなど自然豊かな場所でした。長年人の手が入らず、地域住民らにとって憩いの場にもなっていたといいます。

 しかし去年12月、自生していた樹木が突然伐採され始めたというのです。高さ15mほどあった木々は根元から切り倒されて堤防は丸裸になりました。木々が生い茂っていたころと現在の様子を映像で見比べてみると、根こそぎ伐採されたことがわかります。

県は「工事ではなく維持管理のため事前説明する義務はない」と主張

 なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

 (地域の自治会長 岩朝義則さん)
 「そこに看板を立てて、いきなりガサーっと切り出した。事前説明も全然ないわけ」

 岩朝さんによると、ある日突然、前触れもなくショベルカーがやってきたといいます。

 住民らが川を管理する徳島県に問い合わせると、次のように話したといいます。

 (地域の自治会長 岩朝義則さん)
 「このごろ河川の氾濫が多いでしょう。線状降水帯とか全国的に問題になっている。本来なら整備せなあかんのを(県は)80年間か、放ってあった。ほんで今回初めてこれではいかんということで整備させてもらったと」

 住民らによると、多々羅川の堤防に自生していた樹木は県が80年間に渡って放置していたもので、大雨や台風などで樹木が倒れると堤防を損壊する恐れがあるというのです。“災害の恐れ”ということには理解しつつも「事前の説明や協議は出来なかったのか」と不信感を募らせています。

 (地域の自治会長 岩朝義則さん)
 「『これは整備やから住民に説明する必要はないんだ』というのが県の理屈。一旦工事を中止して話し合いをせんか、と言ったんだけれども、県は『これは工事ではない』と」

 住民らが再三申し入れた結果、県はようやく住民説明会を開きましたが、「伐採は“工事”ではなく雑草抜きと同じ“維持管理”であって事前説明する義務はない」と主張したといいます。

 別の住民らに伐採について話を聞くと次のように話しました。

 (地域住民)
 「風ですよね。(家に)風が直撃するようになって。風が強いときはピューという感じで、花壇の花までピャーって倒れるような感じやし。玄関のガラスがすごく汚れるようになりました」
 「今コロナでどこも行けないからね、癒されていたんですよ。それを伐採されたからすごく腹立っているんです。ここはシラサギ・アオサギ・カワセミ・ウグイス・メジロ…たくさんいるんです。今はみんな伐採されてね、おるのはカメだけですよ。こんなひどいことを県や行政がするとは私は思っていなかったです」

 住民らにとって多々羅川の堤防に自生していた樹木は、防風林の役割や80年間もそこにあった生活の一部だったようです。

樹木を80年間も放置していた理由は?

 『緊急河川維持業務』として始まった樹木の伐採。住民らの訴えに対して徳島県の東部県土整備局・東恭一次長は次のような見解を示しました。

 (徳島県・東部県土整備局 東恭一次長)
 「防風林であったり鳥とか景観、地元の人にとってみたらいわゆる癒しの空間だったというふうな声も聞いています。本来は木が大きくなる前に切っておかないといけないと思うんです。なにぶん県も管理する河川数が多いですし、細かいところまでは全て行き渡っていなかったという状況で」

 県によると、年に数回は堤防の安全性を確認する必要があったということで、今回は安全性を確認する上で生い茂った樹木を伐採したといいます。

 そして80年間も放置していたことについては次のように話しました。

 (徳島県・東部県土整備局 東恭一次長)
 「(Q思い出したように急に伐採するのはどうなのか?)思い出したようにって言われると耳が痛いですけど、今まで維持管理ができていなかったというところは十分反省すべきところなんですけど。今回、国の予算も活用してやれることになりましたので。(Q80年くらい放置されたのは主に予算の問題なのか?)そうですね。予算はもちろんだと思うんですけど、地元からの要望もおそらく大きな声はなかったんじゃないかなとは想像できますけど」

専門家は「しっかりとした根拠を持って説明しないといけなかった」

 地元から要望がないのであれば、なおさら伐採する際には事前に説明する必要があるようにも思いますが、今回の行政側の対応について、環境法に詳しい近畿大学の林晃大教授に話を聞きました。

 (近畿大学 林晃大教授)
 「80年間もそこに樹木があったのであれば、それは生活の一部になっているということは当然考えられますので。法律上は特に説明が必要ないとされていたとしても、やはりそこは事前にある程度説得力を持って『なぜ樹木を切り倒さないといけないのか』というところを、しっかりとした根拠を持って徳島県としては説明しないといけなかったのかなと思います」

 80年間も放置した結果、住民らの憩いの場になった堤防の樹木。安全対策なのであれば住民らに丁寧に説明した上で伐採すればよかったのではないでしょうか。

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