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災害ボランティア初参加の大学生「分別や整理整頓の作業では女性も役に立てた」 津波で甚大な被害...いまだ断水が続く石川・珠洲市の現状【能登半島地震】

MBSニュース / 2024年2月13日 13時11分

 能登半島地震の発生からまもなく1か月半となります。甚大な被害を受けた石川県珠洲市では、2月9日午後2時時点で避難者が1359人、そして断水が市のほぼ全域で続いています。被災地の現状や災害ボランティアの今を取材しました。

「持っていた船は流された。漁師はもう廃業です」

 (山中真アナウンサーリポート)「能登半島先端の東側までやってきました。今は穏やかな海ですが、地震のあとに津波があったエリアだということです」

 地元の漁師だという男性に話を聞きました。

 (地元の漁師)「(Qこの辺りに津波が?)そうですね。地震だけではここまでにならん。津波でバンっとのぼって返されて砂だらけ。(Q地面の砂は海の砂?)海の砂です」

 道路に残された大量の海の砂。地震当日、約5mもの津波がこの辺りを襲ったといい、この男性も大きな被害を受けました。

 (地元の漁師)「自宅は半壊みたいな感じだけど津波が入っているからもう住めないですね。船を2艘持ってたんですけど、2艘とも流された。(Qお仕事もしばらくは?)もう廃業です、漁師はもう廃業です。70歳近くなるし、今から船買ってという馬力もないし、道具も全部津波に持っていかれた」

 地震で押し寄せた津波は石川県の天然記念物に指定されている見附島にも。船が浮かんでるような姿から「軍艦島」と呼ばれ愛されてきましたが、現在は大きく崩れてしまい“能登のシンボル”は以前の半分ほどの大きさになってしまいました。

 珠洲市の中心部はどうなっているのでしょうか。

 (山中アナリポート)「道路側に倒れた建物、そして電柱なども倒れたまま残されています。道路を見てもかなり多くの場所でこうしてダメージを負っていますが、マンホールだけが隆起している様子も見られます」

 1か月半ほどが経っても街の復旧が進まず、いまだ断水状態も続く珠洲市。その影響は人以外にも及んでいます。

牧場も打撃 断水の影響で生乳を出荷できず

 珠洲市の山間部にある松田牧場を訪れました。こちらでは乳牛や和牛など約130頭が飼育されています。

 (松田牧場 松田徹郎代表取締役)「(Q地震でどんな影響が?)断水状態が続いていますので、牛の飲み水の確保が難しかったり、機械を洗浄するためにキレイな水がどうしても必要で、それがないのでいまは生乳の出荷ができていない状態です」

 牛たちの飲み水は山の湧き水で何とか対応しているといいますが、きれいな水がないため衛生基準をクリアできず、搾乳しても捨てざるを得ない状況だといいます。

 また、こちらの牧場では4棟ある牛舎のうち1棟が地震で大きく傾くなどの被害も受けました。

 (松田牧場 松田徹郎代表取締役)「仮に牛舎を新しく建て直すとすれば7000~8000万円。その他もろもろで被害額は1億円は超えるんじゃないかと思っています。いっぱいいっぱいだと目の前のことしか見えなくなっていて、なかなか先まで見通せない状態です」

小学校のグラウンドに「仮設住宅」が完成 入居が始まる

 いまだ各地で地震の影響が根強く残る中、復興への兆しが見られる場所もあります。

 (山中アナリポート)「現在も100人近くの方が避難を続けている正院小学校へ来ました。そのグラウンドに完成したのが仮設住宅です。40戸が用意されました」

 珠洲市では2月9日、仮設住宅への入居が始まりました。

 (入居者)「広いわ。避難所でほかの人と一緒だと隣の人の話も聞こえてくるので、良かった」

 仮設住宅は2DKと4LDKの2つのタイプがあり、部屋には風呂・トイレ・エアコンが完備。敷地内には給水タンクと浄化槽が設置され水も使用でき、40世帯102人の入居が予定されています。

 しかし、これでは数が足りず、珠洲市ではこのほかにも456戸の仮設住宅の建設を進めていて、3月末までに順次完成予定です。

ボランティアは金沢市で集まり珠洲市へ 廃材やブロック塀を撤去

 そんな珠洲市ではボランティアの活動も本格化しています。早朝の金沢駅に集まった災害ボランティア。取材した日、珠洲市には12人のボランティアが派遣されました。そのうちの1人、大阪から参加した小林靖志さんは、今回が初めてのボランティアだといいます。

 (小林靖志さん)「大阪から3月に移住してくるんですけど、これからお世話になる石川県なのでお役に立てればと思っています。これはキャンプ道具なんですけど、小さいくぎが出てたりするのを外したりすると、けがも少なくなったりするのかなと」

 ボランティア場所となる珠洲市へは金沢からバスで約4時間かけて向かいます。午前10時45分、珠洲市災害ボランティアセンターに到着。到着後すぐに作業内容を確認し、ボランティア自らが軽トラを運転して依頼場所へ。

 依頼者は住宅に1人で住む年配の女性でした。重いものを運ぶことができないため、今回ボランティアを依頼。家の中には至るところで壁などが剥がれていて、その撤去作業が行われました。

 (ボランティア)「(Q今はどんな作業を?)落ちたボードの後にくぎが出ちゃっているんですね。お母さんが高齢なので、そこに手をついたときに切ったら危ないので、手の届く範囲は除去しておこうという処置ですね」

 2階の部屋では換気扇が今にも落ちそうな状態に。換気扇を取り外し、開いた穴は先ほど剥がした壁の廃材を有効活用して応急処置を施します。

 (ボランティア)「換気扇を外したんですが、それはどうされますか?」
 (依頼者)「それもいらない」

 ここでの作業は約2時間ほどで終了。

 (依頼者)「たくさんの人で助かった。デカいのが気になっていて。重たくて、持ってみたら私の力じゃ運ばれへんかって」

 運び出した廃材はボランティア員が車で15分ほどの場所にある仮置き場へと自ら持っていきます。

 仮置き場には冷蔵庫や畳など地震によって不要になってしまったものが山のように積まれていました。

「力が必要なイメージがあったが…分別や整理整頓では女性でも役に立てた」

 午後から行われたのは崩れたブロック塀などの撤去作業。時間が経過するごとにボランティア同士の連携も深まり、作業開始から約4時間、この日のボランティア活動が終わりました。

 (茨城から初参加した大学生)「特に男性の力が必要だというイメージが強くて、私も来るまでは逆に足を引っ張ってしまうんじゃないかと思うことも多かったんですが、分別だったり整理整頓したりする作業が多いので、そういう面ではむしろ女性でも役に立てることもありました」

 (大阪から初参加した小林靖志さん)「普段住んでいた方がいらっしゃるところなんだと胸が痛かったですね。これからの生活のことを考えていけるきっかけにボランティアがなればいいんじゃないかと思いました」

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