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職場まで飛行機で2時間...都内で働きながら鳥取でのびのび子育てする家の秘密 屋根は全て半透明「山陰の冬の曇天」めいっぱい採りこむ【家の数だけある家族のカタチ 住人十色】

MBSニュース / 2024年3月19日 16時50分

 鳥取県に、屋根をなんと半透明にし、さらに「屋内庭」をつくった家がある。これにより山陰地方の冬特有のどんよりした気候を克服した、というのだ。

 住人(アルジ)は、鳥取出身の夫と高知出身の妻。幼い子どもが2人いる。東京から居を移し、去年、夫の実家のそばに新居を構えた。
 家はシルバーのガルバリウム鋼板で覆われ、1階は開口部がなく閉じた印象。が、中に入ると一転、玄関から土間が続き、奥に吹き抜けの明るい大空間がある。明るさの秘密は、半透明の屋根。奥行き11.5メートル、幅4メートルの屋根そのものが半透明で、屋内に光を通しているため、明るいのだ。屋根の素材は、FRPという軽量で丈夫な繊維強化プラスチック。しかしなぜ天窓ではなく、屋根全体を半透明にしたのか…?

 東京の賃貸マンションで暮らしていた住人(アルジ)夫妻。子どもが生まれたのを機に、田舎でのびのび子育てをしたいと移住を決めた。
 夫は都内で飲食店を営んでいるため、仕事を続けたまま移住することに。飛行機を使えば2時間で東京の店に到着するという。しかし、そんな移住の前に立ちはだかった問題が、鳥取の厳しい気候。鳥取は雨の日数が山陽地方に比べて約2倍もあり、逆に日照時間は短く、特に冬場はどんよりとした空が毎日のように続く。そこで思いついたのが、新居の屋根を全て半透明にすること! 人の視線が入らないよう家の周囲は閉じたうえで、光を目いっぱい採り込めるようにした。

 実はこの家は、屋根が半透明の大きな箱の中に居住スペースを収めた小さな箱が2つ入っている、という構造になっている。居住スペース以外は土間にして、「屋内庭」として活用している。大胆にも、1階の約半分が屋内庭のスペース。このおかげで、子ども達は天候を気にせず遊べて、コストも大幅にカットすることができたという。

 1階には断熱と床暖房を完備した8帖のダイニングキッチンと4.5帖のリビングがある。小さな箱の中にだけ暖房設備をつけたことで、コストが半分以下に。スペースが小さな分、光熱費も抑えられている。コンパクトな空間なので、配膳や片付けも楽にできて、屋内庭で子どもが遊んでいても目が届くので安心だとか。

 屋内庭には暖房設備がないため、冬場は暖かい居住スペースの中で過ごして、春から秋はスペースを仕切るアルミサッシを全開にすれば広さが倍近くに。気候に応じて、屋内庭が部屋へと変身する。

 リビングとダイニングキッチンの箱の向かいにあるのは、洗面所と浴室を収めた箱。半透明の屋根から差し込む光が届くように、浴室の天井はポリカーボネートにした。妻は「明かりがたくさん入って気持ちいい」と満足しているが、せっかく風呂で温まっても部屋に行くには冷たい屋内庭を通らなくてはならず、寒い思いをするのが難点だという。

 2階には寝室とクローゼットを収めた箱があり、屋内庭を2カ所設けた。夫の楽しみが、西側の屋内庭に設置した大開口から空を眺めること。ここからきれいな夕日が見えるというが、実際には曇っている日が多く、だからこそ見えたときがより愛おしいとか。

 家の前には土地購入の決め手となった広い公園もあるが、「家の中にいることが多い」と妻。子ども達も公園より屋内庭の方が好きで、のびのびと過ごしているという。 

 鳥取ならではの、どんよりとした暗く長い冬を乗り越えるための工夫を詰め込んだ家。天井越しに四季の移ろいを感じながら、鳥取の大空の下で子どもたちものびのびと育ってゆく。(MBS「住人十色」2024年3月23日放送より TVerでも放送後1週間配信中)

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