1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

空き家の理由1位は『物置として必要だから』それはつまり、親の思い出の品が整理できないことでもある 過去最多900万戸のワケをひもとく【MBSニュース解説】

MBSニュース / 2024年5月10日 15時12分

総務省によりますと、空き家の数は、過去最多の900万戸。特に問題となっているのが「放置空き家」で約385万戸あります。今はまだ空き家ではないけれど、現在親が住んでいる家を将来どうしよう、と考えている人もいることでしょう。

◆倒壊、治安悪化の『外部不経済』

空き家に関連して、「外部不経済」という言葉があります。古くなった家が倒壊して隣家に被害が出る、ネズミや害虫で被害が出る、放火・治安悪化・不法投棄などがあって結果的に地域の地価が下がるなど、周辺に影響を及ぼすというものです。

もちろん一戸建てだけでなく、集合住宅やマンションの空き家問題も同じです。空き部屋が増えると、管理費や修繕費は残っている人だけで賄わないといけない、やはり外部不経済と言われています。

◆空き家になる理由“思い出の品、整理ができない”

空き家実態調査からは興味深い結果が出ています。空き家にしている理由で、最も多いのは「物置として必要だから」というもの。

物置と言っていますが、物は例えば、“親や家族の思い出の品”、その整理ができないということも含まれるそうです。例えば実家を片づけに行っても、やり切れずそのままにして戻る、といったことのようです。

他の理由として、「(家は)継いだけど(別のところに住むなどで)必要はない」とそのままにするケースや、「相続する関係者で意見が割れ」、そのままにするケースがあるということです。

◆解体して更地にしないのは?背景に固定資産税か

空き家が廃墟化する前に、更地にしないのはなぜでしょうか。家を解体して更地にすると、固定資産税が約4倍多くかかるというのです。

逆に言うと、家を建てて住むことについての減税があり、固定資産税を6分の1に減額します、という制度があり、住宅が放置される背景にあるかもしれません。

ただ、空き家の増加を防ごうと制度は新しくなっています。「特定空き家=放置すると倒壊などのおそれのある空き家」については、すでに減税などの優遇はなくなっています。

さらに今年から、特定空き家ほどではないが、窓や壁が破損するなど管理不十分な状態を「管理不全空き家」と定め、やはり減税・優遇をなくすという制度を始めました。

◆日本人の「新築信仰」は背景にあるか

もう一つ、ヨーロッパ等と違い、日本らしい理由として、日本人の「新築信仰と新築優遇」があると指摘する人もいます。

令和5年住宅・土地統計調査によりますと、住宅総数6502万戸のうち、空き家は900万戸あり、いっぽう新築は261万戸できています。海外と比べ、木造住宅であることや、地震が多く耐震基準…という背景もあるかもしれません。

また国としても、新築住宅に対する税の減額措置があります。固定資産税は戸建てなら3年、マンションなら5年、1/2に減額される制度などもあります。

空き家対策はどうしていけばいいのでしょうか。たとえば、譲りたい人と、空き家が欲しい人を全国的にマッチングさせる「0円物件」ビジネスなどが始まっています。マッチングはこれまで自治体単位では行われていましたが、全国規模に拡大されています。

もう一つ、本人や家族の意思確認や整理整頓を早めに行うということも必要ではないでしょうか。昔は不動産を相続すると「資産」と思われていますが、いまは「負債」となる可能性もあります、しっかり準備や話し合いをするのはいかがでしょうか。(MBS「よんチャンTV」2024年5月7日より)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください