【日本版DBSまとめ】性犯罪歴の照会が義務化される施設は?認定制なのは?どんな人がデータベースに?豊田真由子さん「性犯罪を犯したけれど漏れる人いる。これで安心しちゃわないで我々は自衛を」
MBSニュース / 2024年5月23日 11時41分
子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを確認する制度を創設する子ども性暴力防止法案、いわゆる『日本版DBS制度』の議論が進んでいます。義務化される施設もあれば、認定制の施設もあります。またデータベースに載るのはどういった人が対象なのか。情報をまとめた上で、元衆議院議員・豊田真由子さんや、アメリカ出身のREINAさんにも話を聞きました。◎豊田真由子:元厚労省官僚、元衆議院議員、東京大学法学部卒業、厚労省在職中にハーバード大学に留学、2009年にWHOで新型インフルエンザのパンデミックに対処◎REINA:アメリカ出身のタレント、ハーバード大学大学院修了、CIA・FBIに内定、ビル・クリントンの事務所で勤務
議論が進む日本版DBS法案
日本版DBS制度を創設する法案では、学校や保育所に対して、子どもと接する仕事に就く人について性犯罪歴を確認するよう義務付け、前科があった場合には、直接子どもと関わる業務を担当させないことなどが盛り込まれています。一方で野党側からは性犯罪歴の確認について、ストーカーや下着の窃盗などが対象となっていないと懸念の声が上がり、それらも対象とすることを検討するよう附帯決議に盛り込まれました。法案は衆議院の委員会で全会一致の賛成で可決。5月23日の本会議で採決が行われ、衆議院を通過する予定です。
どこが義務化?どこは認定制?
子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを確認する制度。その中には義務化と認定制があります。
小学校・中学校・高校、幼稚園や保育所などは義務化で必ず行います。
そして学習塾や学童、スイミングクラブなどは認定制となります。スイミングクラブについては、最近は学校がプールの授業をスイミングクラブに委託するということも増えていますので、そういった観点からもこれが認定制に入っています。国の認定を受ければ、広告表示が可能になります。うちの事業はしっかりと認定を受けていますよ、ということを広告に書くことができます。
対象になる人は?期間や範囲は?
性犯罪歴の照会については、こども家庭庁を通じて、法務省に照会を行います。性犯罪歴の照会を事業者側が行うことができます。そして、前科があった場合、雇用主側は安全確保措置を取らなければなりません。この安全確保措置というものが、例えば内定を取り消しにするだとか、退職してもらう、もしくは直接子どもと接しない仕事を担当してもらう、などになります。
日本版DBSの対象は新規の求職者や現職者です。この方たちについて性犯罪歴の照会をすることができます。照会の期間は、禁錮以上の刑を受けていた場合は刑の終了後20年、罰金以下の場合は刑の終了後10年となっています。対象範囲は、性犯罪の前科の有無、そして痴漢や盗撮などの条例違反があったかどうか、これらを照会できるということです。
REINAさん「アメリカでは性犯罪者は社会から疎外する強いポリシー」
アメリカ出身のREINAさんは次のように話します。
(REINAさん)「アメリカはすごく極端に、特に子どもに対する性犯罪者だったりとか性犯罪者全般的に、社会から疎外するというようなすごく強いポリシーをとっている国なので。州にもちょっとよるんですけど、データベース化されて、1回でも性犯罪を犯してしまった人はデータベースに登録されて、写真・目の色・髪の色・職歴・学歴、全てがオープンになった状態になっている」
豊田真由子さん「有罪確定以外は対象外。我々は自衛を」
そして日本版DBSの現状について、元衆議院議員・豊田真由子さんは次のように話します。
(豊田真由子さん)「子どもを守るという意味ですごく大きな一歩だと思うんですけれども、前科ということで、性犯罪を犯して有罪が確定した人だけが対象なんですね。そうすると、実際に性犯罪を犯したけれどもこの対象から漏れる人が結構いる。というのは結構多いのは示談にして不起訴になったとか、あるいは被害者の側が公にしたくないとか氏名を犯人に知られたくないということで被害届を出さないケースが結構あって。そうすると有罪確定に行くまでの間のこの辺の人たちは全部対象にならない。ただ推定無罪も働くので、私はこの制度自体はそれでいいと思うんです。ただ一方で、子どもも親もこれで安心しちゃわないで、我々は自衛を。やっぱり子どもを1人にしないとか、小さいときからこういうことが起こるから気を付けてっていうふうに教えるということで、みんなが気をつけることが引き続き必要。アメリカは排除していくんですけれども、やっぱりローンウルフ(一匹狼)というように、排除されていくだけだと犯罪者が犯罪を犯すリスクが変わらなくなってしまう可能性もあるので、人口の一定数以上はそういう性的嗜好を持ってる人がいるって現実に対して、医療とか福祉に繋げて、一線を越えさせない、犯罪者から犯罪を生み出さないっていうことも目を向けていかないと。子どもを守るために両方からアプローチが必要かなと思います。塾とかも基本的には義務化されていないというのもあるし、犯罪を犯してもデータベースに載らない人もいるとか、我々が気をつける必要性は変わりがない」
日本版DBSは衆院本会議で可決された後、参院へ送られる予定です。
(2024年5月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
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