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【星野源さん】騒動を完全否定...SNS投稿の法的責任は?弁護士解説「ポイントは同定可能性」拡散した人たちは?「単純リポストとコメント付きリポスト...危険性が高いのは単純リポストの方」

MBSニュース / 2024年5月30日 12時44分

 有名インフルエンサーによる『男性歌手が不倫』という投稿が騒動になり、誹謗中傷を受けた星野源さん新垣結衣さんがラジオの生放送で騒動を否定する事態となりました。 この問題についてレイ法律事務所の河西邦剛弁護士に解説していただきました。名前を出さずに行った投稿の法的責任について、河西弁護士は『同定可能性』がポイントになると話します。また元の投稿をした人だけではなく、これを拡散した人も法的責任を問われる可能性があるということですが、その拡散の仕方によっても責任は変わってくるといいます。◎河西邦剛:弁護士 芸能・エンターテインメント分野の法律問題に詳しい ネット上の誹謗中傷や名誉棄損トラブルなど多数の裁判を経験

有名インフルエンサーのSNS投稿から騒動に

 ことの発端は5月22日の夜に投稿された有名インフルエンサーによるXの投稿です。その内容は▼超有名女優とドラマ共演し、電撃結婚した男性歌手が不倫▼男性歌手の所属事務所が10億円を払って記事をもみ消した、というもの。この投稿は閲覧数が1.5億以上となり注目されました。

 この騒動に対して星野源さんの所属事務所「アミューズ」は、5月23日未明に次のようなコメントを発表しました。

 ▼「星野源では」という指摘や問い合わせが多い▼不倫やもみ消しのような事実は一切ない▼所属アーティストであることがわかるような虚偽の投稿は名誉毀損など違法行為にあたる▼アーティストに対する誹謗中傷などは証拠保全▼法的措置を含む対応を検討する

 その後、星野源さん新垣結衣さん2人ともが自身のSNSで否定。そして5月29日未明に放送されたラジオで、星野さんは騒動を否定し胸中を明かしました。

 (星野源さん)「インスタグラムを何気なく見たら、自分の最後のポストのところにコメントが急にウワッと増えた瞬間があったんですよね。見たら、そこにものすごい数の誹謗中傷があって」「100%ひとつもやっていませんから。完全なデマですね」「100%やっていないことで、事実がひとつもないことで、日本中から憎悪を向けられた感覚になったんですよね。その経験は今まで一度もなくて、本当に恐ろしかったです」

 さらに妻の新垣結衣さんも電話で生出演しました。

 (新垣結衣さん)「今回のことは本当に驚いて、なんでこんなことが起きているのか、私たちが一番わからないっていうか」「噂されていること、騒がれていることに、事実はひとつもありません」「今回心配してくださった皆さん、本当にありがとうございます。今後も2人でね、協力して粛々と穏やかに過ごしていきたいなと思っています」
 (星野源さん)「僕らは大丈夫ですので」

河西邦剛弁護士が解説 投稿の法的責任は?

 Qここから河西邦剛弁護士に聞いていきます。投稿の数時間後に事務所コメントが出されましたが、これは事務所は確信が持てる段階でこのような発表をしたのでしょうか?

---事務所の方は確信は持っているんですよね。今回6時間くらいで出したこの早さについてどう見るかですけれども、今回の投稿というのは、1行2行で、いわゆる男性歌手が不倫をしたという内容になっています。なので星野さんに聞くときも「不倫があるの?」「ありません」これで聞き取りが終わるわけですね。他方で例えば週刊誌とかの報道になってくると、それは何ページにもわたって、いろんな関係者が出てきて、いろんな登場人物がいろんな証言をする。それに比べると今回の事実確認というのは本当に簡単に不倫はありませんで終わるので、そういう意味では事実確認は簡単だったのかなと思いますね。

 Qこの投稿をしたインフルエンサーが法的責任に問われることは?

---当然あり得るわけですね。もし内容が真実でないとするならば、これは不倫をしたという社会的評価を下げることになりますので、いわゆる名誉毀損に該当するという話になってきます。そこで今回ポイントになってくるのは「男性歌手が不倫をした」となっているんですね。果たしてこの男性歌手が星野源さんとわかるのかどうなのかという、この『同定可能性』というところが問題になってくるんですね。今回インフルエンサーの方が「男性歌手が不倫をした」と言っている。この男性歌手が星野源さんだとはインフルエンサーは言っていないんですよ。そうなったときに、ここで同定可能性があるかどうかというところは、法的に問題なってきます。ここをどう考えるかというところですよね。実際に見てみると、6時間後には事務所が、星野源ではありませんというふうに、同定可能性があることを前提とした発表をしている。またSNS上においても、ほとんどが星野源さんだというふうになっていて、いわゆる一般の閲覧者の方も星野源さん以外について候補者がいないわけですね。そうなってくると今回は男性歌手というふうにぼかしてはいるものの、星野源さんだという同定可能性は十分に認める可能性があるかなと思うんですね。それが不倫をしたというふうに言っているので、これが真実でないとするならば、これは名誉毀損に該当してきて、刑事民事の責任を追及される可能性があるというところですね。

 Qでは名誉毀損が成立した場合はどうなるのでしょうか?

---刑罰として名誉毀損罪になった場合は、3年以下の懲役や50万円以下の罰金ということになってきます。今回の内容が投稿されてしまえば、星野源さん自身も仕事を失ったりスポンサーを失ったりとか、ファンの方がとても傷つくということがあり得る。実際に過去を見てみると、週刊誌報道によって活動を休止した方もいらっしゃるわけですよね。ただ他方で、やっぱり仮に内容が真実ならばどうなんだろうということは忘れちゃいけないと思います。この投稿がウソなんだという決めつけはまだできないと思うんですね。なのでやはり、どちらが本当なのかという中立的な視点で見ることが大事で、これが本当なんだということを前提にいろんなSNSでポストしてしまうこと、これが非常に見ている側としてはリスクが高いということになってきますね。

投稿を拡散した人は?推測を投稿した人は?

 Qこの騒動について投稿を拡散をしてしまったという方もいるかもしれません。今回のインフルエンサーの投稿や誹謗中傷を拡散した人はどうなるのでしょうか?

---まず拡散、いわゆるリポストについて、これ裁判所はまったく2つの見方をしています。まずは単純リポスト、いわゆるリツイートをした場合ですね。あともうひとつはコメント付きリポストをした場合。これまったく分けて考えるんですよ。一番危険性が高い、名誉毀損なんだというふうに言われかねないのが、この単純リポストの方です。裁判所の考え方としては、単純リポストするということは“元の内容について賛同的だからリポストしたんでしょう”というふうに考えることもあって。そうなってくると、元のポストが名誉棄損に該当するとなってくると、そのリポストした人も名誉棄損になるってことがあり得るんですね。他方でコメント付きの場合、この場合には例えば仮に“不倫をしているならばそれは酷いことだよね”とかっていう意見を言うための前提としてリポストしている場合には、これはどういうふうにコメントをつけたか、これが問題になってくる傾向にあるというところですね。

 Qハートマークでいいねと押すボタン、あれはリポストと同じようなことなんでしょうか?

---同じリスクがあるということですね。仮に名誉毀損ならば、この内容について賛同しているんだ拡散しているんだというふうなリスクがあるので。基本的にはそういったいわゆる誹謗中傷的な可能性があるものについては反応しない、これが一番。コメント付きリポストをするときにも、誹謗中傷的なことを新たに加えてしまえば、これは新たな誹謗中傷になるので、それは当然リスクになるということなります。

 Q“星野源さんでは”と推測の投稿をした人はどうなのでしょうか?

---推測した人は今回の件で言うとこれは法的責任は問われにくいかなとは思います。いろんな人が推測しているので、そのうちの1人を対象にして損害賠償請求されるという可能性は低いかなと思います。ただ他方で、今回とは別にAさんBさんCさんDさんというような話がある中で、この人なんじゃないのっていうリポストしちゃうと、そのきっかけになった人が法的責任を追及される可能性はあるかなと思うんですね。なので基本的にはこういった誹謗中傷的なことに関してはタッチしない、これが重要かなと思います。

 ひとつの投稿をきっかけに大きく膨れ上がったこの騒動ですが、投稿を見る側にも冷静な判断が必要となってきます。

(2024年5月29日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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