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枕元でスマホ響いた朝!緊急地震速報が近畿から東北まで広く発表された理由 スーパーコンピュータが「阪神・淡路大震災にも近いM7.4と推定」【MBSニュース解説】

MBSニュース / 2024年6月3日 18時35分

 6月3日朝の地震。近畿や東北は最大震度2でしたが、どういうわけか緊急地震速報は、近畿から東北地方にかけての広い範囲で発表されました。 その理由について気象庁は、「地震が発生してから5.3秒で、マグニチュード7.4と推定し、広い地域に緊急地震速報を発表した。かなり大きく評価をされてしまったということになります。」と説明しました。 マグニチュードの過大な推計、一体何が起きていたのか、MBSの気象災害担当で『人と防災未来センター』の特別研究調査員でもある福本晋悟記者の解説です。

P波とS波の差

――まず、緊急地震速報とは、どういうものなのでしょうか?

(福本晋悟記者)地震波というのはいくつか種類があります。その中のP波とS波という波の性質の違いを活用して緊急地震速報というものを運用しています。P波(プライマリーの頭文字:最初の波)は、速度は速いんですが、揺れは弱いもので、秒速約7キロで進みます。

 対して、速度は遅く、秒速4kmで進み、人間がよく感じる大きな揺れをもたらすのがS波(セカンダリーの頭文字:第二の波)です。秒速7キロと4キロの差を利用して地震が発生した震源の場所から地震計のある場所まで、まずP波が届いた段階で「これは地震が大きくなるぞ」と判定した場合、S波が届くまでに出す情報。それが緊急地震速報となります。

震源からの距離によるが「身構える時間が用意される」

――体感で揺れを感じた後に緊急地震速報が出ることもあり得ますか?

 あります。震源と今いる場所が近い場合、今日の地震で言いますと能登半島の方にとっては、震源と距離が近くP波とS波の速度差が7キロと4キロとありますけども距離が短い。従って数秒差、場合によってはほぼ同時になる場合は、緊急地震速報が間に合わない可能性もあります。

 ただし震源から距離の遠い場所だと、数十秒の時間差がありますので身構えたり、机の下に入ったりすることが可能な時間が用意されているということになります。

地震計は計4300か所に増えた

――重要な役割の地震計は日本各地に配置され約1700か所にあります。海底にも地震計が設置されています。

 1700という地震計の数は、あくまで緊急地震速報に使える数でして、実は震度などを観測するもの含めると合計4300か所にあります。阪神・淡路大震災当時は全国150か所しかなかったんですけども、その後備えを進めていくために、これだけの数になりました。海底にも地震計が設置されていて、今後の南海トラフ地震のように、津波を伴う巨大地震を早く察知し観測するために、和歌山県沖などに設置されています。

「緊急地震速報の範囲、かなり広いと思って驚きました」

 3日朝の緊急地震速報は、午前6時31分42秒に最初の揺れ、P波を感知しました。そこから4.8秒後の午前6時31分47秒に緊急地震速報の第1報が発表され、そのわずか0.5秒後に第2報に修正されています。その際は我々が目にした近畿から東海、関東、東北までの広い範囲に緊急地震速報が出ました。

 P波を観測した段階でマグニチュード6.5だと推定したんですが、「もっと大きいのではないか、M7.4ではないか」となって、第2報に修正したということになります。その結果、近畿地方や東北地方に至るまで緊急地震速報が発表されたということになります。

――緊急地震速報の範囲がかなり広いなと思って驚きました。

 この段階ではマグニチュード7.4と推定。阪神・淡路大震災のマグニチュードが7.3ですので同規模の地震のエネルギーとみて、日本の広範囲にわたって震度4くらいの揺れを観測するのではないかというふうに予測したことになります。

「極めて短時間に同じ場所で地震が複数発生したとみられる」

――では、なぜマグニチュード予想が変わったのか、気象庁は「極めて短時間に同じ場所で地震が複数発生したとみられ、緊急地震速報のマグニチュードが大きめに出た」と発表しましたが、これはどういうことなんでしょう。

 あくまでイメージとしての説明ですが、朝の一つ目の地震(推定M6)と、二つ目の地震(推定M6)が、ほとんど同じような場所でほぼ同時に起こった場合、別々の地震と区別できず、一つの巨大地震(推定M7が1回)が発生してしまったと「コンピュータが誤解をしてしまった」という可能性です。

 ただ、あくまで現段階での気象庁の可能性の一つで、まだこうと決まった情報ではありません。過去にも2016年4月16日(熊本地震の本震があった日)に、数秒間に相次いだ2つの地震(大分でM3.2と熊本でM2.9)を1つの地震と判定して、緊急地震速報を発表した事例がありました。

「緊急地震速報を見聞きしてとった行動」上位は?

――今回、緊急地震速報が発表された近畿地方の最大震度は2でした。ただこれをハズれたと思ってはいけないんですね。

 緊急地震速報は、少しでもケガをしないため、命を落とさないための情報です。今年1月の能登半島地震のときに出た緊急地震速報について気象庁が取ったアンケートでは、

 「その場で身構えた 47%」
 「テレビや携帯電話で地震情報を知ろうとした 44%」
 「周囲から倒れるものがないか注意した 43%」
 「安全と思う場所に移動 23%」
 「身近な人を守ろうとした 23%」
 「ドアなどを開けて逃げ道を確保した 20%」
 「頭を守るなど身を守る行動をとった 19%」となりました。

 最も大事なことは、「頭を守る、机の下で身を隠すなど、その場で自分の身を守る行動をとる」ということです。

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