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【新紙幣】プラスチック製の国も増える中で「紙」のままなのは『日本が〇〇大国』だから?偽造防止技術はパワーアップ!「タンス預金が掘り起こされ景気上昇」「キャッシュレスが進む」説も

MBSニュース / 2024年6月5日 14時19分

 20年ぶりの新紙幣の発行がいよいよ1か月後となりました。新紙幣に使われているスゴい技術とは?多大な費用がかかるのになぜ新しくするの?新紙幣でキャッシュレス決済が広がるという見方も。さらに景気を上向かせる効果も期待できるかもしれない?そんな新紙幣にまつわる情報をまとめました。

 今回、20年ぶりに紙幣が新しくなり、1000円札が北里柴三郎、5000円札が津田梅子、そして1万円札が渋沢栄一になります。1万円のことを「諭吉さんが2人」と話すこともありますが、今後は「栄一さんが今月は飛ぶように出ていった」なんて言うこともあるのでしょうか。

 そんな紙幣、昔は伊藤博文など政治家が使われたこともありますが、2004年からは文化人にしようということで、今回も文化人が選ばれています。顔が全て右側に印刷してあるのは、真ん中に印刷すると半分に折ったときに顔が潰れてしまうとか、彫刻家が右利きだから右の方が描きやすかったのではないか、などと様々な説があります。

お店などの負担大…それでも新しくするのは偽造防止のため!

 新紙幣が導入されると大変なのがシステム改修にかかるコストです。逆に言うと経済効果とも言えるかもしれませんが、1.6兆円かかるという試算が出ています(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト木内登英氏より)。

 全国100店舗でカプセルトイを扱う「ガチャガチャの森」では100円硬貨を多く使うので、両替機を設置していて、この両替機を替えていかなくてはいけないそうです。1台買う場合は120万円ですが両替機の数は150台。ソフトウェアのアップデートで済むような機種でも1台9万円、ユニットごと交換する場合は1台30万円かかるため、全国の店舗の総額は1500万円もかかるということです。さらにユニット交換の場合は、自分たちで外してメーカーに送り、改造してもらって送り返してもらうため、その間の代替機を自ら用意しなくてはいけません。さらに両替機は重さが300kgあるため、普通の車では運べず、専用の輸送を依頼しなくてはいけないことも含めると、相当なコストがかかります。

 では、なぜ紙幣を変える必要があるのか?一番大きい理由は「偽造防止」です。20年経つと、偽造する側の技術も進んでしまうため、ときが経つにつれて偽造が増えると世界的にデータで出ています。

 また、こんなデータも。100万枚あたりの偽造紙幣の枚数は、ユーロで1200枚、ポンドでは2400枚あります(財務省の2021年の調査より)。印刷技術が世界一と言われる日本の円は優秀で100万枚あたり13枚です。警視庁の統計資料によりますと、2023年の偽札の発見枚数は681枚。ピークだった2004年の2万5858枚と比べると38分の1となっています。2000年代のはじめ頃に一気に偽札が増えたのは、カラーコピーが普及したからだそうです。現在は基本的に自動で検知してカラーコピーができなくなっています。

 新デザインが出た後はやはり偽札の発見は一気に減っているため、今回も新紙幣の流通で偽札の増加を止められると言えるのかもしれません。

新紙幣に詰まった技術がスゴい!でもなぜ今回も紙?

 新しい紙幣は技術もスゴいんです。紙幣では世界初の角度によって絵が動く3Dホログラム。透かしは肖像の周囲に模様があるなど高い技術が用いられています。目の不自由な方に向けたマークをさらにわかりやすくする、外国の方でもわかりやすいように数字が大きくなる、などの変更点もあります。

 ちなみに、世界の紙幣の7割~8割に人の顔が使われていますが、その理由は人の顔だと少しでも違った場合に最も違和感に気づきやすいから、というのがあるようです。

 外国の紙幣ではポリマー(プラスチック)の紙幣が増えていますが、なぜ今回も紙の紙幣になったのでしょうか。野村総合研究所の木内登英さんによりますと、プラスチック製の紙幣は▽耐久性が高い▽作り直さなくていいのでコストがかからない▽環境にも優しい▽ツルツルしていて衛生的にも良い、という長所がありますが、折り目がつきやすいという特徴があるということです。外国ではあまり気にしない“折り目”を日本が気にした理由の一つは自販機大国だから。自動販売機で紙幣が読み取りにくくなるのではないかということです。

新紙幣になるとキャッシュレス決済が進む?

 新紙幣の発行によりキャッシュレス決済の普及が進むのではないかということも期待されています。コストをかけて新紙幣に対応した機械に替えるくらいなら、キャッシュレスのみにしようじゃないか、ということです。実際に、製造開始から3年間で日銀が刷った紙幣の枚数は、現行紙幣が104.2億枚なのに対して、新紙幣の予定枚数は74.8億枚で、28%減っているのです。

 日本のキャッシュレス決済の比率は世界的に見てもかなり低いです。キャッシュレス推進協議会の2021年のデータでは、韓国は95.3%なのに対して、日本は32.5%でした。ただ良い面もあります。キャッシュ決済率が低い日本やドイツ(22.2%)は泥棒に遭う確率が少ないから現金を持っている、つまり治安がいいということです。偽札がないという信頼の高さからみんなが持っているというのも背景にあります。

 とはいえ、キャッシュレス決済が広がると、インバウンド消費の増加につながります。外国人観光客が日本で使った金額は2023年は5.3兆円で、2024年はもっと増えるのではないかと言われていますが、キャッシュレス決済が使えた方が外国の方がお金を使いやすくなるのではないかということです。

 さらにキャッシュレス決裁はビッグデータの活用にもつながります。情報が取られることに対する賛否はあるかと思いますが、例えばどこに住んでる人がどんなタイミングでお金を使ったのか、全てわかっていくわけです。そのため、効率化という意味では経済にプラスになるのではないか、そんなキャッシュレス決済の推進に新紙幣はいい契機になるのではないか、と見る人もいます。

国民が持つ現金の半分を占める『タンス預金』がカギ!?

 もう一つ期待されているのが『タンス預金』が掘り起こされて景気上昇の後押しになるのではないか?という点です。日本のタンス預金は非常に多く、国民が現金で持っているお金の半分くらいはタンス預金ではないかとも言われています。

 その背景として挙げられるのが、まず「預金保護は1000万円まで(1金融機関あたり)」というペイオフ解禁が2005年頃から言われ始め、預けてもなくなるリスクがあるとなったこと。特に90年代後半、金融機関がかなり不安定になった時期があるので、家に置いておこうという人が増えました。さらにバブルが崩壊してデフレとなり、お金の価値は置いておけば上がる時代だったため。さらにこれは良くないことですが、相続税を回避するという目的でやっている方が多かったのではないかということです。

 新紙幣に変わると、心理的に古いお金を多く持っていたらそれを使うときに疑問を持たれるので替えておこうかということで、これが少し景気の後押しになるのではないかという見方と、新札に替えればいいだけなのでそれほど効果はないのでは、という見方と両方あります。

 7月3日から流通が始まる新紙幣ですが、3日の午前中に各銀行に配送されるそうです。店の立地や交通状況などで変わるため何時になるかはわかりませんが、新紙幣を早く手に入れたい人は、3日に銀行で下ろしたり両替したりした場合、初日から手に入れることができるかもしれません。また銀行のATMは3日の朝から新札対応になっているということです。

 最後に注意してほしいのが、新紙幣が始まったときに詐欺が必ず出てくるということです。例えば「古いし使えなくなりますから取り替えますよ」「持ってきてください」など、電話がかかってくることもあります。しかし、新紙幣に関して公の機関から電話がかかってくることもなければ、旧紙幣が使えなくなることもありません。こういった詐欺には気をつけてください。

(2024年6月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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