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狭小でも『天井が高い』部屋は開放感アップ!建坪9.4坪、建築家の自宅づくりに学ぶ「気積(きせき)」のスゴイ効果!【住人十色】

MBSニュース / 2024年6月10日 11時49分

 舞台は愛知県名古屋市。「狭さ」と「コスト」という、現代の家づくりにおいて最も手ごわい2つの課題を乗り越えた家がある。

 住人(アルジ)は30代の夫妻と幼い子どもの3人家族。3年前、建築家の夫が設計して新居を建てた。
 ガルバリウム鋼板で覆われた家は、スタイリッシュな印象だが……正面から見ると間口1.8メートルに対して高さが7.7メートルもあり、その細長い形はまるでえんぴつのよう! しかも建坪は9.4坪、駐車場わずか2台分のスペースしかない。
 玄関扉は、なんと掃き出し窓。並べたコンクリートブロックの上で靴を脱いで入ると、意外にも中は開放的な空間が広がる。理由は3.6メートルもあるという天井高。設計した夫いわく、これは「気積」を意識したのだという。

 以前は名古屋市内の賃貸マンションで暮らしていた夫妻。マイホームを夢見ていた頃、市内の憧れのエリアで1400万円という破格の価格の土地に出会う。だが土地は狭小なうえ、建ぺい率も厳しく、しかも3階建てにできない低層エリアに指定されていた。そんな“三重苦”の中で夫が活路を見いだしたのが、建物の「気積」を最大化すること。気積とは、床面積×天井高のことで、この気積が大きいと狭くても開放感が得られる。「広くて天井が低い部屋」よりも、「狭くて天井が高い部屋」の方が開放感を感じるという効果を利用し、新居は縦に空間を広げて平面の狭さを克服しようと考えたのだ。
 こうして最大限の気積を確保したが……もう一つ「コスト」という切実な問題もあった。住人(アルジ)が建築費にかけられる予算は2200万円。なるべくコストを下げようと考えた一つが、掃き出し窓の玄関だったのだ。これでまず、10万円のコストカットになった。

 1階の少し高い窓の位置もコストダウン術の1つだ。じつは、窓は1階と2階を1枚で兼ねる方式。1階の窓の上半分は2階の窓にもなっていて、窓の枚数を減らして費用も減らすことにしたのだ。
 壁は、下半分がコンクリート、上半分が木材になっている。じつはこのコンクリートは家の基礎部分。一般的な基礎と違い1.8メートルも立ち上げているのだ。基礎が壁を兼ねることで家全体の強度もアップし、狭くても間仕切りのない広い空間が実現できた。さらに工費も削減。「狭小」と「コスト」を同時に解決することがかなったのだ。

 L字型のキッチンは大工に作成してもらったもので、安価なラワン合板を組み合わせている。天板には妻お気に入りの白いタイルを敷き詰めた。
 そんなキッチンにも基礎のコンクリートの壁があり、コンクリートの施工時にできる穴、いわゆる「Pコン穴」をふさがずに活用。穴に、ホームセンターで買える数百円のボルトを差し込んで手軽に壁面収納をDIYし、コストダウンに繋げた。

 キッチンの隣は4帖に収めた水回り。浴室はガラス扉で仕切られ、天井高を2.5メートルと目一杯高く取って最大限の気積を確保した。バスタブは“猫脚”風……と思いきや、埋め込み式の浴槽をそのまま置いているもの。これで10万円のコストカットになった。トイレは妻が個室を熱望していたものの、スペースに限りがあるため、洗面所と洗濯機の横に設置。そのため、ガラス扉を隔てて浴室とトイレが向き合う形になり、夫のトイレと妻の入浴時間が毎日バッティングするという悲劇が起こってしまうとか。

 スペースを取らないらせん階段を登った2階には、1階と同じ3.6メートルの天井高を確保したリビング兼寝室が。1階とシェアしている窓は、2階では足元あたりの高さになる。カーテンをしなくてもプライバシーが守られ、明るい光も取り込めるという。

 家の住み心地について夫は「コロナのときはアパートに2人で在宅することが多く、窮屈さがあったが、今は大きさよりも“広がり”をすごく感じるなあと思っています」と語る。妻も、家を建てているときは本当に大丈夫なのかと心配していたというが、気積を確保したことで開放感抜群となった住まいに「前とはテンションが違う」と気持ちの変化を語る。

 様々な困難を乗り越えたコンパクトな家。ぐんと上へと広がる気積の中に、家族の“軌跡”も広がっていく。(MBS「住人十色」2024年6月15日放送より TVerでも放送後1週間配信中)

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