子育てに息抜きを...子どものショートステイができる一軒家「リフレッシュでも仕事したいでも気軽に頼って」 ママたち「よく寝ました」「SOS出せるところがあってよかった」
MBSニュース / 2024年6月13日 14時43分
京都市伏見区に子育ての“息抜き“ができる一軒家があります。仕事や病気など様々な事情で子育てが難しくなった場合や、親の負担軽減、リフレッシュが必要な場合に一時的に子どもたちを預かる施設『メリーアティックボンド』です。子どもたちのショートステイの2日間を定点観測しました。
「いやや!」ママと“しばしのお別れ”…直後は寂しがる子も
1日目の午前8時半。1人の女性が施設にやってきました。保育士の海老瀬優さんです。子どもたちに声をかけます。
(海老瀬優さん)「おはよう。寝たか?緊張しているの?」
取材した日は土曜日。前日から泊まっている子が2人いたため、出勤早々、子どもたちと遊びます。
正午。子どもたちがスタッフ手作りのお昼ご飯を食べていると、4歳のあずさちゃんがやってきました。
(あずさちゃん)「いやや!」
ママと離れたくないのか、家から持ってきた毛布に隠れてしまいます。あずさちゃんは3人きょうだいの真ん中で、この日はきょうだいそろって一緒にお泊りです。
(あずさちゃんのママ)「毎週土日、利用しています。子どもが3人でシングルマザーなので、1人で3人が大変、精神的にも大変な面がありまして、役所に相談したところ、『こういうのがありますよ』と教えていただいて、そこから利用するようになりました」
ママが大好きな3きょうだい。しばしのお別れです。
続いてやってきたのは4歳のかえでちゃん。
(かえでちゃんのママ)「恥ずかしいの?大丈夫大丈夫。ほら行っておいで、みんな待ってるわ」
ママとの別れがさみしそうな様子。生後8か月の弟がいますが、この日は1人でお泊りです。
(かえでちゃんのママ)「この後は家の掃除をします。散らかし放題なんで、家の掃除をして洗濯して、とりあえずたまっている家事をしてしまおうかなと思ってます」
この日はスタッフ4人で3歳から小学3年生まで14人の子どもたちの世話をします。
先ほどママとの別れがさみしくて毛布に隠れていたあずさちゃんは、落ち着くまで2階の部屋で少しお休みです。
(海老瀬優さん)「いつもそうですね、やっぱり。離れた直後はどうしてもさみしいという気持ちが強いので」
夕方まではお散歩や自由時間
午後2時。ママとの別れにぐずってしまったあずさちゃんも一緒にお散歩に出かけます。元気がなかったあずさちゃんはすっかりご機嫌な様子。
(海老瀬優さん)「遊ぶモードにしっかり入ってくれたので、良かったなと思っています」
お昼ごはんの後は夕方まで自由時間。好きなことをして過ごします。
子育てで負担に思うこと「精神的疲れが大きい」が増加
内閣府の調査によりますと、子育てで負担に思うこととして「精神的疲れが大きい」と回答した人は、2020年で43.1%にのぼり、過去15年と比較して大きく増加しています。
(海老瀬優さん)「核家族とか、地域のつながり自体も希薄になっていて、親がどこに助けを求めていいのかわからないというところで、でも子どもは育てないといけない。どんどん窮屈になって、つい手が出てしまうとか暴言を吐いてしまうということになっているのかなと思っていて」
この施設では「育児疲れのリフレッシュ」を主な利用目的として掲げていて、利用者の多くがリピーターです。
消灯の時間 海老瀬さんは退勤「体は疲れているけど元気もらった」
午後8時半。消灯の時間です。なかなか寝付かない子どもたちを夜勤のスタッフに任せて、海老瀬さんは退勤します。
(海老瀬優さん)「お疲れさまでした。体は疲れているんですけど、元気もらったなという感じなので、またあしたも頑張ろうかなと思います」
初めての遠足!電車に乗って公園へ
翌日の午前10時。寝ている子どもたちに海老瀬さんが声をかけていきます。この日は特別な日。初めての遠足です。
施設に来たときは元気がなかったあずさちゃんも楽しそうな様子。弟のふうたくん(3)も元気いっぱいです。
そんな中1人、元気がないかえでちゃん。電車に乗って疲れてしまったのかスタッフに甘えます。結局、公園ではほとんど遊ばず眠ってしまいました。
楽しい時間はあっという間。
(海老瀬優さん)「そろそろ帰ります~!集まってください~」
初めての遠足は大成功です。
午後3時。施設に帰ってきました。公園で眠っていたかえでちゃんはすっかり元気に。
お風呂に入ってご飯を食べて、お迎えを待ちます。
お迎えの時間 ママ「リフレッシュできました」
午後7時半。お迎えの時間です。まず来たのは、かえでちゃんのママ。
(かえでちゃんのママ)「何描いたの?」
(かえでちゃん)「これママ、かえでちゃん、ハート、チューリップ」
(かえでちゃんのママ)「すごいやん」
遠足ではほとんど眠っていたかえでちゃんですが、ママに会えて大満足な様子。
(かえでちゃんのママ)「リフレッシュできましたね、よく寝ました。週末にかけてイライラしてくるんですよ。ちょっとのことでイーッてして『うるさい』ってなるんですけど、あしたボンド(お泊まり)やしな、怒るのやめようみたいな。(Qこの施設はどんな存在?)もう必要。絶対あってほしい施設」
続いて来たのは…。
(ふうたくん)「ママ?ママかな?」
あずさちゃんの姉・みのりちゃんと弟・ふうたくんがママを出迎えます。
(ふうたくん)「ママ!」
(みのりちゃん)「あずちゃん!ママ!」
ママとの再会に満面の笑顔のあずさちゃん。甘えたいのを我慢して弟に譲ります。
(ふうたくん)「ママだっこ!」
(みのりちゃん)「おんぶして!ママ」
(あずさちゃんのママ)「ゆっくりできましたね。いつもあまり寝られないので。ニュースとかにもなるじゃやいですか、無理心中とか…。すごくわかるなという気持ちもあるので。助けを、SOSが出せるところがあってよかったと思いますね」
子育ては親だけが背負うものではありません。離れて過ごす時間も親子の絆を深めてくれるのかもしれません。
(海老瀬優さん)「リフレッシュでも、資格の勉強がしたいでも、お仕事がしたいでも、なんでもいいと思うんですけど、気軽に、気楽に頼れる場所として、受け入れていきたいなと思っています」
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