【橋下徹氏】「岸田総理は今こそ暴れ回れ!」改正政治資金規正法めぐる『維新の対応』には苦言 今後の政治は「政権交代ではなく政権変容。そのときのトップは石破氏が妥当」
MBSニュース / 2024年6月21日 14時35分
改正政治資金規正法が、具体策については多くが「検討事項」と、いくつもの課題を残して可決・成立しました。今回の改正をどう見る?岸田総理について思うことは?そして今後の日本の政治が向かうべき方向は?弁護士で元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹さんに聞きました。
「今こそ大チャンスなんですよ、岸田さん」
―――改正政治資金規正法の成立後に、岸田政権初の党首討論が行われました。野党の党首からは岸田総理に対して総辞職を求めるなどリーダーとしての資質を問う声が相次ぎましたが、岸田総理は「先送りできない課題に専念する」と解散を否定しました。現在の岸田政権を橋下さんはどう見ていますか?
(橋下徹さん)「『今こそ暴れ回れ!』。今こそ大チャンスなんですよ、岸田さん。今、支持率が最低レベルだから、何をやったとしてもこれ以上下がることはないわけで、失敗してもというのがある。それから岸田さん、政治家特有なのかもわかんないけど、なんで民間に戻ることは考えないんですかね。政治家、自民党議員を辞めてもいいと思う。総理までやったら一つ達成じゃないですか。だから民間に戻ることを考えれば、自民党内の今うるさく言っている麻生さんとかの話を全部振り切って、今日本にある課題を全部解決していったらいいんです。岸田さんは結構いろんないいこと、いろんな決断をやっているんです。でも肝心要の国民の皆さんが変えてほしいという『政治と金』の問題だけ振り切れていないんです。というのは、自民党内で、領収書のいらない金を確保したい声がものすごく強いから。岸田さんは、民間に戻るぐらいの覚悟を持って自民党議員が一番嫌がるような本当に徹底した透明化の政治と金の改革をやれば、支持率急増すると思う」
―――一度トップに立つとその地位を守りたいという思いは強くなるのでしょうか?
(橋下徹さん)「僕が知事・市長をやって国政政党の代表をやったときは、あの任期で終わりと決めていた。だから維新の会の仲間のことなんか一切考えなかった。もちろん賛否両論あるし、いろんな人から僕のやってることに対して批判の意見があるのはもちろんそう。全部正しいわけじゃないけど、仲間のこととかは一切考えずに、今やらなきゃいけない大阪の改革はこれだと。維新の仲間が落選するようなことをいっぱいやっているからね。僕のやったことで維新の仲間が不利になっても、もう俺は知らんと。君を当選させるために知事・市長になったわけじゃないからっていう振り切り型があったから、いろんなことができたんですよ。岸田さんも総理までいったんだから、それぐらいの気持ちでやれば。例えば、皇位継承問題にしても選択的夫婦別姓の問題にしても、岸田さんはだいたい普通の考え方を持っている。選択的夫婦別姓は賛成派だし、皇位継承の問題にしても女性天皇を認める派なんですよ。自民党の強硬に反対する人たちの声を聞いて全然できないんだけど、振り切ればいいのに」
改正政治資金規正法は「最悪の法律」 衆院では賛成したが参院で反対した維新の対応は…
―――改正政治資金規正法が6月19日に成立しました。政治資金パーティーに関しては、パーティー券購入者の公開基準が「20万円超え」から「5万円超え」になりましたが、開催回数に制限はなく、オンライン開催のパーティーは対象外です。また、政治家への罰則強化としては、収支報告書について議員が確認書を交付。確認を怠ったと判断されれば公民権の停止となります。しかし野党側からは“会計責任者にだまされたと言えば議員が責任を問われない可能性もある”という声も上がっています。そして、政策活動費の支出をチェックする第三者機関の内容については、検討となっています。橋下さんはこの改正政治資金規正法にツッコミどころはありますか?
(橋下徹さん)「突っ込みどころも何も、これ最悪の法律だからね。何にも改革になってないですよ。全部検討、検討、検討で、いつまでにやるっていう期限も全く入ってないんですよ。自民党と公明党が今ものすごく批判を受けてますけども、実は維新がこの法律を成立させたんですよ。この提案は全部基本的には維新の提案だから。維新は世間の風向きを感じるや、衆議院では法案に賛成しておいて参議院では反対するわけです。この法律最悪だと思うけど、まだ自民党と公明党は自分たちが出したということで責任持って突っぱねて頑張ってますけど、維新は衆議院で賛成しておいて、まずいと思ったら参議院で反対するとか最悪の政党でしょ。衆議院で賛成した途端に、衆議院は維新の国会議員が大はしゃぎしてシュークリームみんなに配ってるんです。お世話になりましたと。維新の国会議員はすぐ動画配信して“ほら見てみろ、俺たちはこんだけやったぞ”と誇らしげにやってて、それが参議院になって今度は反対するって」
岸田総理と馬場代表の合意文書問題「飲みニケーションのなれの果て」
―――岸田総理に対しては自民党内からも“退陣要求”が出ています。例えば麻生派中堅議員の斎藤洋明氏は「次の総裁選にしっかり改革のできる候補が出てこないのであれば、今度は我々若手・中堅の中から誰かが手を挙げるべき」と話しています。次の総裁選は9月です。内部からこうした声が出始めていることについて橋下さんはどう考えますか?
(橋下徹さん)「これは民主主義の国としてすごく健全ですよ。総裁の任期満了の後に総裁選という選挙が自民党の中であるわけだから、そのときに岸田さんに入れる入れないは自民党の国会議員が判断すればいいわけ。今までの“何とかおろし”っていう、総裁任期満了前に衆議院選挙が近づいてきて、これじゃ勝てないと思ったときに引きずりおろすのは問題。自分たちが1回選んだ総裁なら任期までは支えないと。任期満了で総裁選のときに、岸田さんには入れたくないっていうのは健全。むしろ維新の方が、今回の執行部、維新のとんでもない態度振る舞いについて全く内部から批判の声が出てない、こっちの方が問題ですよ」
―――政治資金規正法の改正案について、維新は衆議院では賛成しました。その背景には岸田総理と維新の馬場代表が交わした合意文書がありました。この中で、旧文通費について「衆参議長の下に設置される協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずること」としています。馬場代表は自民党がこれを受け入れたと思い衆議院で賛成しましたが、今国会では先送りされて、維新は“自民党にだまされた”というようなことになり、怒っています。橋下さんは維新側が怒っていることついて怒っていると?
(橋下徹さん)「だって合意文書内に“いつまでにやる”という期限って入ってる?維新は『だまされた』『今国会でやると言っていた』って言うんですけど、何にも文言入ってないわけ。政治の世界で密約ってのはありますけれども、党首会談をやったときに疑問点があるなら馬場さんが岸田さんに聞いたら良かったんです。期限入ってないけど今国会でやりますよね?ってちゃんと確認して、岸田さんが今国会でやるって言ったなら裏切りですよ。岸田さんは一貫して、今国会でやるとは言ってませんから。この文書の通りに自民党は進めているだけなんですよ。そしてなんでこんな話になるかというと、永田町の『飲みニケーション』の政治が最悪なんです。要は、お酒を飲んで『まぁまぁまぁ』みたいなことで政治をやろうとしてたのが今までの永田町の世界。お酒を飲み合うような仲とかがなければ、期限入っていないけどどうなの?って一言、馬場さんが確認すればいいだけ」
「政権交代」ではなく「政権変容」を国民は望んでいるのでは
―――では最後に、橋下さんが考える自民党のあるべきリーダー、ポスト岸田はどんな人ですか?
(橋下徹さん)「政権交代という言葉がよく出てきていますが、世論調査を見ると自民党の支持率はまだ野党より高いんですよ。これだけ岸田政権の支持率が下がってるのに、野党の支持率はあまり伸びてないです。立憲は若干伸び始めましたけど。国民は、自民党公明党を完全に排除する政権交代ではなくて、自公に野党の一部が加わるような形、ドイツがそうなんだけど、連立じゃなくて政策ごとに過半数を維持していくような『政権変容』という、今までと違う政権を望んでるんじゃないのかなと僕は思います。政権交代となれば野党が政権を担うんだけどそうじゃなくて、自公も政権の中にいながら野党も入ってくる。こうなると自公が過半数割れしなきゃいけないんですよ。維新が飲み食いやりながら自民党にいろんなことやったとしても、自公が過半数ある以上は、最後は維新は袖にされたでしょ。これが自公が過半数割れした場合には、賛成を取り付けないことには過半数が取れないから必ず野党の声を聞きます。そういった意味で僕は政権変容というものがこれから必要になってくる、こういう政治を国民は求めているんじゃないかなと思います。そのときの自公のトップは石破茂さんが妥当なのかなと」
―――その理由は?
(橋下徹さん)「石破さんは国民的には支持率が高いのと、自民党のゴリゴリの保守ではなくて、立憲や維新にもある意味受け入れられるような政策というか、そういうスタンスを持っています。それからなんといっても石破さんは自民党の党内で基盤が弱い。そうすると野党を頼らざるを得なくなるので、自公が過半数割れして野党と部分部分で連合を組まなきゃいけないとなったときには、石破さんがトップに立つと野党とうまく話ができるのかなと思います」
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