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『ポイント付与禁止』でどうなる?ふるさと納税 物価高で人気の返礼品は「豪華」→「日常使い」に変化か 地元産の「電気」も受け取れる!?

MBSニュース / 2024年6月28日 13時16分

 ふるさと納税のルール見直しが発表され、来年10月から、寄付した人に独自のポイント付与を行う仲介サイトを通した寄付の募集が禁止となります。制度の見直しでお得感が薄れてしまうのか?また、物価高の中、どんな返礼品が人気なのか?さらに「電気」の返礼品もある!?チェックしておきたいふるさと納税の最新情報をまとめました。

関西の人々はふるさと納税の利用率が高い

 2008年に始まったふるさと納税。自分が選んだ自治体に寄付することで、住民税や所得税の控除が受けられます。全国の自治体がふるさと納税で得ている税収の推移をみると、2015年度ごろから大きく増え始め、2022年度には約9654億円となっています。

 では、どれぐらいの人が利用しているのでしょうか。ふるさと納税の利用者数は全国で約891万人ですが、利用率(利用者数÷利用して得する人の数)は14.9%ということで、8割以上の人はまだやってないということになります。

 利用率の都道府県別ランキング(※ふるさと納税ガイド調べ)1位~10位を見ると、関西が多く占めていて、2位:大阪府、4位:兵庫県、6位:京都府、7位:奈良県、8位:滋賀県となっています(※1位:東京都 3位:神奈川県 5位:愛知県 9位:千葉県 10位:埼玉県)。

「返礼品を受け取らない」という選択肢も

 ふるさと納税の仕組みを改めておさらいします。寄付する私たちは、直接自治体に寄付する方法と、ポータルサイトを通して寄付する方法があります。多くの人はサイト経由で寄付をしているのではないでしょうか。寄付をすると原則2000円を除き全額が所得や個人住民税から控除されます。年間の実質負担は原則2000円で、自治体から返礼品を受け取ることができます。

 ジャーナリストの立岩陽一郎さんは、ふるさと納税に対して次のような見解を述べています。

 (立岩陽一郎さん)「私は非常に批判的な立場なんですが、別に返礼品がなくても、『自分がこの自治体に寄付をしたい、そして自分は税控除を受ける』これだけでいいんですよ、本来は。今回の総務省の判断もその原点に戻ってほしいってことだと思うんですよ。私もうちの家族がやってる以上、あまり批判しませんが、やはり寄付だというところは私は忘れないでほしいと思います。返礼品目当てになってしまったことが本当に残念。世の中には困っている人がたくさんいますから、返礼品がないものにも寄付するように考えていただきたいと思います」

 選択肢として、例えば被災地の自治体に寄付するときに返礼品を受け取らない、シンプルに寄付して税控除を受けるというやり方もあります。どこの自治体でも返礼品を受け取らないという選択肢が設けられているため、そうしたものもそれぞれの価値観で判断してみてはどうでしょうか。

ルール見直しで“本来の趣旨”に近づく?

 そんなふるさと納税の制度が来年10月から変わります。ふるさと納税自体が“お得”な制度ではありますが、現在はポータルサイトを利用することで付与されている『ポイント』が禁止されます。

 というのも、ポイントの原資は自治体が負担する形になっているとみられます。自治体を応援するための寄付が大前提にあるふるさと納税ですが、自治体側もふるさと納税としての寄付が多くほしいため、ポータルサイトに手数料を払ってでも宣伝します。

 ポイント付与がなくなると、自治体が、私たちが寄付したお金の中から使えるお金が増えるとみられます。そのため、「ふるさと納税ガイド」の飛田編集長は、ポイント付与がなくなることは決して悪いことではなく、本来の趣旨に少し近づいたのではないかという見解を示しています。また、大前提としてお得な制度であり、ポイントがなくなっても制度の根本は変わらないため、利用者がそれほど減ることはないのではないかという見立てだということです。

 では、ポータルサイト経由で寄付している人の割合はどれくらいなのか。2022年度、受け入れ額が全国5位の約138億円だった大阪府泉佐野市では、なんと99%でした。自治体への直接寄付は1%程度だったということです。

返礼品の人気に変化「ブランド牛のステーキ肉」が「大容量の鶏肉・豚肉」に!?

 物価高の中、人気の返礼品に実は変化があるようです。ふるさと納税ガイドの飛田編集長によりますと、「人気の返礼品は、豪華な品から家計を助ける日常使いのものにシフトしてきている」ということです。以前はブランド牛のステーキ肉などが人気だったのが、最近は大容量の鶏肉・豚肉に。魚介類では、以前はイクラの缶詰や箱入りのウニなどが多かったのが、普段食べる鮭や干物が増えているということで、普段の生活を下支えしてくれる一つとしてふるさと納税を考える動きがあるようです。

 ふるさと納税を利用している人に、返礼品に何を選んでいるのか聞きました。利用7年目の男性は、水を96本、ティッシュペーパーを60箱と日常使いできるものを受け取っているということでした。さらに、ふるさと納税ヘビーユーザーの女性は、サーモンの切り身2kg(40尾分)、トイレットペーパー18個入り×6パック、さつまいも2kg、鶏肉3kg、米・玄米(毎月定期便)を受け取り、年間3~4万円の節約につながっているということです。

 また、飛田さんによりますと、“アフターコロナ”で調理済み総菜の人気が上昇中だということです。コロナ禍に在宅勤務が続いて家でキッチンに立っていた共働きの人たちが、職場に戻ってきています。そのため、家で料理をする時間がないとして、ふるさと納税の返礼品にも影響してきているということです。

 具体的に今人気なのは、湯せんして食べられる「鉄板焼ハンバーグ デミソース10個」(福岡県飯塚市 寄付金額1万円)。そして、静岡県浜松市の「王道 浜松ぎょうざ(レギュラー味)80個入り」(寄付金額1万2000円)ということで、パパッと食べられる時短につながるものが今増えてきているとしています。

「電気」を返礼品とする自治体も

 さらに、返礼品には「電気」や「商品券」もあります。電気の返礼品については、住んでいる自治体によって利用できない場合があり、電力会社・プランの乗り換えが必要になることもあります。

 ほぼ全国で利用可能なのが岡山県西粟倉尊の返礼品です。「百森でんき」という電気供給サービスと契約して、ふるさと納税で3万円寄付をすると、3000円×3か月で9000円分の電気使用料の割引が受けられます。

 関西電力エリアで利用可能なのが岐阜県飛騨市の返礼品です。10万円寄付すると、飛騨市産の電気1万5000円分と飛騨市の特産品1万5000円がセットで返礼品として受け取れます。こちらは関西電力の料金メニュー「ふるさとECOプランfrom飛騨市」の契約が必要です(※使用料などによっては割高になる可能性あり)。

 飛田さんによりますと、ふるさと納税で電気を返礼品で受け取ったからといって、必ずしもそれが一番得になるとは限らないということです。1か月の電気使用量や家族構成によっては契約中の電力会社のプランのほうが実は安かったという結果もあるため、しっかり吟味したうえで選んでください。ただ、電気も返礼品として受け取ることができる時代です。

 そして、ふるさと納税でPayPay商品券が受け取れます。これは、寄付した自治体の中でのみ使える商品券で、使えるのはPayPayが使える全ての店ではなく、地場産品を扱う店だということです。さとふる経由の寄付で受け取りが可能で、現在538の自治体が参加しています。飛田さんによりますと、旅行先や帰省先で便利に使えるということです。

 最後に、ふるさと納税の今後について飛田さんに聞いたところ、「制度改正はふるさと納税が長く続くために必要なこと。これからも寄付したお金の使い道に興味を持って多くの人に利用してもらえたら」とコメント。ふるさと納税は、子どものために使う、国際交流のために使う、町長におまかせ、など寄付する際に使い道を指定できます。これを知るのも、社会的な意義があるのでぜひ考えてほしいと話していました。

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