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【土砂災害を知る】地すべり・土石流・がけ崩れの違いは?日本最大級「亀の瀬地すべり」もし滑ったら奈良盆地が沈む?命を守る手立ては?専門家に聞いた

MBSニュース / 2024年7月2日 21時24分

 『未災(みさい)』という言葉を知っていますか? 未災とは、「いまだに災害が来ていない」とか「未来に災害が来るかもしれない」という意味。京都大学には「斜面未災学研究センター」もできています。大雨で相次ぐ土砂災害に詳しい京都大学の釜井俊孝名誉教授に、その種類や発生のメカニズム、我々が命を守る手立てなどを聞きました。

◆発生のメカニズムは主に3つ

 釜井名誉教授によりますと、①地震~大きな力で崩れる ②風化~長年経って土中に隙間が空くことで崩れる ③水圧~土壌の隙間に雨水が入り、その量が増えると水圧が上がり岩と岩を引き離そうとして崩れる のが主なメカニズムです。

 雨に関しては、統計期間の最初の10年間と、最近10年間を比較すると、明らかに違いが出ています。非常に激しい雨(1時間50ミリ以上)は1.5倍。猛烈な雨(1時間80ミリ以上)は1.7倍。記録的短時間大雨情報(1時間100ミリ以上)は1.8倍と増えています。こうした雨の増加が、土中の水圧にも関わり、土砂災害が増えているとみられます。

◆土砂災害①地すべり

 まずは『地すべり』。深く大きく滑るもの、地下に弱い層があって、過去に複数回滑ったことがある場所のことです。日本最大級のものは、大阪と奈良の間にある「亀の瀬地すべり」と呼ばれるもの。

 1900年代以降、3回くらい地すべりが起きていて、もし大きいものが起きてしまうと大和川を止めてしまい、川の水が大阪湾に流れなくて、奈良盆地が浸水してしまう、そんなこともありえるとされています。

 この場所について、国は、地すべりしないよう金をかけて対策しています。地中に直径3.5mの杭を何本も打ち込んで山の動きを止めようとしたり、排水トンネルを6つ造ったりしています。

◆日本人はかつて「地すべりの跡地」を好んでいた?

 地すべり地域を歴史的に見ると、「かつて(江戸時代くらいまで)、日本人は地すべりの跡地に好んで住んでいた」というのです。そのわけは当時は、平野部の洪水リスクの方が大きかったから、ということです。とはいえ山に住むのは傾斜がきつく、そこまで傾斜がなく、耕しやすい「地すべりの跡地」を選んでいたというのです。

 全国各地で「千枚田」が見られますが、これは、地すべりと人が共存してきた証、文化遺産なんだと、釜井名誉教授は話しています。

◆土砂災害 土石流とがけ崩れ

 続いての災害は『土石流』。時速20~40キロほどで、上流から川の水と土砂が混ざって流れてくる災害です。こちらも何度も同じ場所で起きる特徴があります。逆に言うと、治水地形分類図や、ハザードマップで前もってリスクを知ることができます。

 そして『がけ崩れ』。傾斜30度以上の急斜面が落ちることを言いますが、川が削って自然に急斜面になったものと、人が削って急斜面になったものがあります。宅地造成の「切土や盛土」による急斜面のがけ崩れは、『都市型斜面災害』と呼ばれます。

 都市型斜面災害は、民間の土地で起きることが多く、トラブルとなる場合もあります。ただ、民間の土地であっても急傾斜地対策として公の補助が出る可能性もあるということです。

◆センサーで命守る取り組み

防災の技術をひとつ紹介しましょう。京都市福知山市の民家の裏山に、傾斜センサーが設置されています。

「山の土壌が少しでも動いたらセンサーが感知して、携帯電話に教えてくれるようになっております」(自治会長)

この場所では10年前、豪雨による土砂崩れがおきました。自治会長は2年前、再び訪れるかもしれない土砂災害から住民の命を守れないか、と東京の企業の協力を得て、センサーを3か所に設置しました。

自治会長は「センサーを基準として、避難をみんなが早めにしていただいて、命が助かれるような状態ができている。安心です」と話していました。

土砂崩れを事前に知る技術として、ワイヤーを設置して、その伸びを計測するものや、衛星から映像でチェックするもの、土中の水圧を調べるものなども挙げられています。

未災(みさい)。災害はいつ来てもおかしくない、という意識を持ちましょう。ハザードマップ・地すべり地形分類図・治水地形分類図・大規模盛土造成地マップ、これらをチェックして事前に知ることが大切です。

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