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ビルに挟まれていても「減築」で明るく開放的に! 築50年の古倉庫を鉄骨の骨組みを活かして超オトクにリノベーションした家【住人十色】

MBSニュース / 2024年7月4日 12時21分

 和歌山県に、築50年の古びた倉庫を“超お得に”リノベーションした家がある。 住人(アルジ)はともに和歌山出身の夫妻。2人が構えた新居はちょっと変わっている。両隣をぎちぎちにビルで挟まれているその家は、南側にあたる左部分だけ壁と床がなく、骨組みである鉄骨がむき出しになっているのだ。

 じつは元々この建物は、築50年になるバイク店の古い倉庫だった。価格は土地と建物と合わせて1650万円。一般的に倉庫といえば……薄暗いうえに、壁も簡易的なので夏は暑くて冬は寒く、本来、人が住むところではないのだが…。

 建築事務所を営む夫と、医療事務をしていた妻は3年前、結婚を機に家を建てることに。予算は3000万円ほど。そんな中、夫が見つけてきたのが築50年の倉庫だった。妻も驚くほど外も中もボロボロだったが、実は骨組みの鉄骨はそのまま使えるので、家の基礎工事と骨組みを作る工程を省くことができる。

 鉄骨の価格が高騰中の今、同じ規模で新築すると建物だけで4000万円はかかるといわれているが、土地にほぼ0円でついてきた倉庫のこの鉄骨を活かすことで、その分の建築費を大幅に下げることができたのだった。

 とはいえ倉庫は両隣をビルに挟まれていて、とにかく暗い。そこで解決策としてなんと「減築」することに! 床面積を犠牲にして、南側の1階と2階部分、計13帖を大きく減らすことで、住居部分に心地いい風と光が入るように考えたのだった。

 家のメインスペースは2階にある約15帖のリビングダイニングキッチン。壁付けのキッチンは長さが5.4メートルもある。

 食器は取り出しやすく片づけやすい、見せる収納に。作業台の下には家電や調理器具がぴったり収まる棚があり、お掃除ロボットの基地まである。

 妻が「使い勝手抜群」と評するこのキッチン。実は、夫から設計しろと“無茶ぶり”された妻が設計したのだという。妻の特技はイラストを描くことで、その腕を活かして、設計は素人ながらキッチンの立体図面に挑戦。最終的には設計図まで描いたのだった。建築家の夫も「すごい逸材を見つけた」とうなるほど、思わぬ才能を発揮した妻。ただ、全て理想通りかと思いきや……1つだけ戸棚の引き手の位置を間違えてしまったとか。

 キッチンの反対側は壁一面が窓になっていて、風と光が入るよう減築して鉄骨だけになった部分につながっている。空間の一部はテラスになっていて、床には穴の開いたグレーチングを敷き、1階にも光を届けている。屋根があるので物干しとしても利用。夫はテラスでハイボールを飲むのが癒しだという。

 1階にはガラス張りのスペースがある。将来的にはこの場所に夫の建築事務所を移す計画だが、現在は貸事務所として夫の建築士仲間に貸している。賃貸ながら、事務所のキッチンや照明などは彼が自由にDIYしているそう。

 キッチンの設計で才能が開花した妻は今、夫の建築事務所で一緒に働いている。図面やイメージイラストが主な仕事で、和歌山市内にある老舗うなぎ店のリノベーションイラストなども手がけた。また夫も倉庫のリノベーションを経験したことで、「このあたりの地域でも空き家問題があるんですけど、そういうところに関わって、和歌山市自体が盛り上がってくれたら」と展望を持つようになった。

 人も家も、そして街までも……。チャレンジすることで可能性は無限大に広がっていく。(MBS「住人十色」2024年7月6日放送より TVerでも放送後1週間配信中)

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