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「約束を破ってますよね」小学校の統廃合めぐる市の進め方に不満続出 議会での発言に市教委「細かなところを約束をしたということではない」

MBSニュース / 2024年7月5日 12時21分

 来年、大阪府吹田市にある2つの小学校が統合されます。吹田市側の統廃合の進め方をめぐって、保護者らが憤っています。

「小学校が統合するって急に決まった。一方的すぎて…」

 大阪府吹田市に住む田中健一さん(47)。小学4年の長男・彰くん(9)を学校の途中まで送り届けるのが日課です。

 (彰くん)「(Q学校どうですか?)業間(休み時間)とかみんなで遊べるから楽しい。(Qなにして遊ぶ?)ハンドボール」

 しかし、彰くんが通い慣れた学校に通えるのも、あと8か月です。

 (田中健一さん)「小学校が統合するって急に決まって、統合するまでの間が1年ちょっとしか時間がない。一方的すぎて、全然話も聞いてくれないし、話し合いの場もないっていうところで、その辺は納得いかないかなと」

 少子化が進む一方で、住宅開発が進む地域は学校の規模に比べて児童数が増えすぎるなどの課題を抱える吹田市。統合や校区の見直しを行い、来年4月、児童数160人(全6クラス)の山田第五小学校を廃止し、すぐ近くの山田第三小学校(児童数279人・全12クラス)と統合する計画を進めています。

 彰くんが通う山田第五小学校は今年度でなくなることになるのですが、田中さんら保護者に正式に知らされたのは去年8月、2学期が始まる初日のことでした。

 (田中健一さん)「子どもたちが増えて、人数が増えることによって競争が生まれたりとか、友達も増えたりとか、切磋琢磨したりとか、そういうのはやっていったらいいと思うんですよね。統合に対して反対とかっていうのではなくて、その期間が短すぎる」

 市はその後、山田第五小学校の保護者へ説明会を3回実施しましたが、統合だけが決まっていて、通学路・学校名・校舎の跡地活用法などは決まっていないとの回答。不安は解消されず、田中さんらは、学校の存続を求めて陳情書や、3000人分を超える署名を市長に提出し、市に素案の見直しを求めました。

 ところが、知らせから4か月後、去年12月の市議会で議案は可決され、訴えは反映されることなく、計画は進められることに。保護者らの声は届きませんでした。

守られなかった“約束” 心のケアのための人員は2人増のはずでは?

 さらに、追い打ちをかけるような出来事がありました。

 (田中健一さん)「めちゃめちゃびっくりしました。条例さえ通してしまえば、もう後はいいんだみたいな」
 
 去年12月、条例改正が可決される前に開かれた委員会では、こんな答弁が行われていたというのです。

 【教育委員会】
 「それぞれの学校に2人、教職員を増員させていただき、不安に思う児童がいれば事前相談をさせていただく。そのプラスアルファの人員の中で、きちんと精神的ケア、対応をさせていただきたい」

 小学校の廃止と統合にあたり、児童の心のケアのための人員を両校2人ずつ配置する約束でした。ところが、予算も確保しているにもかかわらず、実際は1人ずつしか増員されておらず、保護者への知らせもなかったというのです。

 (田中健一さん)「時間が足りない短い中で無理くりやろうとして、それを丁寧にやるって言いながら、(2人)増員するからとかっていうところができてない。それを言ってない。議会で条例で通ってるのに報告していない」

「意見を聞かないスタイル」市の進め方に不満を漏らす保護者たち

 山田第五小学校の統廃合が決まってから半年の今年6月、田中さんの呼びかけで保護者や地域住民らによる話し合いの場が設けられました。市の進め方への不満を漏らします。

 (保護者)「急なことをやったのは教育委員会のはずで、そこは責任持ってつないでいってもらわないと非常に困る」
 (保護者)「本当はものすごく憤っていますよ。(統合は)決まっちゃったのはいいんですけど、そのやり方や意見を聞かないスタイルだったり、もろもろ全てがおかしい」

 可決後から、話し合いの場が一切設けられていないことに不信感を抱きます。

 (保護者)「決定する前は、要望を出してそれに対して『前向きに考えます』とか、『こういうふうに取り組んでいきます』とか『サポートします』みたいな『親身になって考えます』っておっしゃっていたんですけど、それが結局、何か一つでも回答あったっけっていう状態。このまま私たちが何も声を上げなければ放っておくつもりなのかなっていう、それが一番憤りを感じていますね」

統合決定後初の説明会で保護者の怒りが爆発

 そして6月末、保護者らからの要望に応じる形で、統合が決まってから初めて教育委員会が説明会を開きました。撮影は冒頭のみ許されましたが、会が始まると保護者の怒りが爆発します。

 (保護者)「詐欺ですよね。言ってることを全部守らないで、通ったのに全部やってないんですよね。約束を破ってますよね、議会で言ってること」
 (教育委員会)「議会で申し上げたことで、約束をしたっていうところ、細かなところを約束をしたというところではないんですけれども」
 (保護者)「結局、何も決まってないんですよね。子どもたちの利になることが一つも決まってないまま、統合だけが決まっている。その中、子どもと保護者、地域の人たちだけが困っている、取り残されている。こんな会があるから一生懸命伝えても何も変わらない」

 田中さんも思いをぶつけます。

 (田中さん)「(2人)増員されてないっていう事実を(保護者・議会に)知らせなかったのは、条例を通すためだけに適当なこと言うてんちゃうんって思っちゃうんですよね」
 (教育委員会)「今回、配置ができてないというところで、都度都度の報告っていうのはさせていただいてないという状況です」

 説明会は当初、1時間を予定していましたが、予定時間を2時間オーバーして終了。しかし、納得できる答えは得られませんでした。

 (田中健一さん)「去年聞いてる話と何の進展もない。何のためにこれを開いたのかっていうのはよくわからないなあって。もう半年間ほったらかしにしてるし、『やらなあかんからやった』っていうような感じに受け取ってしまいますよね」

 相次ぐ不満の声をどう受け止めているのか。市の教育委員会はMBSの取材に対して次のようにコメントしました。

 (教育委員会)「現在及び将来の児童の教育環境を守るため、統合を決断したものです。統合に期待している児童や保護者もおられます。関係室課の所管業務を通して適切に対応していきます」

「地域の人たちが不安に思ってることに対してしっかり回答してもらいたい」

 田中さんは今後、住民らとの話し合いを経てまとめた陳情書を市に提出するか検討しているといいます。

 (田中健一さん)「統合に向けての『地域住民とかを対象にした説明会を開いてほしい』という陳情書を提出しようかなっていうふうに考えています。もう半年ぐらいしかない中でも、少しでも地域の人たちが不安に思っていることとか、そういうところに対してしっかり回答してもらえるような形で対応してもらいたいな」

 統合まで残り8か月。保護者らとの溝を埋めるためにも市民の声に寄り添った丁寧な対応が必要なのではないでしょうか。

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