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【なるほどライドシェア】過疎地と観光地で全く違う!京都市は9割が外国人客、大半が学生ドライバー「就職に備えて」

MBSニュース / 2024年7月9日 12時16分

 一般のドライバーが有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」。タクシー不足を解消するために一部地域で今年4月に解禁となりました。外国人観光客が多く訪れる『京都市』と、高齢化が進む『過疎地』で、ライドシェアの“今”を取材しました。

観光地・京都市のライドシェア「学生や副業のドライバーが多い」

 年間6600万人以上の観光客が訪れる古都・京都。限られた時間の中、効率良く目的地まで移動したい観光客にとって欠かせないのがタクシーです。京都市では今年4月から、タクシーが不足する時間帯に限り、一般ドライバーが自家用車などを使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」が解禁されました(※月水木:午後4時~午後7時台 火~金:午前0時~午前4時台 金土日:午後4時~翌午前5時台)。

 ライドシェアはタクシードライバーとは異なり二種免許は必要ありませんが、タクシー会社がドライバーの研修や運行の安全管理を担います。

 (エムケイ営業人事課 志賀洋子係長)「1か月で85件くらい集まりました。学生の方が多いのと、あとは副業としてチャレンジしてみたい方が多いです」

 タクシー大手・エムケイでは、現在登録している18人のうち12人が学生です。今年6月、大学4年生の河原田琉世さん(21)がドライバーの研修を受けていました。

 (この日が初研修 河原田琉世さん)「もともと運転が好きで、それを生かしてまずバイトで働けたらいいなと」

 指導するのはドライバー歴55年の大ベテランの社員です。

 (社員)「では出発しましょう」
 (河原田さん)「はい」

 (社員)「アクセル踏みすぎ。こういうところで歩いている人たちは自動車なんか意に介してないからね、観光に来ているから」

 さながら自動車教習所のようですが、乗客の安全のため丁寧な指導が行われます。

大学生「就職先は自動車販売業。運転に慣れて土地勘も身につけたい」

 別の大学4年生、宍戸裕太さん(21)はライドシェアの解禁後すぐにドライバーに応募しました。

 (宍戸裕太さん)「来年4月から就職で自動車販売業に携わるので、そのためにも運転に慣れておくとか京都の土地勘を知っておくとか、そういうところに力を入れたいなと思って始めました」

 この日は午後4時から午後8時まで4時間の稼働です。車はタクシー会社から借りたもの。まずは配車の依頼が多い四条河原町方面まで移動します。

 (宍戸裕太さん)「やっぱり乗客は外国の方がほとんどなので、コミュニケーションを取るのが難しいなと思うときはあるんですけど…でもちょっとしゃべれるようになってきたので楽しいなと思います」

 配車アプリで受付を開始すると、5分もたたないうちに配車の依頼がきました。1組目のお客さんは、イギリスから来た寺社巡り中の男性で、行き先は南禅寺です。

 (宍戸さん)「日本の食べ物は食べましたか?」
 (乗客)「もちろん!おいしい!ラーメン、うどん!」

 約20分後、目的地に到着しました。

 (乗客)「良いドライバーでした。とても楽しかったです」

 その後も、ひっきりなしにお客さんを目的地に送り届けながら、苦手だという英語で必死にコミュニケーションを図ります。乗客の9割以上が外国人だといいますが、日本人には馴染みのないこんな“特典”も。

 (宍戸裕太さん)「きょうもチップを100円いただいているんですけど、こういう感じで評価してもらえるのもうれしいところです。(チップの最高額は)1組で2200円くらいもらえました」

 時給は1300円で、さらに設定された売り上げを超えるとインセンティブが入ります。MKタクシーの場合、設定額は17000円。売り上げは達成できたのでしょうか?

 (宍戸裕太さん)「(チップが200円なので)純粋な売り上げは1万8738円ですね」

 この日は9組のお客さんを乗せ、目標をクリア。もらえるバイト代は8527円です。

 (宍戸裕太さん)「ノルマというか目標を達成できたのがまずうれしかったですし、本当に安全第一というか事故もなく帰ってこられたのでよかったです」

高齢化が進む過疎地では「住民同士」が送迎しあう

 一方で、住民が主体となってライドシェアのサービスを開始した地域もあります。京都府舞鶴市の西部に位置する高野地域。65歳以上が34.5%と高齢化が進んでいますが、列車の駅は遠く、路線バスも約30年前に撤退。住民の足を確保するため始まったのが、住民同士が送迎しあう形のライドシェア。もちろんドライバーも住民が担います。

 岩見昌則さん(68)は教師を退職後、実家の農業を継ぎながら“すきま時間”でドライバーをしています。

 (岩見昌則さん)「(Q最初にライドシェアの話を聞いた時は?)『ほんまにできるんかな?』って、ほんまに思いましたよ。誰が運転するんやって。10年後20年後を考えた時、こういうのがつながらないと厳しいかなと。あと一つは『お互いさま』。共助というか互助というか」

 高野地域で2020年に始まったライドシェア。当初、ドライバーはボランティアで料金も無料でした。しかし…

 (岩見昌則さん)「空いてる1日『ほな運転できるか』と言われたらできない日もありますし、気持ちはあるんですけどなかなか厳しいという事実があります」

 サービスを継続させていくため住民たちで話し合い、今年4月から有償化に踏み切りました。現在は11人のドライバーが登録していて、予約が入ると空いている人が申告して送迎する仕組みです。

 (岩見昌則さん)「(1日に)一番多い日で十何件というのがありましたからそれは大変でしたけど、そんなにないです。きょうも4件ですね」

車内での会話も大切な“地域のつながり”

 この日、89歳の女性から郵便局までの送迎依頼がありました。運行エリアは舞鶴市の西側のみ。料金は片道700円からで、山を越える場合は1400円です。

 (岩見さん)「どうですか?サルとか大丈夫です?」
 (利用者)「今のところ来てませんけどね。私のところのすぐ上の畑はよくサルが来て食べていましたわ、なすびでも」
 (岩見さん)「なすびもか」
 (利用者)「とって食べてましたわ」

 ひとり暮らしの高齢者が多いこの地域では、車内の会話も地域のつながりとして重要だといいます。

 (利用者)「身近な方が運転してくださるのでその点はいいなと思います。今まで当たり前のように利用させてもらっていたのが無くなったら困りますね。生活が変わってしまいます」

 有償化に踏み切って3か月。月50件以上の利用がありますが、サービスを継続させていくためには課題もあります。

 (岩見昌則さん)「やはりドライバーさんが11人しかおりませんので、時間が使える人がドライバーとして登録していただけたら、より助け合いが進むんじゃないかなと思います」

 観光客や地域住民の“足”として広まりつつあるライドシェア。新たな移動手段となるのでしょうか?

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