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父と娘の『保育園留学』10日間 白浜の大自然で成長した5歳の娘...しんどそうな父を見て「洗い物やるね」

MBSニュース / 2024年7月11日 11時44分

 都会の保育園に通う姉妹が、自然豊かな和歌山県白浜町の保育園に“留学”しました。知らないお友だちと過ごす中で得たものとは?父と娘の10日間に密着しました。

地元の暮らしを体験できる『保育園留学』 きっかけは“コロナ禍”

 山と海に囲まれた自然豊かな集落、和歌山県白浜町の日置川地域。日本有数の観光地である白浜の中心部からは車で30分ほどで、都会の喧騒から離れゆっくりとした時間が流れています。

 そんな日置川地域に6月、名古屋からやってきたのは、伊藤誉さん(37)と娘の圭都(けいと)ちゃん(5)、未琴(みこと)ちゃん(3)です。

 普段は都会の保育園に通う姉妹ですが、10日間の「保育園留学」にやってきました。白浜町立日置保育園で子どもを受け入れ、地元の暮らしを体験できるプログラムです。

 伊藤さんが今回応募したのは、新型コロナウイルスの流行がきっかけでした。

 (父 伊藤誉さん)「コロナ禍を上の子は直撃した世代で、マスクをつけなきゃいけないだとか、しゃべっちゃいけないだとか、そういうのがあったんですよね。仕方ないんですけれども、あの時期は。保育園に行かせることも果たして正解なのか、と考えた時期でもありました」

 娘たちの成長期に直撃したコロナ期間の埋め合わせを親として提供したい。そんな思いで白浜にやってきました。

 姉妹にとっては、大自然の中で初めてのお友だちと過ごす“挑戦”。

 実は子どもたちだけでなく、お父さんにとっても“挑戦”でした。お母さんは仕事で名古屋を離れることができず、父と娘だけで過ごすのは今回が初めてだといいます。

「楽しくない~」パパと離れるのが寂しい妹・未琴ちゃん

 登園2日目。ゲストハウスにお邪魔すると、慣れた手つきでお父さんが髪を結んでいました。

 (父 伊藤誉さん)「(記者:すごくお上手ですね)動画を見せておかないと、できないです」

 あいにくの雨でしたが、子どもたちにとっては楽しいハプニングです。車に乗り込み、いよいよ保育園へ。2人分のたくさんの荷物も積み込み出発です。

 圭都ちゃんは年長クラス。

 未琴ちゃんは3歳児クラスに入りますが…パパと離れるのが寂しいのか、泣いてしまいました。

 (父 伊藤誉さん)「やだ?楽しくなかった?きのう」
 (未琴ちゃん)「楽しくない~」

 一方、年長クラスではリズム遊びが始まりました。

 (お友だち)「一緒にやろう」

 お友だちが声をかけてくれましたが、圭都ちゃんもまだ少し緊張しているようです。

 2人を保育園に送り届けたお父さんはゲストハウスに戻り、リモートワークの時間。お気に入りのコーヒーを入れて、パソコンに向かいます。

 お父さんにとっても、娘2人と過ごす初めての体験。いつもと違う環境で気が抜けない場面も多いそうで…

 (父 伊藤誉さん)「自分が想像していた以上の量の“自然”に囲まれていて、ちょっと面食らっちゃった部分も正直あって。初日に来て、家の中にすごく大きいムカデがいて、そこでちょっと警戒心が…」

畑で野菜を収穫 浜辺ではシーグラス探し

 この日はゲストハウスのホスト、川井照夫さん(74)の畑で収穫のお手伝いをさせてもらえることになりました。こうした地域の人との交流も白浜保育園留学の魅力です。

 (川井さん)「じいちゃんと一緒に持つんやで、よいしょ!」
 (未琴ちゃん)「ぷにぷにする~」
 (川井さん)「次、ナスいこか」
 (圭都ちゃん)「けいちゃんナス好き」

 かごいっぱいに野菜を収穫することができました。

 (川合照夫さん)「自分の孫が来てくれたような感じ。この村にとっても、子どもの声が聞こえるのは、非常に気持ちが明るくなる」

 保育園でも、白浜ならではの体験が。園児の足で徒歩5分。見えてきたのは海です。圭都ちゃんと未琴ちゃんも浜辺遊びに夢中です。

 (担任の先生)「(Qいま何を探している?)シーグラスを探しています。ガラスが削れて、水色とか緑とかきれいな…」
 (圭都ちゃん)「あった!見て!」

 保育園留学は地元の子どもたちにとっても、成長の機会になっているといいます。

 (日置保育園・主任 佐藤鈴代先生)「地元の子どもたちにとっても、良い刺激になってるかなと思います。留学の子どもに声をかける優しい姿とか、『そういうこともできるんやな』という発見はすごくあります」

しんどそうな父を見て「洗い物やるね」 姉・圭都ちゃんの変化

 アットホームな先生や地元の子どもたちに囲まれ、少しずつ白浜の保育園にも慣れてきたようです。

 白浜に来て数日。長女・圭都ちゃんに変化があったといいます。

 (父 伊藤誉さん)「朝、僕が結構しんどそうな顔をしていると、圭都が『じゃあ洗い物やるね』と言ってくれたりとか、しんどそうだからという気持ちを理解して助けてあげるっていう姿勢が見られたことがよかったかなと」

 (父 伊藤誉さん)「ただ、きのうの夜はこの子(未琴ちゃん)に『パパよりYouTubeの方が好き』と言われちゃって」

 パパの奮闘はまだまだ続きそうです。

父・誉さん「一生に一回のかけがえのない時間」

 そして迎えた最終日。最初の頃よりずいぶん表情も柔らかくなり、すっかりクラスになじむ圭都ちゃんの姿がありました。

 未琴ちゃんも、もうパパやお姉ちゃんがいなくても泣きません。

 先生が最後に準備してくれたのは、和歌山ならではの梅シロップ作り。

 (圭都ちゃん)「お~、汁出てきた」

 お友だちと一緒に、初めての梅仕事です。

 楽しい時間はあっという間。名古屋に帰る時間が近づいてきました。

 (お友だち)「あともうちょっと遊びたかったなという気持ち」

 お友だちからたくさんのプレゼントをもらい、最後は笑顔でお別れです。

 (父 伊藤誉さん)「終わってみれば本当にあっという間で、もちろん大変なこともあって、改めて都会の便利さの魅力も感じたんですけど、やっぱり子どもたちとこういった時間を過ごすのは一生に一回で、自分が振り返ってみてもかけがえのない時間になったんじゃないかなと感じています」

 パパと姉妹の夏の挑戦は、家族の絆が深まる、一生忘れられない思い出になりました。

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