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飲酒と喫煙でパリ五輪辞退の体操・宮田笙子選手 池谷幸雄氏「エースが抜けて団体戦は全体的な点数が下がる」「体操は精神的プレッシャーが大きい」

MBSニュース / 2024年7月19日 17時58分

 パリオリンピック™の体操女子日本代表の主将に選ばれていた宮田笙子選手(19)が、オリンピックの出場を辞退しました。7月19日に開かれた日本体操協会の会見によりますと、宮田選手は6月末から7月初旬の間に、JOC国際総合競技大会の派遣規定および日本体操協会代表選手の行動規範に違反。具体的には、「喫煙行為」と「飲酒行為」だということです。今回の件について、元体操男子日本代表の池谷幸雄さんに話を聞きました。◎池谷幸雄:元体操男子日本代表 ソウル・バルセロナ五輪メダリスト オリンピックを目指す選手の育成を行う

「残念で仕方がない。エースとしてものすごくプレッシャーはあったと思う」

―――まず、宮田選手のプロフィールです。2004年9月21日生まれの19歳で、あと2か月ほどで20歳になります。京都府出身で福井県の鯖江高校から順天堂大学に進学。実績としては2022年、NHK杯に高校生で優勝。翌年の2023年、全日本選手権・種目別跳馬で優勝しました。2024年には全日本選手権・個人総合で初優勝、そしてNHK杯を2022年・2023年・2024年と3連覇し、体操女子日本代表の主将になっていました。今回の件について、池谷さんは率直にどんなことを思いましたか?

 「オリンピック直前なので残念で仕方がないということですね。エースが抜けるということは、ものすごく日本にとって痛手であり、もう残念ですよね、本当に」

―――日本体操協会の会見によりますと、情報提供があり本人に聞き取りを行ったところ、行動規範に違反する事実を確認したということです。その内容は、6月から7月の間の喫煙行為と飲酒の事実です。本人と話し合いの場を設け、オリンピック出場の辞退に至りました。喫煙や飲酒の背景については、設定した競技目標に対して数々のプレッシャーがあった、と協会は説明。池谷さんもオリンピックで活躍をされましたが、日本代表でオリンピックに行くことへのプレッシャーについてはどう感じますか?

 「実は、体操選手って結構喫煙者が多いんですよ。成人ですけども。すごく長く戦うスポーツの選手よりも持久力はいらないところで言うと、絶対とは言い切れないですが、そこまで影響がない。それよりも精神的プレッシャーが体操って大きいんですね。だから僕の大学の先輩でも練習中、1種目終わるごとに吸いに行く人がいたんです。それくらい、練習でもそうですが、かかるプレッシャーというか精神的にくるものはものすごく大きくて。それを和らげるために喫煙する方は選手の中でも結構いました」

―――また、会見によりますと、欠員は補充できず4人で戦うということです。その理由として、登録期日を過ぎていることと、けが以外での交代が認められないことが挙げられています。

 「競技直前のアップでけがをする選手が出たりするんですよ。そのときは急遽変更もあることはあるんですが、今回の場合は理由がそうではない。これを許してしまうと他に調子がいい選手が出てきたら変更できることになってしまうので、基本的にはルールとして変更は認められないんですね。けがをした場合以外は、締め切りが終わってしまっていたら変更は無理なんです」

 「(宮田選手は)若いうちから活躍して順調に日本代表になった選手。本当に順調に来ていたっていう感じですね。エースとしての重圧はものすごくあったと思うんです。自分の取れる点数を必ず取るのがエースの使命なので、そういう意味でものすごくプレッシャーはあったとは思います」

―――体操女子日本代表の5人は全員が10代で、さらにオリンピック初出場。団体戦が4人になると不利になるのでしょうか?

 「予選は、5人のうち4人がやって、3人の合計点なんです。5人いるということで、選手はそれぞれ得意な種目に出て行き、得意じゃない種目では休んだりと。宮田選手は得意な種目がたくさんあるので、予選のときにたくさん出るはずでしたが、それがなくなってしまう。そして決勝になると、3人がやって3人の合計点なので点数の取れる選手が3人出るんですが、一番取れる選手が出なくなるということは、全体的な点数が下がります」

―――メダル獲得への影響が非常に大きいということでしょうか?

 「そうですね、日本全体の点数が下がってしまうので。やはり確実に点数を取れる選手が出なくなるので、予選もそうですが、決勝も特に点数が減ってしまうっていうことなんですよね」

―――宮田選手は現在19歳で、4年後の次のオリンピックでは23歳です。23歳という年齢は体操選手からするとどうなのでしょうか?

 「やはり10代の若い選手の方が有利なのは有利ですね。年齢的にピークが女子は早いので、10代の選手が固まったのはそういうことなんですよ。男子の場合は20歳すぎぐらいからピークが来るんですけど、女子の場合はピークが10代なので、そこから伸びるのはなかなか難しいんですね。20歳をすぎると、ピークが下がってくるか、抑えて何とか状態をキープするというところになってくるので、23歳ではちょっと不利にはなってきますね」

体操代表選手の“厳しい”行動規範

―――日本体操協会の『日本代表選手の行動規範』では、「20歳以上であっても原則的に喫煙は禁止」「20歳以上であっても飲酒は禁止 ただし合宿の打ち上げ等は監督の許可を得て可能」「代表チームとしての活動の場所では、選手・役員は異性の部屋への出入りを禁止」ということが定められています。「未成年者の単独行動は禁止」という規範もあり、非常に厳しいとも感じますが?

 「今回もそうですが、ジュニアの高校生とかの選手が、女子の場合は代表で入ってくることが多いんですね。未成年者が成人と一緒に行動するので、そういう意味で未成年者に合わせてあげなきゃいけないところがあるんだと思います。僕は高校3年生でオリンピックに出たときに、上は大学生が1人で、あとは社会人の方がほとんどでした。そういう方々と合宿をして生活をして試合に行くので、やはりジュニアの子たちに合わせてあげることがあって、こういうふうに厳しくなっているんだと思います」

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