【子どもの美容整形】独自調査では7割超が「美容整形したorしたい」...YouTuberらに影響か 一方で親のすすめで二重整形した漫画家「子どもの意見をちゃんと聞いてほしい」
MBSニュース / 2024年7月26日 14時9分
年々増加している「子どもの美容整形」。いまや中高生だけでなく小学生も手術を受けるほど、低年齢化が進んでいるといいます。美容整形に対する若い世代の声は?リスクやトラブルは?夏休みのいま考えたいこのテーマについて、医師らに取材し、現状をまとめました。
整形したい?親や周りには言う?
美容整形について大阪・梅田で14歳~23歳の女性50人に聞きました。その結果、7割以上が整形を「した」もしくは「したい」という回答でした。
整形したことがある:5人
整形したくて調べている:2人
整形したい・興味がある:29人
整形に興味がない:14人
美容整形をした5人のうち4人が二重整形で、あとの1人は涙袋形成でした。手術をした年代は5人とも中学3年生以降だということです。親は5人とも好意的だったということで、さまざまなパターンがありましたが「コンプレックスを整形で解決できるのであれば、やりたければいいよ」「理想の自分に近づきたい思いがあるならいいよ」といった意見だったと話していました。
手術を受けるタイミングは夏休み、春休みという人が多かったです。理由は、手術後に赤みや腫れが出るダウンタイムの期間に多くの人に会わずに過ごせるためです。
美容整形の情報をどこで調べているのかたずねると、回答で圧倒的に多かったのがインターネット、その中でもTikTokとYouTubeでした。自分の整形体験をアップするインフルエンサーたちに憧れる人が多いようです。また、「高校生くらいになると友だちに1人は経験者がいる」ということで、整形をした友だちの口コミという回答も多くありました。
では、親には相談するのか?年齢によっては親の承諾がないとそもそもできない場合もありますが、10代の若い人ほど親に相談している傾向がありました。リスクなどに関して何度も親と話し合い、最終的に自分で決めたという人が多かったです。
整形したら周りに言う?という質問に対しては「どうせバレるから言う」「絶対に言わない」など人によってさまざまでした。
親のすすめで整形…子どもは強く望んでいない場合も
医師の見解はどうなのか。高須クリニックの高須敬子医師に、来院する子どもたちについて聞きました。
高須医師によりますと、整形の低年齢化がここ数年で進んでいて、小学校高学年くらいから整形を考える子どもが増えているということです。夏休みや学年が変わるタイミングなど人に一定期間会わなくていい期間になると、クリニックに来る患者の2~3割を10代が占めることもあるそうです。また、母親だけではなく両親がそろって付き添いに来る場合も多いといいます。
来院した子どもたちと、高須医師はしっかりコミュニケーションを取ると話します。例えば、いじめが背景にあった場合、本人は整形を望んでいなくてもそれがいじめの解決策になると思って来てしまうことがあります。しかしそれは解決策ではないため、整形して後悔しないかどうか聞くなど、コミュニケーションを取るということです。
また、成長のプロセスにある子どもが受けるべきでない手術もたくさんあるとしています。例えば、骨格は成長の中で変わっていくので、骨に影響する手術の依頼は「これは早すぎる。もしやりたいなら3年後5年後に来てください」と断るケースもあるということです。
高須クリニックで多い施術は、「脱毛」「脇のにおい」。また「M字リップ」といって、注射を打つことで唇をM字の形にする施術も多いということです。
そして、子どもへの施術は「本人が強く望んでいるか」をしっかり確認するといいます。過去には、親が子どもを二重にしたい思いがすごく強かったものの、よく話を聞くと子どもはそこまで求めていないことがわかり、“絶対に踏み切ってはいけない手術だ”として断ったケースもいくつもあるということです。だからこそ、親には自分の美的センスを押し付けていないか考えてほしいと話します。
親からすすめられて手術を受けた実体験を漫画にしているグラハム子さん。親のすすめで15歳のときに目を二重に整形にしたといい、「小さいころすぎて、整形を当たり前に受けてしまった」と話します。しかし大学生になり、母親と離れて暮らし始めると、周囲はそれほど容姿を気にしないことに気づきます。整形した目の二重の埋没は取れましたが、価値観は大きく変わり、今は整形していません。グラハム子さんは、子どもはまだ気持ちを言語化する力が備わっていないため、子どもがイエスと言ってもイエスと思わないでほしい、子どもが望んでいる場合もあるが、保護者がしっかり見守ってほしいと訴えます。
(漫画家 グラハム子さん)「二重整形の2~3回目に1人で行ったときに大泣きしてしまって。やりたくなかったんでしょうね。子どもの意見をちゃんと聞いてほしいなって思います」
子どもの美容整形をめぐるトラブルの実態はどうなのか。国民生活センターによりますと、2000年代に入ってSNS広告が増加したことで、小中高生の美容医療に関する相談件数も増えてきています。2014年度は16件でしたが、2023年度は51件と突出して多くなりました。高須医師は、コロナ禍で多くの10代・20代が家でSNSに触れる時間が増えたのと同時に整形を望む子どもも増えたということで、何かつながりがあるのではないかと話していました。
「腫れがひどく目が開けられない」実際に起きた“ある医療機関”のトラブル事例
とある医療機関で実際に起きたトラブルについて、東京都消費生活総合センターの担当者に聞きました。それによりますと、18歳の娘がインターネットで見つけた「3万円ほどの二重術」を受けたいというので、母親が同行しカウンセリングを受けると、「1時間弱の簡単な手術です。まぶたの脂肪を取るとスッキリします」と言われました。しかし、最終的に費用は80万円、手術は2時間以上かかり、さらに腫れがひどく目が開けられない状態になったということです。
そしてこんなケースもありました。鼻を高くしたいという17歳の娘とともにクリニックへ行ったところ、「切開しない方法でできます」と言われました。しかし、高額で契約したものの術後1か月ほどで元に戻ってしまったということです。手術のクオリティに納得がいかず、返金してほしいとクリニックに相談したところ、「ときどき効果が実感できない人がいるんですよ。手術したので返金は難しい」と言われてしまったということです。
こういったトラブルは親も子どもも後悔をする一つになってしまうのかもしれません。
東京都消費生活総合センターの担当者によりますと、相談内容としては解約や手術費用、さらに「二重手術の後、糸が出てきた」など体への被害も報告されているということです。若い時期にかわいくなりたい気持ちはわかるが、今それが本当に必要かどうかということもよく考えて、保護者と話し合ってほしいとしています。複数のクリニックに相談して、美容整形に関する知識を得るのも一つだということです。
子どもの美容整形、あなたはどう考えますか?
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